11-6:再会前夜
11-6:再会前夜
◇壱◇
紫騎士は唯一の武器、<プロミス オブ スマイル>を握りしめ、彼女の気配を感知している。ティーカを見つけ出し、彼女を守るために紫騎士は魔法を使う。
あの赤髪の次元監視者と戦って果たして勝てるのか、ティーカを守るとしてもクレデターはどうするのか?
守るという誓いを果たすには沢山の難関がある。それでも久我流誠は戦う。
「ボクは君を守るナイトだから」
◇弐◇
緑剣士は帰路についていた。手にはあるのは相棒の津樹丸。
いつもと変わらない日々。これかも変わることのない風景。
月島とは闇法師を狩る者。その闇法師が例え、家族であっても例外はない。
何者であれ、闇法師と連なる者は殺す。
世界がどうなろうと、これが緑剣士にとって絶対とも言える日常だ。
「僕は独りで十分だ」
◇参◇
白歌姫はクローゼットを開けた。
クローゼットの中にあるのは一着の男性服。白歌姫が唯一持っている男物の服だ。
何時になるか分からない。
そんな日はもう永遠に来ないのかもしれない。
だけど、もしあの約束を果たせる日が来るというのなら、その時はこの服を着て約束を果たすと決めている。
だから、この服だけ捨てられずに残っていた。
「小歌は幸多だもんね」
◇四◇
朱天使は、ホテルの窓から世界を見ていた。
数多の次元を行き来し、次元の犯罪者を捕まえる彼は、いつものようにコインを弾きながら、世界を見ていた。
この世界には色がある。
そう言ったのは、果たして誰だったか?
今は夜、ネオンに彩られた世界がここにある。
黒の下地の上に塗られた彩りを彼は嫌いとは思わなかった。
案外、ティーカ・フィルポーズもこんな景色が見たいからこの世界にやって来たのかもしれないな。
朱天使は一際強くコインを弾く。
自由落下するコインを手の甲で受け止めると、そこには天使がいた。
「裏か」
◇五◇
青人形は、スーツケースからお気に入りのぬいぐるみを取り出した。
夜ももう遅い。
明日から始まるティーカ・フィルポーズとMSデバイサーの捜索のためにも今日はしっかりと英気を養っておかねばならない。
一度ベットにはいった青人形だが、忘れものを思い出し、もう一度スーツケースの中を探る。
中から取りだしたのは、青人形である彼女と美しい黒髪のおかっぱ頭をした日本人が一緒に映っている写真だった。
こんな仕事早く終わらせて、早く彼女に会いに行きたい。
青人形はぬいぐるみとその写真を抱きしめ、安らかな眠りにつくのだった。
「………」
◇六◇
金のブレスレットがそこにあった。
昨日、傷ついてるのを偶然見つけ、介抱していた紫の羽を持つ妖精が彼女に残していった物だ。
辺りを見渡してみるが、もうあのティーカと名乗った妖精の姿は見つからない。
折角家から温かい料理を持ってきてあげたのだが、無駄に終わったようだ。
ティーカは何処か焦っていたし、こうなることを彼女は覚悟していた。
美しい黒髪をなびかせながら、彼女はティーカの残していった金のブレスレットを拾い上げた。
「でも、オレはこんなじゃ、諦めないぜ」
◇七◇
黒の闇を駆ける影があり。
たったひとつの約束を守るために戦う彼の再会は、まだ遠い先の話だ。
「お前一人ぐらいなら私が守ってやるさ」




