1-4:紫騎士
1-4:紫騎士
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「ボクはキミを守るナイトだ!」
流誠は光を感じた。
それは彼の誓いが具現化する兆候。
これは騎士の想いが魔法へと変わる瞬間。
眩く力強い光が流誠の全てを包み込む。
肉体、記憶、人生、すべてを光が支配する。
想い描くはただ一つ、ティーカの笑顔。
それだけで流誠は魔法使いになれる。
光が一点に収束していく。
光が集まり生まれたのは一枚のカード。
紫色の星が刻まれたそれことが、ナイトの証だ。
「流誠、使い方分かっているわね!」
「もちろん、大丈夫」
不思議な事にこのカードの使い方は手にしたときには全て知っていた。
カードが主と認めた流誠にすべての情報を流し込んでいるからだ。
紫のカードを掲げ、流誠は今、紫騎士になる。
『Wake Up Purple knight』
カードに刻まれし、呪文。
流誠の意識と連結したカードは、古来の魔法使いが使う杖のように、魔法を使う媒体となる。
「ティーカ。そこにいると、一緒に巻き込まれるよ」
カードを漆黒のクレデターに向ける。
「シャアアア」
紫色の妖精は、体内に僅かに残っていた毒液をかき集め、一気に吐き出す。
体を締め付けていた触手の力が弱まった隙に、ティーカは一気に離脱した。
既にティーカの表情は勝ち誇っており、彼女は宣言した。
「流誠。このあたしを傷つけた愚か者に、裁きの鉄槌を与えなさい」
『lord Purple Star』
カードに呪文が浮かんでいく。
流誠は意識を集中し、頭に浮かぶ呪文をカードに伝えていく。
『Purple Star All Ready』
魔力を感じ取ったクレデターが漆黒の球体を揺らす。
いくつもの触手が蠢き、流誠に迫り来るが、流誠の呪文の方が早い。
『Purple Star Are Go!』
カードに刻まれた呪文により魔法が発動した。
カード全面から、紫の光が放たれ、クレデターを飲み込んだ。
それは邪気を滅する紫光。
勝敗はクレデターが断末魔を上げる暇さえなくついていた。
「ふふん。流石は、あたしが見込んだ魔法使い。これからも、よろしくね。あたしのナイトさん」
そして、戦場に残ったは、紫色の羽根を持つティーカの笑顔。
ただそれだけだった。
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これが、一人目の魔法使い、紫騎士-久我流誠-が目覚めた戦いだ。
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