M-1:第一話
M-1:第一話
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あたし、久我 定香は、私立聖霞ヶ丘大学付属高校に通う女子高生。
「ねえ~、お兄ちゃん。何しているの? 早く~」
玄関を飛び出したあたしの前にいるのは、まだ半分寝ぼけていそうなあたしのお兄ちゃん。
あたしの大好きなお兄ちゃん、久我誠流は私立聖霞ヶ丘大学の講師なの。
定香は高校生なので、誠流お兄ちゃんの講義は受けられないけど、絶対私立聖霞ヶ丘大学に合格して大学生になったら、絶対にお兄ちゃんの生徒になるって決めてるの。
「さ、お待たせ、定香」
「うん。じゃ、行こうか、お兄ちゃん」
あたしはそう言うと、思いっきりお兄ちゃんの腕に抱きついたんだよ。
いつも通りの幸せな朝。お兄ちゃんと一緒に登校したこの日、あたしは魔法天使になった。
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「さあ、定香、変身だよ!」
へぇ?
突如として、あたしの前に現れた正体不明の魔法ステッキがあたしの語りかけてきた。
何が何だか、あたしにはさっぱり分からないけど、この魔法の杖は状況説明もなしに、あたしに変身を強要してくる。
「早く。早くしないと、グリーン・ソードにみんなが食べられちゃうよ。良い、自分の呪文をそのまま詠唱するんだよ」
あたしの承諾も得ることなく、魔法の杖は呪文らしき謎の言葉を呟き始めた。
あたしが何もせずに突っ立ていると、
「早く!! そうしないと、キミのお兄ちゃんも大変な目に遭うんだよ」
とあたしにとって一番聞き捨てならないことを言ってきた。
正直、何がなんだか、あたしには全く分からないけど、お兄ちゃんの身に危機が迫っているのならそんなの絶対見過ごせない。
お兄ちゃんのためなら、変身でも、変体でも、変形でも、なんだってしてやるんだから。
正体不明の杖を握りしめ、あたしは呪文を唱える。
「届け、あたしの想い オーバー キュア ハート」
魔法の杖をくるくると回すと、紫色の帯が出てきて、あたしを優しく包み込んでくれて、
「スパーク」
蝶が繭から孵化するように、あたしは生まれ変わった。
白と紫が入り交じったコスチュームに身を包んだ、あたしはもう久我定香じゃない。
そう、生まれ変わったあたしの名前は、
「魔法天使 パラレル・ティーカ 弾ける想いをあなたに届けるため、ただいま参上、よ」
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