7-4:参対弐
7-4:参対弐
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月島の人間は闇法師に容赦しない。
殺すことを躊躇わない。
緑の一閃は、確実に今回のターゲット、瀬戸乃花の首を体から切り離すはずだった。
が、しかし、ここには三人目の魔法使いがいた。
そう、津樹丸が雪色の結界に阻まれた。
「どういうつもり、藤永。そいつは闇法師だ」
「分かっているよ、玉露君。でも、その前に瀬戸乃花なんだよ」
互いに流誠を通じて面識はある二人目と三人目の魔法使いは、だが、仲間でもなければ友でもない。
互いに信じる正しさを歩み、それ故に戦う。
「愚かな事を……」
「可笑しい事かな?」
フィィィ
雪色の音色が鳴り響き、玉露を結界内に封じ込める。
しかし、魔力、実力、経験、すべてで勝る玉露をそれで無力化出来るはずもない。
『破壊』
津樹丸を一閃。
それで、玉露は小歌の結界を切り捨てた。
もはや、玉露は何も言わず、ゆっくりとその剣先を瀬戸乃花へと突きつける。
その圧倒的ともいえる殺気の前に乃花は、体が硬直するのを避けられない。
その目は玉露に助けを求めているかのようにも見える。
もっとも、月島の人間が、闇法師の願いなど聞くはずもなかったが。
「何処まで邪魔をする気なの?」
「何処までも邪魔をするんだよ」
津樹丸の直線上に乃花はいる。
しかし、その間には、まだ小歌が立っていた。
「藤永じゃ、僕には勝てないよ。それに、僕はそれほど優しくない。いい加減にしないと、藤永もろとも殺すよ」
緑に煌めく津樹丸がその言葉が単なる脅しではないと物語っている。
「それでも、小歌は瀬戸乃花を守るんだよ。玉露君、彼女の歌聞いたことがあるかな? 瀬戸乃花の歌って凄いんだよ、聞いてると勇気が湧いてくるの。
小歌は昔ね、そんな乃花の歌に救われたの。だから、小歌はこれからもずっと、瀬戸乃花に、そんな歌を歌い続けて欲しいから…………絶対に退かないよ」
「何を言ったところで、その闇法師は人を殺す」
「でも、それ以上の人に、勇気を与えてくれる」
「じゃあ、もろとも死ね」
躊躇いのないその言葉と共に、津樹丸の剣先が小歌と乃花を共に射抜くべく前に出た。
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