6-7:白歌姫
6-7:白歌姫
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フィィィィ。
雪色の音色が小歌に教えてくれる、今この場で小歌が白歌姫としてしなければならないことを。
「藤永。まずは、あのコアを壊しなさい」
「それは駄目だよ。ティーカちゃん、そんなことしたら、お店のみんなに迷惑をかけることになっちゃうよ」
確かに、クレデターの作り出したこの空間は、クレデターの能力を上げているが、変わりに現実空間とこの空間を遮断してもいるのだ。
この空間を壊してしまうと、今まさに流誠を喰おうとしている化け物がいきなり店内に現れることになるのだ。
それは、もう大パニックだろう。
「だからって、このままじゃ流誠、喰われちゃうわよ」
「大丈夫だって。小歌は、壊さないで、上書きするだけだから」
そう言うと、白歌姫は雪色の笛を吹く。
フィィィィ。
世界が闇から白に変わった。
クレデターの力も格段に弱まり、流誠は男の脇腹に蹴りを入れ距離を取る。
「先生、結界の中に、小歌の結界作ったから、もう大丈夫だよ。そんな奴、さっさと倒しちゃって」
雪色の笛を自慢げに見せながら、小歌は笑う。
起きあがったクレデターが再度、流誠に迫り来るが、その動きには先程までの切れはない。
「喰ってやる。お前ら、全員喰ってやる」
貪欲な眼差しで流誠、ティーカ、小歌に狙いを定めるクレデターだが、白歌姫はそんな汚らわしい化け物を良しとはしない。
フィィィィ。
音色は術式。
クレデターの真下に魔法陣が描かれ、無から生み出された鎖がクレデターを縛り上げる。
戒めから逃れようとするクレデター。
そんな悪しきものに向かい、流誠はゆっくりと狙いを定める。
『load Purple Star』
流誠は心で呪文を唱え、紫のカードに術式を刻む。
『Purple Star All Ready』
紫のカードが捉えるは、闇に付かれし哀れで愚かな者。
守ると誓った騎士は新たな仲間と共にこれから戦い抜く。
『Purple Star Are Go!』
放たれた紫の光が、闇を飲み込み、全てを浄化した。
「やったぁ、流石、先生…じゃなかった、ご主人様。格好いい~!!」
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三人目の魔法使い、白歌姫―藤永小歌―、彼はこれからも美しい音色で、騎士を助け、闇を裁き、世界を守っていく。
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