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6-5:小歌は幸多

6-5:小歌は幸多


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 自身が作り出した結界内では、クレデターはいつもの倍近い力が引き出せるようだ。

 紫騎士として、『Purple Star』を放つが、その全てがことごとくかわされてしまう。

 いくら狙いを定めても、結界内のクレデターは常人の動体視力を遙かに超えたスピードを出すのだ。

「っく、ティーカ、この結界やぶる方法はないの?」

 『Purple Star』はこの結界内では必殺技にならない。

 使えて、牽制程度だ。

 それにこの結界内には小歌もいる。

 この状態でティーカだけでなく、教え子も守りながら戦うのは流誠にはかなり荷が重い。

「何処かに、結界を安定させているコアがあるはずよ。そのコアを、どうにか見つけ出して壊すことが出来れば、結界を壊せるわ」

 そうは言うものの敵はそんな有余を与えてはくれない。

 その餓えを満たそうと迫り来る。

 そんな死闘の中、唯一魔力を使いこなせない小歌はというと。


「すっごい。何、何先生、すっごく格好いいよ。なんか未来の魔法使いさんみたいだよ。うわ~~、小歌、もう一度先生に惚れちゃいそうだよ」


 っと、元々の好奇心が災いしてか、クレデターの恐怖など忘れて、紫のカードを片手にクレデターと戦う流誠の姿に酔いしれていた。

「ッシャ! 藤永、あんたね、この危機的状況が分かってるの?

 あんたもね多少なりとも魔力があるんだから、少しはコア見つけるの手伝いなさいよ」

 毒液を霧状に拭きだし、弾幕代わりとしながらティーカが吠える。

 が、当の小歌はのんびりとした物だ。

「それってあれでしょう。今、ティーカちゃんから見て、左斜め上、60°ぐらいの所にある奴でしょう」

「シャ?」

 あまりにもあっさりと言うので、一瞬コアの事を言っているとは理解できなかった。

 だ、確かに小歌の言う場所に、コアはあった。

「MSデバイサーも無しに。いやこの魔力に満ちた結界だから感覚が研ぎ澄まされているのかしら」

 何にせよ。恐ろしい才能だ。

 ティーカの大切な流誠にちょっかいを出してくる嫌でむかつく奴だが、食べ物の話は合うし、この才能をこのまま見過ごすのはもったいない。


 ティーカは覚悟を決める。


「小歌。あんた、流誠のこと、どう思ってるの?」

「え? そりゃもちろん、ラブだよ」

 

 決心が鈍る。


「ははあは。そんな怖い顔しなくても大丈夫だってティーカちゃん。そりゃ、小歌は久我先生に、惚れてるけど、これは絶対に届かない愛だからね、だって、幸多は……」


 小歌は幸多。


「男だもん」


 一陣の何とも言えない冷たい風が吹いた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


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