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34-4:七人の魔法使い

34-4:七人の魔法使い


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 クロートが起動した。


 新たな次元を生み出すMSデバイサーが動き出した。

 乱はサクラ・アリスをそっと床に寝かせると一人、クロートと対峙した。


 次元を生み出す金の腕輪は七色の光を放ちながらも、ゆっくりとこの桜色の次元を浸食していた。

 桜色の世界が崩れ落ち、何もない漆黒の闇へと変貌を遂げていく。

 この次元が新たな次元に上書きされようとしているのだ。


 はたしてこの浸食は何処まで続くのだろうか?

 このサクラの次元を塗り替えるだけで止まるのだろうか?

 あるいは乱が生まれ育った他の次元をも塗り替えてしまうのだろうか?


 その度合いは誰も知らない。

 だからこそ、被害を最小限に抑えるためにもここでクロートを止めなくてはならない。


 乱に残されたMSデバイサーは残り、一枚。

 そして、事態はさらに悪化する。


 クロートが生み出している虹色の光からクレデターを初めとした多種の次元生物がこの世界に生み出されたのだ。


「全く、笑いたくなるぐらいに、絶望的な状況だな、サクラ」


 闇騎士はそう言って、自分の後ろで安らかに横たわる桜色の眠り姫に視線を送った。

 もちろん、サクラは返事を返さないが、そんな事は乱にとって些細な事でしかない。


 次元生物たちが一同に視線を乱に向ける。

 そして一様に肉食獣のような獰猛さで乱に襲いかかってきたのだ。



「でもな、私は一人じゃない。お前にも教えやりたい仲間って奴が今の私にはいる」



 黒騎士の言葉をまるで待っていたかのように、世界が七色に彩られた。




 紫の閃光が敵を貫き、

 緑の斬撃が敵を切り裂き、

 白の防壁が敵をはじき飛ばし、

 赤の灼熱が敵を燃え上がらせ、

 青の獣達が敵を食らいつくし、

 金の稲妻が敵をなぎ倒し、

 黒の決意が敵を震え上がらせた。




「お前ら、最高のタイミングだな」


「そりゃ、オレは元正義のヒロインだからな。格好いいタイミングは熟知してるぜ」


「…………」


「鳴恵殿、そんな事はどうでも良い。今はこの起動したクロートを小生らで止めるのが先決だ」


「そう~だよ。そう~だよ。小歌達七人がいれば、もう怖い者無しだよ」


「格好いい登場か………、ちょっと恥ずかしいね、津樹丸」


「近衛乱。あなたも守るべき者を取り返したみたいだね」





 今ここに、




 紫騎士、久我流誠。

 緑剣士、月島玉露。

 白歌姫、藤永小歌。

 赤天使、来名秋生。

 青人形、リリシア・イオ・リオン。

 金闘士、神野鳴恵。

 闇騎士、近衛乱。




 七色を司る七人の魔法使いが全て集い揃った。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



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