表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
205/246

33-4:金闘士

33-4:金闘士


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 敵は五体の鉄鬼兵。

 対するこちらは三人。


 鳴恵はサクラからのプレゼントである金のMSデバイサーであるTS-6の感触を確かめながら、ゆっくりと深呼吸した。


 そして四体の鉄鬼兵をその小さな身体一つで受け止めているリリシアを見た。

 刹那、リリシアと鳴恵の視線が絡み合う。

 友にとってその刹那だけで十分である。


 腰を落とし、左の掌を地面に置く。

 魔法が使えない鳴恵に与えられた六度だけのチャンス。

 出し惜しみするなどせず、この力で二人の友を救ってみせる。


 瞳に雷のごとき真っ直ぐな意志を乗せ、鳴恵は前を見据える。


「いくぞ、リリシア!! 玉露!!」


 友の名を叫び、鳴恵は魔法を発動させた。



「Thunder BreaK」



 鳴恵の両手にはめたMSデバイサーにはそれぞれ三つの球体が埋め込まれている。

 それは魔力を貯め込んだ魔法石。

 魔力を持たない魔法使いが、魔法を使える所以だ。


 TS-6の左腕に埋め込まれた魔法石が黄金に発光し、魔力を放出。

 放出された魔力はTS-6を介して、雷へと変換される。

 掌と地面との隙間に生み出される雷はその力の放出場所を求め、結果として創造主である鳴恵自身を前に押し出す。


 これが生身の人間である鳴恵を迅速の移動を可能にした戦法だ。


 魔法を発動された鳴恵は、刹那で四体の鉄鬼兵とリリシアの元へとたどり着く。

 予想外の乱入者に四体の鉄鬼兵の行動に乱れが生じ、逆に信じていた援軍の到着にリリシアは一気に反撃に転じた。

 蒼の瞳を輝かせ、四体の氷の熊を現出させ、四体の鉄鬼兵をそれぞれ羽交い締めにしたのだ。

 鎌、槍を持つ鉄鬼兵は己の刃物ですぐさま氷の熊を砕き、リリシアの狼の能力をコピーした鉄鬼兵は自らのキバで氷の熊をかみ砕いた。


 しかし、唯一、リリシアの召還能力をコピーした鉄鬼兵だけはすぐさま逃げる術を持っていなかった。

 獣を召還するべく魔法を発動させるが、そこには僅かなタイムラグが生じてしまう。


 そのタイムラグが勝敗を決した。


 神速の速度で迫り来た鳴恵の左の拳が羽交い締めにされている唯一の鉄鬼兵に触れた。


 そして、雷の加速が止まらないまま鳴恵はもう一度、魔法を発動させた。



「Thunder BreaK」



 爆音が鳴り響くと同時に召還魔法を持つ鉄鬼兵の頭が吹き飛んだ。

 鉄鬼兵の能力は敵の力をコピーする事である。

 それは確かに恐ろしい能力であるが、敵の力をコピーするとはすなわち、敵の弱点もまたコピーする事である。

 200年も生き、己の弱点を熟知したリリシアと、彼女をよく知る鳴恵の前にあっては、リリシアの能力をコピーした事が逆に徒になってしまったのだ。


 鉄鬼兵を一体撃破し、鳴恵は地面を滑りながら加速を弱めていく。

 スニーカーのゴムが焦げる匂いが立ち上るなか、六人目の魔法使いは与えられた力を駆使して戦い続ける。

 その戦いぶりはまさに闘士であり、六人目の魔法使いは金闘士としてその名を馳せていく。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ