表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/246

27-3:白と黒の信念

27-3:白と黒の信念


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 闇緑剣士と青人形は同時に地面を蹴った。

 緑と青の剣がぶつかりあり、魔法の火花を散らしあう。

「意外と早い決断だったな、リリシア・イオ・リオン。

 もう友を殺す決断をするなんて、お前ら本当は友達じゃ無かったんじゃないのか?

 本当の友達なら、もっと苦悩するはずだ。

 なのにその決断の早さ、お前本当は人形の様に心がないんじゃないのか?」

 闇緑剣士の挑発を、睨み返す事で返答して、リリシアは青の聖剣で闇緑剣士に斬りかかる。

 しかし、玉露の剣技を全て奪った悪魔に対してリリシアの剣技はあまりにも稚拙であった。

 青の聖剣を緑の刀身で軽く受け流し、隙が出来た左の脇腹を思い切り蹴りつける。

 簡単に吹き飛ばされたリリシアは食器棚にぶつかり、割れたガラス片がリリシアの体を傷付ける。

「っは、弱いね。弱すぎるね。

 そんな弱さで、月島の力を得たオレを倒せる分けないぜ。覚えておけ、このクズ人形。

 月島玉露はな、その全てをこの俺様に奪われるために、これまで生きてきたんだよ!!」

 

 玉露の人生と、友情を、努力を、その全てを侮辱した発言である。

 

 リリシアは口の中に溢れた鉄の味を吐き捨てもう一度、青の聖剣を握りしめた。

「遅いんだよ!」

 リリシアが立ち上がると同時に、闇緑剣士が神速の足で近づいてきた。

 反応が遅れたリリシアの脳天めがけて緑の刀身が振り下ろされる。



フィイイイイイ



 しかし、雪色の音色が鳴り響き、リリシアを小歌の魔法結界が包み込んだ。

 小歌の魔法結界に弾かれて闇緑剣士が後方へ下がる。


「なに、偉そうな事言ってるの、あなた。

 小歌は今一状況が分からないし、玉露君は大嫌いで、死んじゃえばいいって思っているけど、あなただけは許せない。

 玉露君は、いや違う、この世に生まれた全ての人は、その人のために生き続けていくの。

 誰も、その人の人生を奪っちゃいけないの!!」


 もう一度、雪色の笛を吹き結界魔法を発動させる。

 今度は闇緑剣士を中心とした球形の結界である。

 闇緑剣士をここで閉じこめようとした小歌の作戦であったが、小歌と玉露の魔力では玉露の魔力が高い方は、既に瀬戸乃花の一件で実証済みだ。


 闇緑剣士の回りに生み出された雪色の結界は、剣士は緑の刀身で両断した。


「ごちゃごちゃうるせんだよ。ガキ!!

 オレは奪った。この力を、この体を、こいつの人生を。

 奪われる奴が悪いんだよ。奪われるような弱い奴が、いるから奪うんだよ!!」


 闇緑剣士は吼えるが、そんな愚か者がロックオンされる。

 プロミス・オブ・ASを静かに闇緑剣士に向け、近衛乱は静かに言う。


「ああ、確かにその通りだ。

 私もこれまで色々なモノを他人から奪ってきた。

 奪ったことに対する償いも受けてきた。

 だから、月島玉露の全てを奪ったお前の心が少しだけ分かる」


 漆黒のカードに呪文が刻まれる。


「だが、覚えておけ。

 他人から何かを奪うという事は、その逆もあるのだと言うことを。

 お前は奪い続けてきたのだろう、なら奪われる覚悟ももちろんあるのだろう!!」


 この次元でもっとも大切な者を赤髪の天使に奪われた騎士は、世界を漆黒に染め上げる。


『Drak Wrold』


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ