M-22:決戦
M-22:決戦
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あたしはイリルを。
桜愛理子は右薬指にはめた桜色の指輪を。
それぞれ前につきだした。
「届け、あたしの想い オーバー キュア ハート」
「届け、わたしの想い オーバー キュア ハート」
二つの呪文が同時に紡がれていく。
イリルからは紫色の帯が、桜色の指輪からは桜色の帯がそれぞれ生み出されて、あたしと桜愛理子を魔法天使に生まれ変わらせる、繭となる。
紫色の繭の中であたしの体は暖かな光に包まれ、着ていた服が消えその代わりに、お兄ちゃんが可愛いって行ってくれた魔法天使のコスチュームが着衣されていく。
きっと桜色の繭の中で桜愛理子の体にも同じ事が起きているのだろう。
でも、あたしは確信している。あたしのコスチュームの方が絶対にお兄ちゃん好みだってことを。
そして、変身が終わるとあたし達、魔法天使は繭の中から孵化をする。
「スパーク!」
「スパーク!」
二人の宣言の後、二つの繭は消え、二人の魔法天使が光臨した。
「弾ける想いを届けるため 魔法天使パラレル・ティーカ ただいま参上、よ」
「秘めた想いが咲き乱れる 魔法天使シリアル・アリス まもなく満開、ね」
あたしこと、パラレル・ティーカと、桜愛理子ことシリアル・アリスは共に決めポーズを可愛く取り、あたしたちの変身は完了した。
さあて、ここからが本当の始まりよ。
あたしはイリルを、シリアル・アリスは桜色の指輪をそれぞれが敵に向ける。
ここはあたしの魔法によって時間の止まった世界。
この世界で動いているのは、あたしとアリス、二人の魔法天使だけ。
だから、手加減なんて必要ない!
「輝いて、あたしの想い」
「集まって わたしの想い」
あたし達は奇しくも同時に空へ飛んだ。
あたしには紫の、アリスには桜色の羽が生え、あたし達はまさに天使如く空を舞う。
「パラレル・パスカル・パーミット」
「シリアル・シニカル・シークレット」
二人の魔法天使の二つの呪文が紡がれ、そして、二つの想いはそれぞれ、紫色の星と桜色の三日月に練り上げれていく。
あたしは、アリスを睨んだ。
アリスが、あたしを睨んだ。
ここにあるのは、
怒りでも、
迷いでも、
憎しみでも、
悲しみでも、
絶望でもない。
あるのはただ純粋に、大切な人を守りたいという今にも弾けて咲き乱れそうな恋心だけ。
「パープル・スターライト。シュ~~~ト!!」
「チェリー・ムーンライト。アタック~~!!」
二つの必殺技が空中でぶつかり合い、空は紫と桜の二色へ染め上げられた。
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