22-1:桜色の襲撃
22-1:桜色の襲撃
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桜色のクレデターが消え、真の桜色の恐怖が七人の魔法使いの前に現れた。
一同の視界を全て桜色の閃光に染め、次元を越え、彼女が姿を現した。
無から現れた桜色の彼女を見て、最初に呟いたのは来名秋生。
そして桜色の彼女のすぐ横に浮く紫色の彼女の名を呟いたのは、久我流誠だった。
「サクラ・アリス………」
「ティーカなのか?」
桜色の彼女は全身から桜色の光りを放っていて、その姿を真を知ることは出来ない。
顔の詳細が全くわからなく、ただ、桜色の彼女としか言いようのない。
その一方、紫色の妖精はあの日流誠と分かれた時と何一つ分からない姿で、そこに浮かんでいた。
「ティーちゃん。私が、クロートを捕獲するから、ティーちゃんは、ちゃんと自分のしたいことしないと駄目だよ」
何処か場違いではないのかさえ思えるほどの、殺気のない声。
この場にいる誰しもから毒牙を抜く誘惑の音色。しかし、七人の魔法使いは騙されなかった。
その奧には、狂気という刃が潜んでいるのだから。
「ええ。あんたも余計な事してくれるわ」
「あ~、もう、相変わらずティーちゃんは素直じゃないんだから。折角、紫色のティーちゃんに出来た騎士なんだから、もっと、もっと、も~~と、大切にしてあげないと駄目だよ」
七人の魔法使い達は皆動けない。
突如として現れた桜色の彼女の真意が分からず、動くに動けないのだ。
いや、黒の彼だけはあえて動かない。
「それもそうよね。もうここまで来たら、腹をくくるしかなさそうね。その結果が悲劇であれ、きっとそれが一番幸せな道なのでしょうから」
「だ~か~ら~、違うんだって。私は乱君と絶対に幸せになるの。だから、ティーちゃんも大切な騎士さんと一緒に幸せならないと駄目なの。大切なのは諦める事じゃなくて、想い続けることなんだよ」
まるで、些細な事を街角で言い争っている友人であるか様であったが、サクラとティーカ間に流れていた空気が一転、鋭い物と変わる。
「さあ、それじゃ、ティーちゃんは、ティーちゃんの幸せのために。私は私の幸せのために、がんばろうか」
そう言ってサクラは鳴恵を見た。
いや、正確には彼女の右腕にあるクロートのみを見た。
それ以外の物など視界に入っても、認識することが出来ていない。
「クロートだぁ。クロートだぁ。それがあれば、私と乱君の楽園を作ることが出来るんだよねぇ。ねえ、なんで、あなたがそんなの持ってるの。それはね、私が使う力なんだよ。だから、貰うね」
サクラを中心として五つの光が出現した。
それら桜色の光りはやがて、人型をなして、姫を守り、姫の命令に忠実な鉄鬼兵となる。
五体の鉄鬼兵。
その違いは手に持つ武器のみ。
剣、斧、槍、銃、鎌。
五体の鉄鬼兵達はそれぞれが武器を鳴恵に向け、一斉攻撃を開始するのだった。
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