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3-3:二人目と三人目

3-3:二人目と三人目


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「じゃあね、久我先生とティーカちゃん。明日こそ、真実を教えて貰うからね」

 そう言って、小歌は大きく手を振り、電車の中へ飛び乗った。

 ドアが閉まり、電車が発進する。


”やっと解放された”


 流誠は安堵のため息をつこうとしたが、しかし、それは落胆のため息に変わる。

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

  何、何、何なのよ、あの女。ちょっと可愛くて、綺麗な服着てるからって、調子に乗ってるんじゃないわよ。

 ああああ、むかつく。

 あの女、明日もまた、流誠に迫ってきたら、今度はあたしの毒液で、あの綺麗な服跡形もなく、消し去ってあげるんだから。そしたら、あの野郎、きっともう流誠になんて迫ってこないはずよ」

 貯めに貯め込んでいた鬱憤を一気に言葉にする。

「あ~。ティーカ、そんなことされると、ボクに変な噂が立つから、出来れば止めて欲しいな。

 っというか、先生と全裸の女学生って所誰かに見られたら、間違えなくボクは仕事無くすから」

「シャァァァァラップ!!

 黙りなさい。あんたはあたしのナイトっていう名誉の仕事があるから良いでしょう。

 それにね、あたしのナイトでしょう、なんで他の女が迫ってきたら、『ボクには心に決めた人がいます』って、言わないのよ。

 この腰抜け。

 良いこと、あたしが許可するわ。今度、あの女がやって来たら、今の台詞ちゃんと言いなさいよ」

 過激化するティーカの暴走。

 さらりと恥ずかしい台詞を言ってしまったが、頭の血が全て沸騰している彼女はそんな些細なこと全く気にしない。

 その後も留まることを知らないティーカのマシンガントークは続いていたが、ある瞬間ぴたりと止まり、頭の血も急激に冷却されていく。

「流誠。気づいてるわよね」

「ああ。でも、この感覚。クレデターとちょっと違う気がする」

 ポケットから紫のカードを取り出し、『Seach』と刻む。

「これは、本質的にはクレデターね。でも、派生型なのかもしれない。でも、まさか、こんな短時間で、そんなのありえない」

「ティーカ。それはどういう事?」

「説明は後、実際に見てみないと分からないわ。だから、行くわよ。あたしのナイト」

 それが、紫騎士初の敗戦になるとは、まだこのときのティーカは知らなかった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 空が茜色が藍色に変わっていく。

 それは奴らが動き出す刻の始まりを意味していた。

 

 「時間だね、津樹丸」

 

 剣士は今宵も旅に出る。

 黄昏の世界で誰にも知られず、戦い続ける旅に。

 昨日は無事に帰ってこれた。

 でも、今日も同じとは限らない。

 それでも、剣士は旅に出る。

 それが、運命だから。

 己の腕と、手に握る相棒だけを信じて戦い抜く。

「津樹丸。今夜は獲物が多いね」

 剣士が話しかけるのは、幼少の頃常に剣士の側にいた一振りの刀、津樹丸。

 そして、津樹丸は剣士の問いかけにまるで応えるかのように、


『大丈夫』


 と刀身に緑の文字を刻むのだった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


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