M-18:襲撃
M-18:襲撃
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朝になった。
訂正。
時計を見たら、もうお昼になっていた。
昨夜、リビングで話すお兄ちゃんのイリルの話を聞いてから逃げるように部屋に戻ったあたしは全く寝付けず、起きたらもうこんな時間になってしまっていた。
あ~、もうお兄ちゃん起きてるだろうな。
折角、今日もパラレル・ティーカの格好で起こしに行ってあげたかったのに。
残念だよ。
洗面所で顔を洗って、簡単に髪を整えたあたしは、リビングへ向かう。
ここは昨夜、お兄ちゃんとイリルがあたしに隠れて話していた場所。
大丈夫だ。
昨夜見た、思い出したくもないあのビジョンはもうあたしの頭に浮かんでこない。
あたしは勇気を振り絞って、リビングのドアを開いて、いつも以上に元気よく朝の挨拶をした。
「お兄ちゃん。おはよう!!!!」
「あ、おはよう、定香」
「あら、もうこんにちわのお時間ですわよ、妹さん。寝る子は育つと言いますが、これは少々、寝過ぎな感がいたしますわ。ねえ、そう思いませんか、誠流様」
あたしの視界になんか居てはならない奴が映っている。
あたしは何も言わずに廊下へ戻って、リビングのドアを閉めた。
一度大きく深呼吸。ちょうど二階から降りてきたイリルが視界に入ったからとっつかまえて、壁に当ててみる。『痛いじゃないですか、定香さん』といつもの声が帰ってきた。
うん、多分これは夢じゃない。
ってことは、あれだ。
きっと寝過ぎてあたしの頭はまだ完全覚醒してないんだ。
だから、幻覚なんて見てしまうんだ。
あたしはもう一度最初からやり直す事にした。
「お兄ちゃん、おはよう!!!!」
「うん、おはよう、定香」
「ですから、もうこんにちわのお時間ですわよ、妹さん。所で、あなたはさっきから一体何がしたいのか、わたしには全く検討が付かないのですが?」
まだ、居た。
うん、結論。
奴はここにいる。
しかも許せないことに、お兄ちゃんの横に座って、腕まで組んで一緒にテレビを見ている。
「あああああああ。なんであんたがここにいるの!
うんん、大事なのはそんな事じゃない。一刻も早くそのお兄ちゃんの腕から離れなさい!」
あたしはそう言ってお兄ちゃんの横に座る桜愛理子を指さした。
「なんでって、愛する殿方のお家にお邪魔するのは奥方として当然の摂理だと思いますわ。
それに、わたしは誠流様を愛していますわ。だから、本当は腕を組むぐらいでも足りないぐらいですわ」
愛理子は勝ち誇った笑みを浮かべ、あたしのソレなんかとは比べモノにならない程大きな双球をお兄ちゃんの腕に押しつけた。
悔しくなんかないもん。
おにいちゃんの横に座って一緒にテレビを見てるのは悔しいけど、あんな大きな胸なんて幾ら見せつけられても悔しくなんてないもん。
悔しくなんて、絶対にないんだからね。
お兄ちゃんは、巨乳好きじゃないんだもん。多分………。
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