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07.デートの約束入りました

お気に入り三ケタ突入しました、ありがとうございます。




≪シャド・スペクターぁあこのヤロウ!! てめぇ、マジ殺す!!!!≫






「あうちーぃ、耳がぁ……」


キーンってした。うるせぇっての!



さきほどくしゃみの際に勝手(・・)に消費された魔力が回復したので電子コールを聞いてみたら、物騒なメッセージが入ってて俺、びっくり。ついでに、うるさくてもう一個びっくり。


相手は昨日俺が名前を使ったルック・テイク。

もしかして、勇者に絡まれでもしたのかな? やっぱり、基本皆俺のこと身長で判断してんのかな!?




「どうした?」


おっと、あまりにルックの声が大きくてメイリーに聞こえたようだ。


「ちょっとルックからね。それより、ほら、お仕事。お仕事」


電子コールは基本、耳元で囁くように聞こえる。電子コールを飛ばす時は、声に出すのが一般的。魔力が高いと声を出さなくても良いし、脳内でのやりとりも可能だ。


モブな俺は耳で聞き、口に言葉を出すけど何か問題でも!?


「ふーん」


む、なんか不満そうな返事だな。

なんですか、本を読んで給料を貰う俺を批難ですかっ! 言っとくけど、仕事全力で応援してるからっ(応援はタダですが何か?)!




えー、簡単な魔法なら無詠唱で使える俺がチートになれない理由――魔力が少ない。


あまりの魔力のなさに拍手しながらさすがモブと褒めたいほどで、なんと平均以下である(代わりに、回復は早いが、結局のところ蓄積量が少ないからってだけでしかない)。


この世界の生物は基本的に母胎で成長する間に、魔力の貯蔵するための魔臓と呼ばれる器官が体の中に作られる。尚、この魔臓は場所、数ともに決まっておらず、遺伝というわけでもない。


ぶっちゃけ、運だ。


魔臓の平均数は二つから、三つ。

体の中に大体五つ以上持つと宮廷魔術師になれる。あのチートな勇者は七つもあるそうです。はい、化物。


メイリーはちなみに、五つだ。

もちろん、宮廷魔術師に誘われたらしいけど、研究所の仕事を選んだらしい。

君に、拍手! ありがとう! おかげで、俺は無職じゃないです!!



おほん、ここで魔法と魔術の違いも説明しておく。


簡単に言うと魔法ってのは、体内にある魔力を使ってテキトーに何かすること。

逆に魔術は、方程式とかなんかややこしいことを考えた上で使うことだ。電子コールも魔術の類。

ようするに、魔術師ってのは自分で魔力の使い方を考える頭が良い奴ってわけ。


で、魔力ですが使えば蓄積されている分を使うわけで当然、消費される。そして、個人差で回復。

悲しいことに一つしか魔臓を持たないモブな俺は簡単な魔法を使うとすぐ消費してしまうわけですが、小さな容れ物なのですぐに回復もできるわけです。


多ければ多いほど回復に時間がかかるそうだが、勇者はチートなのできっとそんなにかからないんじゃないかな! ずっりーの!!




さておき。

この研究所は日常生活に使える魔術だったり、魔石(自然が年月を掛けて作った魔力の結晶体、すっごい石って覚えてね!)を加工してデータ新聞のような魔具を作るわけだ。


金持ちなモブは使うだけ、イェイ!


さてさて、そろそろ怖いのでルックに電子コール飛ばそうか。あいつ、一応軍の人間だし、俺勝てない自信あるよ! 満々だ!!


「メイリー、俺ちょっとルックに電子コール飛ばしてくるから、大人しくここに居ろな」


「ここじゃ駄目なの?」


「まー、男同士の話を聞くなんてレディがすることじゃないわ、ノンノン」


睨まれた。すみません、馬鹿なこと言って。

けど、「とにかく、お前は出んなよー」と気にせず外に出る。謝ってもここじゃ喋らないのさ。






到着しました。眼鏡っ子を追い払った立ち入り禁止の場所です。人が飛び出してくる気配はない、よし、大丈夫だな。勇者居ないな!!


いや、あっちでも別にいいんだけど、メイリーが心配するようなことが話題に出たら問題だからな。

お、なんか、俺ってば紳士じゃね? イケメンじゃね? 違うか。


「やー、どうも、どうも我が親友ルックくん。メッセージ聞いたけど、どったの?」


以上、送信。


電子コールですが、悲しいことに魔力がある人間ほど早くメッセージが送受信できる。つまりは、俺は届いてもなかなか受信できない!


(お、回復したばっかりなんで届くのが早いな)


≪何がどったのだ! よくも、人の名前使いやがってオレを殺す気かっ! 勇者に追いかけられたじゃねぇか、ボロボロだ! 土下座しろ、謝れ!!≫


「いや、だって勇者マジ怖かったんだって、仕方ないじゃん? ほら、ご飯驕るって、許せー」


君を労って高級料理だって払っちゃうよ、モブだけど、豪勢に今日ぐらい行こうぜ!!


≪レッカーに夕方六時だ、遅刻したら死ぬと思え……≫


酒場でのデートの約束入りました。


(奴め、高い酒を飲む気だな……)


女の子とのが良いんだけどな、モブっ子なら大歓迎なんだけどな!


「へいへい、了解っと」


ふー、電子コールに使う魔力が少ないとは言え連続して、三回も送ると大分消費されるぜ。


「そうだ、丁度良いから所長のところに行って当分こっちに俺たちが出ないって言ってこよっと」


事前に危機回避はモブの基本なので、この研究所には当分近寄らないことにする(研究所に来ないで自宅に籠る研究員も多いし、別に問題はない。ここにいつも来てたのは設備が良いってだけだし)。


パパラッチが簡単に入れるようなところは事が落ち着くまで近寄らない方がいい。

メイリーが居る奥の部屋は厳重に結界が張ってあるので安全だけど、また、こういう場所に張り込みされると対応できないからな。


非力なモブは悲しいぜ。







神さま、「所長が当分こっちには出て来ない方がいい」って言ったって嘘をつくことを許してちょ。



シャドは基本、過保護。次回、モブ友のルックくんが登場です!!

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