プロローグⅠ「彼女との不思議な出会い」
この作品が処女作です。文章が非常に下手ですが、それでも気にしない方は読んでいってくれるとうれしいです。
「君はだれ?妖精さん?」
僕の目の前に立つのは流れるような淡い青色の長い髪と、水晶のように透き通った綺麗な青い目を持つ少女だった。整った顔、なめらかな白い肌、細身の身体、まるでおとぎ話に出てくる妖精のようだ。
「妖精じゃないよ。私はあなたのことはよく知ってる。そしてあなたも今は忘れてるけど、私のことを一番よく知っている」
「……?知らないよ。名前は?」
知らない。だけど、彼女の姿はどことなく懐かしい感じがした。
「名前は秘密」
「なんで?」
「さあね」
「けち」
「そう…………」
「どうしてそんなに悲しそうな顔をしているの?」
「ん?」
「ほら涙出てる」
「涙……?あっ本当だ。わたし泣いてたんだ」
「何かあったの?」
「昔、ちょっと悲しいことあっただけ……。なんでもないよ……。だから悲しくなんかない……。これで良かったんだ……」
悲しそうな表情をした彼女はもろく壊れそうなほど華奢で、けれどもどこか満足したような表情もしていた。彼女を見ているとまるで自分のことのように胸が締め付けられるような切ない気持ちになった。
「泣かないで。ほら、一緒に遊ぼう」
僕は彼女の悲しい顔を見たくなく、少女の手を引っ張り、必死に慰めようとする。
「……うん」
「じゃあ何する?鬼ごっこ?かくれんぼ?でも二人じゃつまんないか……。じゃあしりとりしよう。しりとり」
「うん……そうね。しりとりしましょう。……じゃあ私が初めでいい?」
「うん、お姉ちゃんが先でいいよ」
「……えっ〜と、じゃあ……ハンバーグ」
「ぐ……、ぐ……グレープフルーツ」
「つ……。ツクの実」
「ツクの実?」
「あー知らないか……。甘酸っぱくて果汁が多い果物だ」
「知らないけどいいや……。じゃあ……みかん…………あっ……ジュース」
「………………まあ良しとしよう」
「す……す……すいか」
「か……か……」
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「なんかお姉ちゃん食べ物ばっかりだね。もしかして食いしん坊さん?」
「ちっちがう。……いや、君だってそうじゃないか」
「………………。……じゃあ次は何しようか」
「逃げた!?」
「ふふっ……ふふ……」
「ははっ……はははっ」
「楽しいね」
「ああそうだな。こんなに笑ったの久しぶりだ」
「…………ありがとう」
「……ん?何か言った?」
「いや、何でもない。さあ次は何して遊ぶか」
「サッカー!」
「いやそれは二人でできないだろ」
「そうだったね」
これは僕が幼いころ見た夢である。彼女はその後もたびたび夢に出て、いつもは悲しそうな顔をしているけど、だけどこうやってたまに笑ってくれる。
そして彼女のその笑顔が好きで、彼女との時間をいつも楽しみにしていた。
けれど年をとるにつれ、彼女はだんだん夢に出なくなった。結局彼女の名前は知ることはできなかった。けれど彼女と過ごした時間は今でもはっきり覚えている。
彼女は僕の初恋の相手だった。