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夢渡りの犬

作者: h

 犬は今日も列に並ぶ。並んだ先に立っていた天使は、犬の姿を認めると優しく笑った。

「今日もあの子の夢に出たいの?」

肯定の意味で尻尾を振る。天使は犬の頭を撫でる。生きている人間の夢に出るには、長い長い時間をかけて列に並ぶ必要がある。ある人間は言っていた。あいつの夢に出てやりたい気持ちはあるけど、死んでまで何時間も並びたくはないよなぁ。俺はたま〜に気が向いたら並ぶくらいでいいや。

 犬は約束を守る。あの子と約束したのだ。ねぇ、夢に遊びに来てね。絶対来てね。犬を撫でながら、泣きながらあの子は言った。だから犬は列に並ぶ。

 天使は柔らかく犬を抱きしめた。行っておいで。帰り道はいつもと同じだから。犬は元気に走り出す。あの子の夢に会いに行く。





 私は夢を見た。悲しい気持ちで眠りについた時いつも見る夢。私はあなたを撫でていた。あなたは尻尾を振って私を見上げる。いつもここにいるよ。そう言ってくれた気がした。まんまるい瞳の中に、あの頃の少女が映っている。いつでもあなたは、来てくれるんだね。溢れた涙は悲しいからではなくて、幸せだったからだった。あなたはペロペロと顔を舐めるので私はされるがままで笑った。





 犬は今日も列に並ぶ。夢の中のあの子に会いにいく。




(おわり)

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