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【旧稿】台所シリーズ 第1部 台所で世界をかえる (ただいま編)  作者: 朧月


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35 ジャンボに乗る二人

ジャンボに乗るふたり


白い恋人を手にした響香。

「はじめてじゃないんでしょ? 海外」

伸子が問いかける。

「でも、30年ぶり。」

響香は、少し照れたように答えた。


窓側の席に座らせてもらった響香は、伸子が窓の外を見やすいようにと、背もたれに体を押しつける。

伸子は、千歳空港の景色を目に焼きつけるように、じっと見つめていた。

――きっと、忘れないように。


ジャンボ機が滑走路を走り出す。

「ニュージーランドじゃなかったっけ?」

「クライストチャーチ大聖堂。行こうって話してたのにね。」


手にしていたのは、かつてのニュージーランドのガイドブック……

そう思っていたら、ページはいつのまにか2025年のドバイのガイドブックに変わっている。


「あら、昨日、のぶとKinoya(キノヤ)で“食道楽”に変更したんじゃない?」

ガイドブックには、しっかりこう書かれていた。


Kinoya(キノヤ)

The Greens地区にある、ラーメンと居酒屋料理を提供するお店。

ラーメンの他にも串焼きや一品料理が充実しており、地元の人々や観光客に人気。


Nobu(のぶ)

世界的に有名な日本料理店。

創設者はシェフ・松久信幸(Nobuyuki "Nobu" Matsuhisa)。

ペルーの要素を融合させた「Nobuスタイル」で知られる。

ドバイ店はアトランティス・ザ・パームの22階にあり、絶景を楽しみながら味わえる。


「ほんとだ、“のぶ”と“Kinoya”。私たちの“世界融合”のお店だねって、笑ったんだった。」


ふと気づくと、飛行機は街に向かって降下し始め、ハッチが開く。

――と思ったところで、響香は目を覚ました。


そこは自宅のパソコンの前。

画面いっぱいに映っていたのは、伸子の名古屋旅行の写真だった。

本当に、美しかった。

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