27 昭和ゾンビの新年会
いつもなら、正月は年賀状のやりとりだけだった伸子と響香。
でも、昨年は伸子の長旅でしばらく音信不通だったせいか、今年はそれを取り戻そうとしているのかもしれない。
正月、スマホが震えた。
「おめでとう。」
「ああ、そうだった。今年、初めてだったね。」
「あけまして、おめでとう。」
「お正月、運動会場みたいだった。」
「凛ちゃん、かわいくなったでしょう?」
「まあね。しゃべるわしゃべるわ。そっちは? お孫ちゃん、2歳になったんでしょ?」
「よく来たよ。『あけおめ』って言ったら、神妙な顔して後ずさりするの。」
「あら。」
「娘が言うの。『あけおめなんて死語使うからよ』って。」
二人の笑い声がまじった。
「それでね、言うのよ。『死語ばっかり言ってるとゾンビだ』って。昭和のゾンビだって。ひどいと思わない?」
「あら、うちの凛は『あけおめ』言うわ、言ってたわ。」
「伸子さん、教えたの?」
「きっと児童館で覚えたのね。定年後のおじ様おば様が見てくれてるっていうから。凛、ゾンビ化したかしら。」
「昭和ゾンビ、たしかに不死身だもんね。あっち痛い、こっち痛いって言いながら、ぴんぴんしてるもの。」
「めだかゾンビの館……」
「あっちこっち、ゾンビだらけね。」
「不死身ね……そうでなきゃ。」
響香の声が、泣いているように聞こえた。
伸子が「泣いてる?」とたずねると、「おかしくって……」と返事が返ってきた。
「ありがとうね、今日は。」
響香がそう言って、電話は切れた。
そして、新年会をすることになった。




