25 クリスマスがおわらない
ぴぴぴぴぴぴぴぴ。
腕時計が鳴った。
深夜0時。
イブの日が終わった。
「小田さんの夜」――
なんて、日本語はうつくしいのだろう。
そう思って、そっと目を閉じた。
いつも季節は、冬から春の手前。
木々が色づき出す、その少し前。
春にならない春。
厳しい冬に、終わりを告げる春。
待っていたはずなのに、
「このまま冬にいたい」と思う春。
凍えてもかまわない。
手放したくない冬。
でも、季節はいつか、必ず春になることを、
わたしは知っている。
あっという間に、季節のページはめくられていく。
そう思いながら、クリスマスが過ぎていった。
気がつくと、朝だった。
インスタに、小田和正の歌が上がっていた。
まだ、クリスマス。
言い訳をつくって、
箱を開けるのをやめた。
次の日も、小田さんの曲ではじまった。
いいねをつけて、今日もクリスマス。
元旦になっても、
クリスマスの日々は、続いていた。
リボンのかかった箱は、
もう、部屋のインテリアみたいになっていた。
「この箱、なに?」
哲郎がそう聞いたのも、忘れてしまったみたいに、
箱はいつも、リビングの写真の前の棚に置かれていた。
クリスマスは終わらず、
正月が一緒にやってきた。




