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【旧稿】台所シリーズ 第1部 台所で世界をかえる (ただいま編)  作者: 朧月


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間奏 あたりまえのパパの庭

苗穂駅のとある場所でパパは働いている。

だから、お弁当を時に食べるこの場所は、パパの庭だそうだ。


間奏 あたりまえのパパの庭(哲郎と響香のクリスマス前夜)

パパの庭――それは、じいじの庭のこと。

黒と白のストライプのリンクを踏みしめると、ガタガタと音を立てながら、その庭へと導かれる。ぐるっと回って、階段を降りて、エレベーターで地上へ。見上げれば、そこには空へと伸びる大きなモミの木。

クリスマスの季節になれば、それは立派なクリスマスツリーになる。誰が飾り付けをするのだろう?この宮殿にはサンタがいる。それも、一人や二人じゃない。三人、四人……いや、数え切れないほど。魔法が解けることはなく、天使の母が「5時45分のお便り」と約束の時間を告げる。

迷宮の先には光が差し込み、巨大なモミの木が豆の木のように魔法に包まれる。赤い絨毯とポインセチアが彩る階段を上れば、そこは幻想の世界。

恥ずかしがり屋の天使は、私を抱きしめたりはしない。でも、そっと指先をレコードの針のように近づけると、天使もそっと指を重ねてくれる。それが、天使の母からのクリスマスプレゼント。

この瞬間を、心のハードディスクに刻み込む。何度でも思い出せるように。太陽のような音楽が、ずっと流れ続けるように。

「パパの庭」の迷宮に響くのは、クリスマスソング。時計を見れば2時20分。スマホを手に取ると、彼の5000回の語りも今日は心地よく、赤いソファーでただ待っているだけで幸せだった。

札幌市民なら、この庭の場所をすぐに答えられるはず。

「私も行ったことがある」と笑えるまで。

パパはじいじになり、ママはばあばに変身した。

ドラキュラが、ムササビになっても、ユキンコが魔法のくるまにのっても、

じいじとばあばのこいびとが誰かとわかるはず。

前歯のないチビがジャンバーひろげる愛らしい悪魔と真っ白いダウンの天使の指先

さすが、日本発のビール工場の跡地だけあって、レンガもかたる明日は、クリスマスだって。

徹夜のサンタクロースにありがとう。



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