82【お城での俺のお祭り最終日】
シュバイツ王子のお披露目から四日目。帝都でのお祭りはまだ続くんだけど、俺たちはいそがしいので、今日が最終だな。
俺は今、クリスの部屋でごそごそしている。
クリスの部屋の空っぽの納戸の奥に出現したのは一つのドア。
ドアの真ん中には三つの無属性魔石が嵌っている。そしてドアの表面には世界樹の葉っぱ。 ガチャリ
「よし、これでうまくいったと思う。
じゃあ、あっちで待ってるからね」
「はい!三十分後ですね」
「うん。じゃあウリサ兄さん」
「ああ」
ウリサと二人で、帝都の海岸のお屋敷に転移した。
とうとう名実ともに俺の物になってしまったプライベートビーチを含むお屋敷。
現在外壁の補修と塗装で足場が組まれている。葡萄棚も残念なことにひっこめて三階の二つの居室の窓の内側に少し残っているだけだ。引きちぎったわけではない。土属性魔法でひっこめたのだ。
そして、俺の部屋も絶賛リフォーム中だ。
部屋のドアの入り口に三十センチの上がり框を設けて、俺のエリア全体の床の高さを底上げしてもらった。ここで靴を脱いで、裸足あるいはスリッパに履き替えてもらうスタイルだ。俺にはまだまだバリアフリーは不要だからな。本当はお屋敷全体を上下足に分けたかったんだけど、セバスチャンのスリッパがイメージできなくて断念した。我ながらそこ?って思ってるけどね。
そして、上がり框の端っこにスマホサイズの可愛いドアを一つ付ける予定。この先には妖精ちゃんが住んでもらうエリアだ。特に、夏は青色ちゃん、冬は赤色くんに暴れていただきたい。つまり、精霊魔法による床暖機能だ。うまくいけば全部の居室もリフォームしたい。
ただいまフローリングを張る作業をしていただいている。その作業が終わったら、俺自身が妖精ちゃんサイズになって、床下の環境を整えようと思っている。
そして、三階の葡萄の蔓の残る二つの部屋にドアを一つずつ取り付けた。
ここはもともとゴダ君の部屋だったけど、漁協の仕事が多くて朝の早い彼は1階の控室とクロークを広げてリフォームした部屋に移ることになった。
ゴダは昨日からもうこの屋敷に帰ってきていて、今は大海原で人魚姫たちと漁に出ている。
そして、ゴダの部屋には新たにクリスが入る。
新しいドアは普通なら開けると隣の部屋のアリサねえちゃんの部屋につながってしまうのだが、そこは葡萄の蔓が隙間から入り込んでいて、
ガチャリ
「おー、一人で来れたね」
「シュンスケさん、あれ?」
「足場が付いてるから外見えないか。ほらちゃんと帝都に来れたよ」
そう言って階段を下りていくと
「本当だ!潮の香りがします!」
隣の砂浜から海水浴客が少し聞こえている。まだ朝の九時なのでこれからだな。
玄関には今日はセバスチャンが馭者をする馬車が停まっている。
今日は、クリスの入学手続きのために、海のお屋敷にやってきたのだ。
クリスのお母さんと妹はまだ王都の方のお屋敷で、伯爵夫婦と過ごしている。
セバスチャンには俺の時もしてくれたけど、保護者の代理で一緒に手続きの書類のやり取りをしてもらうのだ。そして、出来上がった制服を二セットと俺の予備の一セットを貰ってきてもらう。
通学に帝都から行くときと、王都から行くときもあるかもしれないから、両方に服を置こうということになった。
クリスを見送って、今度はウリサ兄さんの部屋に行くと同じドアが付いている。
「こっちの兄さんのこの扉も」
「ああ。すげえな」
ガチャっとウリサ兄さんが自分でドアを開けて向こうに入ってみる。しばらくしたら戻ってきた。
そう、俺はとうとうこのお屋敷と、王都を繋ぐ固定のドアを繋げたのだ。父さんが以前くれた葡萄の蔓(=世界樹の一部)を利用したドアなので、ユグドラシルのセキュリティが国境並みに効いているから実現したドアだ。仮にも一国の王族エリアの部屋と繋げるわけだからね。その扉を利用できる人を取り付けた俺はもちろん、それぞれの居室の主と、父さんとプランツさんに限定した。もちろんみんなで相談してね。
そして、丁度クリスの用事があるという事で今日取り付けて運用開始と言うことにしたのだ。父さんとプランツさんが利用するときは、ノックを必要としている。
「あちらは涼しいな」
王都の自室をちらりと見てきたウリサ兄さんが一言つぶやく。
「そうだね、俺は全然平気だけど、兄さんは風邪ひかないようにね」
「そうだな。鍛えてるつもりだけど、気をつけなきゃいけないな」
「じゃあ、ちょっとこの部屋を貸してね」
さっきも言った通り俺の部屋はリフォーム中なので、兄さんの部屋を借りる。
クローゼットにくっついている鏡を見ながら、すごく久しぶりに十九歳の田中駿介に戻る。
「じゃあ、ちょっとまだ暑いけど」
「ああ、問題ない」
プライベートビーチで見た目十九歳(五十七歳越え)のタッパで木剣で打ち込みをする。
結局俺はこの時点で身長は百七十二センチ。後三センチ欲しいな。ウリサ兄さんよりは十センチぐらい背が低い。
今日は昼からこの大人サイズで過ごす必要があるため、身長や手足の長さを短時間で慣らすために、打ち合いをお願いした。
「うわっと」
「ははは、今のは砂地で躓いたんじゃないな」
「ばれたか。意外と手足が長いのでは俺。とりゃっ」
「そうだな。まあ、カッコいいんじゃないか?いやっ」
「くッ結局俺より背の高い兄さんに言われたくないですぅ」
「そのタッパでガキっぽい話し方は変だぞ」
「え?子供ぽかった?」
「ああっ!」
「参ったな―そっちの訓練はすぐにはできないぜ」
「不安だったら黙っておけ」
「そうする」
「はあはあはあ」
「うーんこんなもんかな」
「はあはあ、結局、息切れしているのは俺だけかよ」
「ははは、ありがとう兄さん」
男二人で、お屋敷の二階の大きな風呂に入る。
相変わらず俺はロングヘアなんだよ。短時間だったのに砂が入り込んだ頭を洗うのに、兄さんが手伝ってくれた。
「明日にはアリサが切るんだってな」
「うん!ああ楽しみ!」
なんか、普通より早く伸びたけど。髪の毛が早く伸びるのって・・・、いや、俺は違うぞ。実際の身長は伸びないのに、どういうことだよ。
でも、今日は身長が高いので引きずることはない。なんて考えながら体の方を自分で洗って、まとめて泡を流す。
ガチャリ。
「お、クリスお帰り」
学園に行ってたクリスが帰ってきた。
「あーシュンスケさん!本当に大きくなってる。ってもうシャンプー終わってた。ガーン」
「なんかすまん」
「いいえ、大丈夫です。ただいま帰りました」
「どうした、いつも冷静なクリスが」
「だって、ブランネージュ様みたいな殿下は明日までなんですもん」
「まあまあ、また伸ばすことはあるさ」
「じゃあ、俺がクリスの背中を流そうか」
「いえ、大丈夫です!」
「ははは」
「はーやっぱり、ここのお風呂は良いな」
「だな、広々しているし」
「世界樹のてっぺんのお風呂もいいけど、空気が薄いからな」
「それで、以前蒸し風呂にご一緒したときに息が苦しくなったんですね」
「そうなんだよ」
「へえ、なら羨ましいとは思えないな」
「しかも国王陛下も入ってるんですよ!」
「そりゃリラックス出来んわ」
「えー今度兄さんを誘うつもりだったのに」
「そいえば、王都の空気が薄いから、さっきの打ち込みもいつもより楽だったかもしれん」
「ああ、俺の生まれ故郷でもあったよ。標高の高いところで訓練するんだよ」
「ふう、それにしてもこうしてみると、シュバイツ殿下はブランネージュ様に似ていますね。僕の初対面はお風呂だったんですよね」
「風呂であの方と会うなんて、すごい体験だ。
あの方はまだ俺と同じ二十代に見えるしな。どうなってるんだろうね」
「たぶん、人としての常識は当てはまらないのかもしれない。人じゃないと思っておいた方が良いとおもう。性格とかはあんなに人間臭いんだけどね」
そもそも、三千年以上前に生まれている父さん側の祖父ちゃんや祖母ちゃんなんて存在していたのか。うん、そういう常識を追うのはやめるぜ。
「確かに父親としては、普通の反応ですね」
風呂上がり。酪農王国でもある王都で仕入れた美味しい牛乳を飲みながら、髪を乾かすのは精霊ちゃんの連係プレイでお願いした。ドライヤーの魔法も見つけたんだけどね、その間、ウリサ兄さんとクリスは着替えを整えて、それぞれのドアから、あちらの部屋に移動したので、俺も自分の部屋に転移した。バスローブ姿で。
「さむ」
北国の秋は早い。そう言えば日本も東北や北海道ではお盆を過ぎると急に寒くなると聞いたっけ。着替えが終わるまでの間だけ暖炉で赤色くんに遊んでもらうことにした。燃料いらずでエコだ。空中に漂っている魔素という魔力のようなもので魔法を発動するらしい。魔素は自然のエネルギーなので、特に世界樹からも大量に発生している。
コンコンコン ガチャリ
「失礼します。シュバイツ殿下さっそく着替えましょう」
「ああ」
部屋の片隅には今日のための服がセットされていた。念願の太ももを出さない王子様衣装だ!
「まずはヘアセットですね」
すっかり俺の髪結い師でもあるクリスは、数種類のブラシや櫛を使って俺の髪を結う。ちょっと前に、相撲取りの髷の動画を見てから、根分けにはまっていらっしゃる。確かにあの激しい動きでもあまり型崩れしないのだから。すごいね。しかもこの二カ月で出来るようになったんだよ!
俺の頭を尖った櫛の先っちょで根分けをした後、編み込みも作りながらサイドから後頭部にかけてを結っていき、後は今日はお団子付きのちょんまげと言うかポニーテールにしてもらう。垂らしたままだと本当にブランネージュパートツーになってしまうからな。それに結ってもらうと少しきりりと吊り目になるもいいぜ。ただ、このスタイルに翅六枚はマジでやばいので、今日は大人っぽい普通のマントにした。
「なあ、せっかく結うのがうまくなったのに、明日切るの残念だな」
「いえ、編み込みは短くてもできますよ」
「そうなんだ」
この器用なところは、ドアーフの血か?
ヘアセットが出来た俺は鏡を見る。白っぽいままだとぼんやりしているのを、なんとかそこだけ黒っぽくできないか!そんな思いで俺は、なんと母さんのポーチから見つけたものを取り出す。緑色のマスカラと、緑色のアイブロウだ。
「どう?」
「わーん殿下、ダメです!何しているんですか!」
「似合わない?かっこよくなったと思うんだけど・・・」
「逆です!目力が出すぎて、エルフのお姉さま方がいっぱいアタックしてきちゃいますよ!」
いつか俺がアリサねえちゃんに言ったセリフに似ているかもしれん。
「落とすのも持ってるんでしょ?」
「これだけど」
「もう」
めっちゃ擦られてしまいました。
「シュバイツ殿下、出来ましたか?」
「あ、プランツさん」
「どうですか?これで大丈夫だと思いますけど」
「はい、なかなかいいですよ。髪型も素晴らしいですよ。私はこういう事を陛下にしたことはないですね」
「へえ」
「では、行ってらっしゃいませ」
今日のお城での行事は舞踏会を伴うパーティーだった。
来賓と主要な貴族ともう少し交流しましょうという事だ。
ただ、舞踏会となると、普段の俺だと、まだ見た目三歳のクリスの妹のアイラちゃんしかお相手になれる知り合いはいないので、反則技で無理やり大人になった。
そうして、パートナーをお願いしに、別館へ迎えに行く。敷地内とは言え、王城の敷地はとても広いので、馬車で迎えにいくのだ。馬はもちろんハロルドで、馭者はウリサ。
「シュバイツ殿下」
「カーリン嬢よろしくお願いします」
「こちらこそ」
グリーンの生地に、艶のある白い絹糸のレースをあしらったシックなドレスだけど、いつも見上げている彼女の、胸元が見えていて、さっきまでお子様だった俺には刺激がきつすぎる。出るなよ鼻血!
それに、世界樹の水でスキンケアをしているうえに、薄らとお化粧しているから、かなり美しくなっていらっしゃいます。
「まあまあ、学園祭以来のお姿ですね」
「しかも、その衣装が似合っている」
「ありがとうございます」
ラーズベルト辺境伯夫婦も揃っている。彼らは別の馬車だ。
そして、俺とカーリンの乗る馬車の中にはいつものクリスもいる。
二人っきりはだめ、絶対。なのだ。
「ねえ、少しダンスの練習したみたいだけど、その身長では踊ったことないんでしょ?」
カーリンが心配そうに聞いてくれる。
「ちょっと反則できるアイテムを見つけて」
そう言ってジャケットの裾をぺろりとめくる。
「あ、魔法陣、何の?」
「ダンスをリードする俺をリードしてくれる魔法さ」
「ふふふ」
すぐに到着したカーリンの手を取って降ろしてしばらくすると、馬車を駐車し終わったハロルドが俺の中に帰って来る。
“王子カッコいいね!”
“サンキュ”
せっかく異世界の王族になったのだから、かっこよく決めて楽しみたいよな。
念願のカーリンを腕に出来る理想のエスコートが出来ることに心の中で大感激しながら、平静を何とか装って会場入りする。だって、この体勢ってお胸が当たるんだもん。
「シュバイツ王子殿下とカーリン フォン ラーズベルト嬢のご入場です」
うわあ、
すてき!
国王陛下にそっくり。
後で踊ってもらえるかしら。
ああ、儂らにちょうどいい孫娘はいないのか
チッ、今日は大きいのか。
まあこっちも可愛らしいですわよ。
だが絶対領域がない。
確かに・・・。
単純に褒めてくれている声から下心ありや変なセリフまで色々、黄色ちゃんが伝えてくるのを、カーリンも聞いているんだよ!
でも、
「ふふふ、殿下と学友で良かったわ。後で、ツーショットの姿絵を殿下の魔道具で誰かに撮ってもらえませんか?」
さすがに、俺より長年貴族やってる彼女は強い。うん。今日はね、俺を守ってくれるんだって。
「ああ、そうだね!もちろん」
北側に作られていた、演台の様なところにカーリンと上って、父さんの隣に立つと、側にいたプランツさんからグラスを一つづつ受け取る。
ゆっくり流れていた音楽が止まると、周りを見渡すように頭を動かしていたブランネージュ国王陛下が口を開く。あちらこちらには、黄色ちゃんが声を増幅させるつもりなのか控えている。
「此度は、わが息子、シュバイツのお披露目に遠路遥々、または忙しいところをお集りいただき感謝する。
今後は、多少ではあるが、王子としての公務もしてもらいつつ、学業優先で、ガスマニア帝国に滞在することになる。ありがたいことにあちらの名誉国民の称号も頂くことがきまっているのでね」
と言いながら、来賓コーナーで今日は来てくれている皇太子と、第一王女、セイラード殿下の方に顔を向ける。
「ほう、それは」
などと言う言葉の中には
「なんと、この間まで、こちらに刃を向けていた国だぞ」
と納得しない声も聞こえてしまう。しかしそれをマルっと無視して、
「そして、私はまだ、この通り自分で言うのもなんだが年老いてはいない。彼は今後、もしかしたら私とは違う道を進むだろう。ゆえに、立太子は当面しない。
王国としてその方針で行くことを、理解して彼に接してほしい。
それでは、舞踏会を楽しんでいってくれ。
まずは乾杯!」
「「「「「カンパーイ」」」」」
一呼吸おいて、音楽が始まる。
「カーリン嬢、ファーストダンスをお願いできますか」
「ええ」
あっちこっちの教会で、チェンバロを弾いたり歌を歌ったりしたおかげか、我ながら舞台度胸を鍛えられたよな。初めて人前でのダンスだけど、カーリンが相手だからか、リラックスして楽しめるや。
「ねえ、シュバイツ殿下。王太子にはならないんですか?」
「そうみたい。なんか俺には急いでいないけど、やるべきことがあるみたいなことが言われてて」
「そうですね。私もふんわり聞きましてよ、あれでしょ?」
「ああ、あの時カーリンもいたね」
「ええ、バジャー子爵領へ向かう馬車の中で、殿下の伯母様たちの会話を」
ターンをするとカーリンから花の香りがする。
「あれね、壮大な話だよね」
「私も、出来る範囲でお手伝いさせてくださいね」
「うん。よろしくね」
「何が出来るか分かりませんけどね」
「うん」
「そのために家名を捨てちゃって冒険者オンリーでもいいですし」
「う、うん、それは早まらないで」
「ええ、もう少し鍛錬しなければいけませんね」
「無理しちゃだめだよ」
カーリンの後に、ヴィゴーニュ王女殿下、そしてナティエさんと踊り、ラーズベルト辺境伯夫人のお相手をさせられた。立て続けは結構ハードなのである。
「シュバイツ殿下、カーリンとファーストダンスを踊っていただきありがとうございました。当家としても大変光栄でしてよ」
「いえ、こちらこそ、いつもお世話になっております」
長寿の国だけあって、エルフ側には実質俺の相手をしてくれるような若い人は少なくて、それに、うっかり相手をしたら後々面倒になるからと、父さんやプラントさんにも言われていた。
さすがに連日、緊張が続いていたのか、すこし窓辺でぼうっとしていたら、
『王子、私とも一曲お願いできないかしらこのバルコニーでいいから』
「ユグドラシル!喜んで」
世界樹の女性と手を繋ぐってどんな感じだろうと思ってたら、柔らかくて暖かい手だった。真っ白で、伯母さんたちみたいに少し光っていて。
「ユグドラシルって、アティママ神と何かつながりがあったりする?」
『どうして?』
「何となく、感だけどね」
『まあ、いい線言ってるわ』
「やっぱり」
『ところで、私のことを、湖の向こうからも見るでしょう?』
「うん」
『そうしたら、今見えている頂上があるでしょう?』
「うん」
『本当は頂上じゃないのよ。頂上はどこかにあるはずなのよ。』
「どこに行っちゃったんだろう」
『そうなの。どこにあるんだろう?なのよ。二千年前には存在していたんだけどね。
出来たら探したいんだけど、私は葡萄の蔓がないと動けないのよ。私の梢の事、ちょっと覚えておいてね。わざわざ探しに行かなくてもいいから、見つけた時には教えてほしいの』
世界樹は確かに富士山のように横から見たら上の方が平たくなっているのだ。最初は火山の火口のようなものかなんて思ってたけど。よく考えたら、火山ではないし、木だし、本当の梢と言われる部分は取れてしまっているのか。まだ、上から覗きこんだことがあるわけではないけどね。
「わかった。伯母さんからも頼まれたこともあるし、学業が一段落したら探しに行くよ」
『ありがとう』
チュッ
わ、ユグドラシルからほっぺにキスをされる。そんなことされたら、絶対探そうって思っちゃうよな。
気が付けば俺たちのまわりで、ハロルドや、クインビー、そして、小さな妖精ちゃん達も踊っていた。
バルコニーの窓にはギャラリーが静かに俺達を見守ってくれている。
「・・・すごい風景だな」
「本当ですね。奇跡が舞い踊ってます」
「そもそも、みんなが集まってることが凄いんだよ」
「そうなのですか?陛下」
俺の王都でのお祭りは、この地の守りの女神ともいえる世界樹とのダンスで終わった。
お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪
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