ガスマニア帝国の血塗られた歴史
一応 女体化 になるんでしょうか・・・
ガスマニア帝国ラーズベルト辺境伯領は、帝国の北西に位置し、北はシュバイツ湖を挟んでさらに北にエルフの王国、ロードランダ王国。北西には地続きで虎人族の王が君臨する、何種類かの獣人族が暮らす、ベスティアランド王国と隣接していた。
そんな地域に居れば、その隣り合った国にいるエルフは寒冷な気候の中でもかかわらず、農業や酪農など自然を大事にしつつ活かす産業が安定していて、さらに魔法が得意で芸術にも造詣の深い人々が多く、穏やかに豊かに暮らしているのを知っている。
さらに、北西の獣人達は、寒さに強く人より優れた身体能力を持ち、建築や土木など、力があることで、森や草原のなかでも、自然と共存した素晴らしい街を作って暮らしている。
人間族にも、他に負けない頭の良さなどがあるが、目に見えるような優れた能力は他の種族と比べればどうしても劣って見える。
だからか、支配力を示したり、優位であることを誇示することで、他の種族より優秀でありたいと願うものがガスマニア帝国から出てくるのだ。
そんなことに労力をつかうより、お互いの違いを尊重し、理解し、種族の壁を越えて仲良くした方が、平和で暮らしやすくなると考えている人間も中にはいるが、好戦的な自国の派閥に立ち向かう勇気はなく、国や身分を捨てて他国に逃れる事ができる者はそうしていた。
そうして、ことあるごとに、北側の隣国に仕掛けては領土を広げるのが、過去のガスマニア帝国の歴代皇帝と貴族たちだった。そもそも、湖よりもっと南の方まで、獣人族やエルフたちの住まう地域だったのに、細かな人間国を統一し、他種族たちを追いやって帝国として建国したのが今から約七十年前。
それからも国境地域で小競り合いをしかけ続けていた。そんなわけで、もともとはエルフたちの領域にガスマニア帝国として支配をし出したラーズベルト領は、常に領土問題の最前線として、国境を広げる戦いに加わってきたのだ。
「今の皇帝陛下は、そんな帝国のありようが嫌で、皇族の地位を半ば捨てて、冒険者をしていたらしいの。しかも皇位継承権は五位だったと聞いたわ。でも先の戦で、皇帝を始め他の皇位継承者が戦死したり戦後裁判によって地位をなくしたので、繰り上がって皇帝に即位されたの。それに冒険者として国を越えて信頼が厚かったアドリアティック陛下が即位することが条件で、捕虜の数を減らしてもらったのよ。
お父様も、皇帝陛下と学園の友達だったらしくて、一緒に冒険者パーティも組んで大陸中を回っていたそうよ。
だから、今の帝国はもう人間族至上主義ではないのだけれど。極端な人間族至上主義者っていつの間にか出てくるの」
「うん、そうだね。それで、その大叔父さんは?」
「古い皇族につながる トウフェズ侯爵のエゴンって当主だった人が、人間族至上主義の筆頭で建国前から動いていた人。大叔父はその人に一番近くにいた貴族だったの。ラーズベルトでは次男だったから、後が継げなくて、それで侯爵の下にいたのだとお爺様が言ってたわ。もともとラーズベルトはエルフもいた小さな国だったのよ。母方にはエルフに繋がっているご先祖様もいるしね。でも帝国が出来た時に飲みこまれて辺境伯になったと言われているわ。
ラーズベルトでは、戦争の首謀者だった大叔父は、当主でもある辺境伯領主の責任のもと、帝都の屋敷で幽閉しているはずだった。だから、年末にあたしが怪我をしても、ラーズベルトの帝都屋敷が使えなかったのよ。犯罪者の檻にしていたから」
そう言いながら、年末にやられた右の二の腕をさすっている。
「でも誰かが外から、屋敷を開いてしまったのかしら。常にお父様や皇帝から派遣された警備兵が警戒していたのに。
それに、さっき早馬とか言ってたから、お父様に、私がこうしてつかまっていることで何かを要求するのかもしれないわ」
「ありがとう。辛い話もあったのに話してくれて」
「ううん、大丈夫。もうすぐただの歴史になるわ」
「うん、じゃあっと。あ、カーリンちょっと立てる?」
「ええ」
カーリンと両手を繋いで立つと、俺はもう一度変身の魔法を発動する。マジでこの手は使いたくなかったけど、ホントに俺って頼まれたら断れない性格だよな。
「まあ、シュンスケ君。すごいわねそんな変身もできるのね」
「初めてやってみたよ。身長はカーリンと同じぐらいだよね」
「前のときは髪が長かっただけだわね。今度も黒髪が長くて、目がグリーンなのね」
「背は合わせたんだけど、髪が黒か銀髪にしか出来なくて、暗がりならカーリンの菫色の髪や青い目と違わないでしょ」
「だけど、それにずるいわ、私より色白だしそれに大きい」
あんなに嫌がっていたのに、俺はあっさり女の子に変身した。身長もカーリンと合わせる。すると、カーリンが俺の胸をむにゅっと触って来た。
「あ、こら。いやん、カーリンったら」
「ふふふ」
またウエストポーチから、母さんの黒っぽいフレアスカートを取り出してカーリンに聞く。
「制服のじゃないけど、これならごまかせそう?」
短パンは変だしね。
「?おかしくはないわ」
そうして短パンの上からスカートを重ねる。ホックがやりにくい。だって自分で履くの初めてなんだもん!
「手をどけて。はい、これで良し。シュンスケ君というより、シュンちゃんね」
その呼ばれ方、母さんと同じだ。
「ありがと。じゃあここから出るよ。忘れ物はない?」
「カバンは⋯⋯」
「大丈夫、それは学生寮に届いているはずだから」
「ありがとう」
◆◇◆◇
壁しかなかった空間にドアが出現すると、海の香りのする部屋に出た。
「カーリン!」
「ダンテお従兄様!」
ここは?見たことがあるわ、冒険者の講習会で来たもの。
「冒険者ギルドの会議室だよ。シュンスケ君から連絡が来て、ここで待っていたのだ」
やっぱりギルドだったのね。
「シュンスケ殿は本当に変身の魔法を使いこなせるようになったんだな」
ダンテお従兄様の傍らには皇太子殿下もいらっしゃる。私のために殿下まで。
「そんなことないですよ、獣人族は無理ですもん」
「今度私の虫よけに舞踏会に出てくれないか」
「勘弁してください皇太子殿下。俺はまだ六歳ですよ」
「そんな、カーリンの女友達みたいな恰好をして⋯⋯」
「へへへ。ああ、忘れてた、カーリン。そのジャケット貸して」
「え?さっき床に投げられたからかなり汚れているわよ、ほら」
だから脱いだのに。
「わかってる。だから、それじゃないと」
あたしのボロボロになったジャケットをシュンスケが着る。
「それでは、ウリサ兄さんお願いします」
「大丈夫か?おまえ」
いやいやって感じの表情でウリサさんが紐を出す。
「心配しないで。危なかったら瞬間移動んで帰るよ。あ、兄さん足首も」
「え?ちょっとシュンスケ君!」
手に残った小さくなった彼のジャケットを抱く。こんな子が、まだ何をするというのだろう。
ウリサさんにさっきの私みたいに手足を縛られている。
「まあ、お前はいつものサイズになれば簡単に抜けるだろう」
「まあね。でもこれもゆるゆるだよ」
「当たり前だろ、弟とか女の子の手足を縛る趣味はないんだよ俺は」
自分で縛った女の子の頭を撫でている。
「ははは、解ってる」
胸元に黄色のバラと紫のアイリスを刺した皇太子殿下が、シュンスケに近寄る。
私は知っている。あそこには連絡用に精霊ちゃんがいるのね。
「この礼は必ずするからどうか」
とらえていたはずの戦犯が帝都を闊歩しているなんて殿下達も慌てているのだろう。しかも主犯は処刑された人物だと貴族の常識として教わっている。
「はい、では行ってきます。
カーリンは先に帰ってて、まだ寮が怖かったら、ウリサに海の家へ送ってもらうけど」
「ここで、待ってるわ」
「そう。じゃあ出来るだけ早く戻るね」
そう言って、手足を縛られた、黒いロングヘアで緑色の瞳の女の子は一人で消えていった。
私は、ギルドの女性職員とともに手や顔を洗ったり、髪の毛を整えてもらったりしてから、ダンテお従兄様のもとに戻って、温かいミルクティをゆっくり飲みながらこれまでの経緯を話したり聞いたりしていた。やっと落ち着いてきたわ。でもシュンスケが心配でたまらない。
「で、シュンスケが教えてくれたお前の監禁先が、トウフェズ侯爵つまりエゴンの屋敷跡の地下から続くスラムだった。ほぼ完全な密室だったから、転移魔法を使える奴でないと出入りできない。だから、私たちはここで待機するしかなかった」
転移魔法の欠点をシュンスケから聞いたことがあるわ。一度行った所しか行けないと。だから、あんなに小さくなって、精霊ちゃん達と来てくれたのね。
「それで、その拠点にもう一度行ってもらって、エゴンと、ヤーコブが何をしようとしているのか探ってもらうことにしたのだ」
「殿下そんな」
「シュンスケが言ってたんだ、あの部屋にはなにか危ないものが運ばれていたと。それにエゴンは私たちには記憶に残る戦争を起こしていた首謀者としての認識だが、先日シュンスケが帝都の通りから救い出した獣人の子供達の違法売買にもかかわっている人物だと言っていた」
「お従兄様⋯⋯」
窓も扉もない部屋で止まったはずの涙がこのギルドの会議室であふれてくる。
「カーリン様、あいつは大丈夫ですよ」
ウリサさんも心配そうな表情なのに、私に気を使って元気づけてくれる。
「ええ、彼にはすごい加護が付いていましたものね」
「はい」
◆◇◆◇
密室に戻った俺は、最初のカーリンがいたところに同じように横になる。
「ねえ、俺の髪の毛を散らかしてくれない?」
〝りありてぃね〟
髪の毛の房がいくつかがふよふよと動く。
〝こんなもんだな〟
〝じゃあ、くらくするぜ〟
落ち着くと黴臭さを認識する。こんなところで、カーリンが擦り傷も手当てされずにいたなんて。
バサバサッ
物音とともに灯りが灯されたのがまぶた越しでわかる。黒ずくめの三人の男がまた戻って来たのだ。俺は目をつぶったまま紫色ちゃんの視界を借りる。暗闇の映像は彼女のほうが都合が良い。
テラップという、いかにも下っ端がランタンを持っている。
「これで儂は帝都を手に入れて、お前はラーズベルト辺境伯になる。そうして、この帝国をもっと人間族至上主義として確固たる国にするのだ。ふははははは」
「そうして、どさくさに紛れて、ガスマニア帝国の人間たちを狩るのですか」
「ま、そういう事だ」
なんだこいつら、人間族至上主義トップの大義名分がちっとも大義じゃなかった。
「おい、カーリン、儂を覚えているか?」
エゴンは七十年前の建国の時から居たと言ってた割にはかなり三十代?ドミニク卿よりは断然若く見える。顔は悪人面だが、イケメンの方だろう。
「⋯⋯」
エゴンが俺の顎を掴んで顔を上に向ける。
「エゴン様すみません、この娘が閣下にお会いしたのはまだ赤ん坊でしたから」
「そうか、そうだな」
「それにしても、お前は父親のハインツに似たのか?そんな生意気な目で睨んで歯向かっても、対魔法使い用のロープで縛られた状態では無駄だな。くっくっくっ、おらっ」
ガシッ
「ううっ」
ヤーコブが俺の腹を蹴り飛ばす。
ドスッ
「ぐぅっ」
うめき声は俺の演出だ。こんなのゲール師匠のしごきに比べれば何ともないぜ。
「こら、痛めてやるな」
「そうでした、この娘は閣下の食事でしたね。
それにしても、人間族至上主義の筆頭の閣下がまさか吸血鬼〈ヴァンパイア〉だったなんて」
「信念の活動のために、死ななくて老いる事のない体が必要だったからな。しかし、色々味を見て人間族以外の血が私の好みに合わなかったのでね。もともとジビエ料理も苦手な高貴な生まれだったからな」
とんでもないセリフを言いながらこちらを見て口角を引き上げる。
「それにそろそろ、きちんと食事をしないと発狂するらしいからな。人間族には理性が大事だろう?なあ」
俺に向ける目が真っ赤に光っている。
こんな視線からカーリンを守れてよかったぜ。
「しかし、冒険者をしていると聞いていたが、この程度で声も出ないほどおびえているとは。所詮貴族の小娘のお遊びだね」
いや、お前らの会話の邪魔をしないように黙っているだけだ。お前らの会話は黄色ちゃんの魔法で、皇太子殿下達に筒抜けだ。
今度はエゴンが俺の頭髪の一部を乱暴に掴んで持ち上げ、もう片方の手で首筋を撫でながら、じゅるりと舌なめずりをする音が狭くて暗い部屋に響く。
ひえー俺はまだ鳥肌には耐性がない。ぞわぞわする!ここは睨むしかない?
「その絶望的な目が儂の食欲をそそるのだよ?カーリン君」
「相変わらずですね閣下」
「吸血鬼の欠点は食事の確保が大変なことだ。しょうがないから獣人のガキを買っているが余り美味くないからな」
「処刑されても死なかった方がですか?」
「腹は減るのさ。吸血は嗜好品みたいなものでもあるかな。お前こそ可愛い姪孫を儂の食事にしてもいいのか?ん?」
いい加減、俺の首を撫でながら会話をするのをやめてくれないかな。
「この子にはうらみはありませんがね、現当主に直接嫌がらせをするより効果的でしょう」
「あの⋯⋯閣下たちそろそろ」
テラップがおどおどしながら声を掛ける。
「ああ、この部屋の、爆弾の魔道具を、宮殿に仕掛けないとな」
「はい、儂からすべてを奪った帝都を更地にして、改めて建国しなければ。
⋯⋯その前に、味見をしていいか。美味そうな娘じゃ」
「閣下、五年もお食事されなくても平気だったのに」
「欲望には貪欲なのじゃ」
俺の首筋に噛み付いてくる。
見た目は三十代ぐらいで若いと思っていたが加齢臭が実年齢を物語ってるぜ。
「臭ぇんだよじじい」
俺はもう我慢の限界だった。
ビリリッ ガッ
「うっっ なんだ、顔じゅうが痺れる」
「閣下。カーリンお前まさか雷魔法が使えるのか」
エゴンは尖った牙を見せてきたけど。雷は尖ったところが好きなんですよ。
「何が理性だよ、自分のエゴのために大勢を犠牲にするなんて、愚かなおっさんたちだぜ。エゴンさんよ、名は体を表すってことわざ知らねえのか?」
そして、腹には腹をってね。
ドスッ
「うっ、な、なんだお前は」
「きもいんだよオッサン。攫う相手の顔をよく調べとけよ」
「何だと?そんな黒髪だ、まさか目の色も違う」
「確かに攫ったときは紫色で青い目だったぞ」
「うわーっ閣下、こんなところに扉が!」
「なに!テラップ、ここは空間魔法でしか入れない密室。ドアはつぶしたはず」
「しかも、ドアノブが動いています」
バタン
扉の開く音とともに光が差し込む。
「動くな!」
バタバタバタ
狭い部屋に兵士が雪崩込んできた。
「ヤーコブ・フォン・ラーズベルト、それに元侯爵のエゴン・フォン・トウフェズ」
「誘拐及び帝都の破壊工作容疑で捕縛する」
ダンテが抜き身の剣を持って入ってくる。
「な、どういうことだ」
「はなせ」
「ここは」
三人は素早く縄や魔法を封じ込める魔道具などで拘束されて、ギルド側の部屋に引きずり出された。
「ここは帝都の冒険者ギルドの会議室さ」
「おまえはまさか」
ぐるぐるに拘束されている魔法使いが、しゅるりと縄を自分で解いた俺に向かって叫ぶ。
「空間魔法使いのテラップさんよ。空間魔法が珍しいとはよく言うけどな、使える奴は他にもいるんだよ。それにまあ、俺の方が空間魔法は上手なんだぜ」
菫色の髪と青い目の少女の隣に、黒い髪で緑の目の少女の姿のままジャケットを脱いだ制服のブラウスと母さんのフレアスカートのまま、膝を広げた状態でどっかりと座った。そして、俺のブラウスは男性用だが、魔法学部のビジューを付けたネクタイだから、カーリンとお揃いのようなものだ。
「お、お前は、カーリンではない」
ヤーコブが叫ぶ。
「だからさっきから違うって言ってんじゃん。おっさんたち、俺とカーリン嬢を間違うなんて、失礼すぎるぜ。こんなに美少女なのに」
自分が今、女の子の姿なので、遠慮なくカーリンに抱き着き頭を撫でてから離れる。
「シュ⋯⋯シュンちゃんも美少女だわ」
「ちょ、カーリン、ややこしいから黙って」
ダンテさんが俺と入れ替わってカーリンの口をふさぐ。
「ほんとに俺みたいな男のガキと間違うなんてね!」
と言いながら立ち上がって、いつもの六歳の田中駿介に戻る。あ、スカート落ちた。スカートの下にいつもの短パン履いていたからいいけどね。
「そんな、あれ?こんなちっこいガキだった?小さ過ぎて男か女か分からん」
「ちっこい、いうな!空間魔法使い!」
ふう、これで一段落かな。
「あー疲れたー」
思わず口から出てしまった。
「ほんとにシュンスケ君!ごめんなさい。大丈夫だった?」
「謝らないでカーリン。俺は大丈夫。エゴンのオッサンにここ舐められただけ」
と首筋を触る。
「それは大丈夫じゃなーい、だめよ!」
「わわっ カーリンそんなにおしぼりで擦らないで」
「だってシュンスケが汚れちゃったもの」
縛られ終わって正座のように座らされている三人。
「そっちがカーリン?いや、確かに連れてきたときはその女の子だったはず」
女学生とガキが騒ぐ隣で、おっさんが絶望したようにつぶやく。
「それよりどうやってその扉を、固めて壁を付けたはずだし、通気口しかないから見つからないはずなのに」
「それは企業秘密です」
ギルドの壁には相変わらず証拠が山盛りに残っている部屋に開けられている扉がある。
そして、魔法の使える兵士が、俺が教えたつぶされたワイン貯蔵庫につながるドアの前の壁を風魔法で切り出している。
「そっちのお前は本当にカーリンなのか?」
「何をいまさら!」
「大叔父上、幼児のころから何年も会ってなかった姪孫の顔なんか知らないでしょう」
「大叔父? お前はまさかダンテ」
「私だって、犯罪者とは言え、大叔父上をこの手で捕まえるなんて嫌なんですけどね。カーリンを誘拐したのが、許せない。そして、辺境伯を脅かす材料にするとか。その上こんなに爆弾の魔道具を集めて、どうするつもりだったのですか」
「まあ、ダンテ、ここまで証拠があったらもう、言い訳もできないから、あとは皇帝陛下達に全部任せよう」
密室の会話を皇太子も風魔法で聞いていたし、俺のスマホには録画済み。
「はい皇太子殿下」
「⋯⋯皇太子まで出てきているのか」
「五年前の戦争犯罪者がうろうろしているなんて、皇帝陛下も、早く処理したいですからね」
こうして、ラーズベルト辺境伯の三女の誘拐事件は、わずかな時間で解決したのだった。
戦争犯罪者の逃亡と帝都爆発計画という大きな事件と一緒に。
とりあえず、そのままギルドの地下にある拘置設備に三人が連れていかれた。ダンテは犯罪者やここのギルマスと一緒に牢屋にいき、取り調べを続けるらしい。
会議室が静かになると、このままここで夕食をいただくことになった。たしかに、さっきのおむすびだけじゃ足りない。
魔法ってお腹がすくんだよね。
お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪
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