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異世界転移したら尖った耳が生えたので、ちびっこライフを頑張ります。  作者: 前野羊子
第二章 ~ロードランダ王子~

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ハニーな朝ごはん

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 ポリゴン町に今年になってゲットした、自分の土地に瞬間移動(と)んで、一坪の小屋の扉から出る。

「「あ、しゅんすけ!」」

「シト君おはよう!ヨネちゃん、チヨちゃん、まっちゃんたちも!

 そして、トムさんエマさん、おはようございます」

「「シュンスケ様おはようございます」」

「様はやめてほしいなぁ」

「いえ、これから雇っていただく身ですし。逆に僕らのことを呼び捨てしてください」

「私たちは孤児だったんですから、その方が慣れています。それに、お貴族様なのでしょう」

「いや、貴族ってわけじゃないと思うんだけど⋯⋯」

 まだ詳しくは分かってないんだよね。

 トムとエマは、従兄妹同士で孤児院の年長組。そろそろ将来のことを考えて自立先を決めなければいけないのだ。そして二人ともエリクサーの瓶詰めをしてくれている、俺はそれからの付き合いだ。トムは瓶詰めチームのリーダーだったしね。

 トムは焦げ茶色の髪と耳の八歳の犬人族の男の子。耳がぴんと立っていて男らしいけど人懐っこい愛されキャラだ。

 エマも八歳で、ミルクティ色の犬人族の可愛いタイプ美少女だ。ふわっふわの髪と耳が、もふりたくなる手をさそう。だめだめ!犬耳でも人(・)なんだから


 この二人が将来俺の下についてくれるそうだ。使い物になれるようにするのは、俺の仕事でもある。

 まあ、そんな固いことは置いておいて、トムは俺と同じで、今は冒険者の仮免中だ。年齢は達しているのだが、もう少し武術を頑張る必要があるとゲール師匠が言ってた。十二歳になれば、戦えなくても最低ランクにはなれるんだ。戦わない依頼もあるからね。


 シト君とヨネちゃん達は、二人が俺に会うなら、と一緒に来てしまったらしい。

「ごめんね、シュンスケ君」

 引率シスターがいるなら問題ないです。

「いいえ、シスター。俺も後で孤児院に顔を見に行くつもりだったんですから。会えてうれしいです。

 じゃあ、始めようか」

「はい!」

 今日は、蜜蜂の巣から採蜜をするのだ。

 精霊ちゃん達から、クインビーのオッケーを伝言で貰ったので、今日の決行となった。


 ガーデンテーブルセットを二セット出す。今日は暑いのでパラソルも出す。


 俺と子供達は髪の毛が落ちないように頭をバンダナで止めて、子供用の不織布マスクも装着済み。手も洗って、除菌スプレーもオッケー。


『王子、ご挨拶よろしいでしょうか』

「あ、クインビー様、おはようございます」

 女王バチの高位精霊がいらっしゃった。

 彼女は皆にお姿が見えてます。隠れることもできるらしいけどね。

 大きさは、他の精霊ちゃんと同じく、小鳥サイズ。だからミツバチよりはかなり大きいですけど。従えている働き蜂たちはたぶん普通のミツバチです。


『敬語はやめていただけませんか?』

「そ、そう?」

 だって、クインビーは小さいのに威厳があるというか、カリスマを感じちゃうんだよね。

 コホン

「じゃあ、これぐらいでいける?」

 取り出したのは、魔女先生に結局譲渡された魔道具から、大量に作った広口ガラス瓶。しかも六角形があったんです!大きい瓶なので一度に十個しか作れないんだけど充分だよ。何しろ精霊ちゃん達が面白がって作ってくれてたんだもん。俺は何もしてないんだよね。

 広口瓶だけは、丸い蓋が別(金属)材料で作る仕様になっておりまして、今回はステンレスにしております。銀色に光ってる。それを俺と白色くんのブラックライトの魔法で念入りに殺菌して、百個ずつ木でできたケースに入れてスタンバイ。一個百五十ミリリットルの瓶が千個テーブルに並んでいます。

『ちょうどいいですね。では行きますよ』

 クインビーはオパールのような複雑な光を放つ魔石が付いた、黒文字ぐらいのサイズの魔法の杖を持っていて。そうです!魔法使いでもあるんですよ!

 魔法の杖を王笏のように優雅に振ると、俺が作った(最終的に十箱作りました)木樽の巣箱が光り、と同時にテーブルの上も光った。

「うわーすごい!」

 千個の瓶全部にぴったり上までまったく同じ高さに、琥珀色に透き通った蜂蜜が満たされていたのだ。

「「「「きれーい」」」」

「さ、蓋を閉めていきましょう!」

 シスターの掛け声で皆がふたを閉めていく。


 子供達の感動とは別で俺は、

「クインビー、師匠と呼んでいいですか?」

 こんな素晴らしい空間魔法があったなんて。目から鱗だ。

 俺なんか、水の女神さま(叔母さん)にもらった大量のエリクサーを分けられなくて、孤児院に外注したのに!やり方を教えてほしい。

『やめてください。こういうのは経験ですよ。こんな杖のようなデバイスとか、ツールがあるといいですよ』

 と、魔石を光らせてデバイスを少し振る。

「デバイス?⋯⋯といえば俺はスマホなんだけどな」

 ふと、母さんに持たされているスマホを見る。

 これ、母さんに持たされているオリジナルのスマホ⋯⋯あれ?いつのまに画面に

〈杖〉アイコンがある!地図の老人ホームのマークみたいと思ってたら!このスマホは魔法の杖だったのか!

 母さん(=風の女神)に渡されていたものなんだから、もっと見とけよ俺!

 がっくり。


『王子、ほかに清潔な空の樽ありますか?』

 おっと、作業中だぜ、サボんなよ俺。

「これで大丈夫?」

 樽も用意しているよ。言われてたからね。おニューのドラム缶サイズの樽を買って熱処理とブラックライト殺菌済み。割安と言われて十個も買ったんだけどさ。

『では行きますね』

 ピカっ ドサドサドサ

「え?蜜蝋ワックスにもしてくれているの?」

 キューブ状の、まるで琥珀のような美しいそれがいっぱい入っていた。

『高品質ですわよ』

「うわあ、ありがとう!」

 ほくほくで樽に蓋をして。


「みんなどう?」

「もうふた おわるー」

「よし、じゃあこの瓶はいったん片付けるね」

 広げていたものをアイテムボックスに入れて、樽も収納。

〝おうじ ひとつのこってるよ〟

 黄色ちゃんが言うけどさ。

「もーわかってるくせに」


「じゃ、おまたせ。朝ごはんにしよう!」

「「「「わーい」」」」

〝わあい〟


 侍女のミアに出かけに渡されたバスケットには、スライスされた柔らかめのパンと、プレーンなビスケット、ハム、バター、キャベツの酢漬け、牛乳、柑橘ジュース、そして紅茶のセット。

 二つのテーブルいっぱいに広がると、孤児たちから歓声が上がる。

「わあ、いっぱい!」

「こんなすてきな朝ごはんは初めてかも」

 その様子をシスターが見守っている。

「さあ皆!今日は、蜂蜜も塗り放題で行こう!」

 片付けなかった瓶を掲げる!

「「「「やったー」」」」

 初夏の青空の下、採れたての蜂蜜をたっぷり塗った、朝ごはん。最高だぜ。

「うーん、はちみつあまーい」

「よかったな。俺、まっちゃんのその顔見るために頑張ってよかったぜ」

「まあ、シュンスケったら」

 ヨネちゃんがままごとのお母さんモードなつぶやき。

「なんかおとうさんみたいなセリフ」

 チヨちゃん!なんでお父さんのセリフを知ってんだよ⋯⋯絵本か?俺がプレゼントした本にあったか?

 前に、正月に来た時に孤児院に本を寄付したんだ。ぼろぼろの本ばっかりだったしね。プレゼントの習慣なんてないけど、クリスマスプレゼントというかお年玉というかね。

「シト君、これ美味いぜ、こうやってね」

 パンに、バターをたっぷり塗って、その上から蜂蜜をたらたらする。

「うわぁ」

 よだれが隠せていないぜ!

「⋯⋯おお、うんまー!」

 背徳感の味はたまらないよね。

「でしょ。で、口が甘くなりすぎたところに、このハムも食べる」

「たまらんねー」

 セリフに〈おやじ〉入ってるよ。


「ほんとにおいしい」

「甘くて幸せ。シュンスケ様についていくわ」

 犬人族の二人にも好評でヨカッタデス。


「これは、普通の人より贅沢な朝ごはんですよね」

 シスターがいう。

「シスターは皆を連れてきてくれましたからね。気にせず食べてくださいね」

 ここの聖職者には食べ物に対する戒律は厳しくはない。強いて言えば、生魚や生肉は禁止だそうだ。それは教えというより、健康のためだと思うけどね。他には煙草がダメなぐらいで、適量のお酒は大丈夫。ただし酔っ払うのは禁じられているので、ちょっとしか飲まないらしい。まあ、俺もまだ酒は飲んだことないから、それが辛いとかは分かんないけどさ。酒飲みだった大人が、聖職に就く時に辛いらしい。


 さて、俺は持ってきた水筒に、柑橘のしぼり汁と今採れた蜂蜜に魔法で出した水を加えてシャカシャカしておく。


「シュンスケ、それどうするの?」

 俺より少し背が高くなったヨネちゃんが聞く。

「ああ、ほら、また昼からお歌うたうでしょ、俺。これ飲んだら喉の調子がいいんだ」

「へえ」

「お正月にね、ギルドのレストランでアザレさんにもらって、あの時は温かいやつだったけどね。ちょっと飲む?」

「うん」「ちよも」「まちゅも」

 ちびっ子たちのコップに入れていく。もちろんシトにもね。


 そう、俺は昼からも小遣い稼ぎをするのさ。お屋敷を管理したり、人を雇ったりするんだから、お仕事のお誘いは断れないよね。


 テーブルでは小さくちぎってあげたパンが、お皿に垂らした蜂蜜のうえで踊っております。だんだんお皿のパンも蜂蜜も少なくなってきてるけどね。


〝くいんびー はちみつおいしい!〟

〝あまーい〟

『あら、当然だけど、ありがと』

〝はたらきばちさんも ありがと〟

『ふふ、お礼言われて皆も嬉しいでしょう』


「じゃあそろそろ、孤児院に行こうか」

 俺の土地には、これから花咲く栗の木を五本ぐらい植えてある。まだ、建物は小屋だけだ。次は栗の木の蜂蜜だな。楽しみ

 川の土手には小さなエンドウみたいな草花もあるみたいだし。必ずしも花のなる木を植える必要はないけどね。林檎とか栗とか実も欲しいもんね。

 林檎の花の後の摘果(間引き)も犬人族の二人がしてくれている。

 田中駿介果樹園だな。


「陽が強くなってきたから、孤児院に行きましょうかね」

「はい!」

「あ、荷車(カート)で来られたんですか?」

「乗ってたのはマツだけよ」

 なるほど。みんなで押してるんだな。

「じゃあ、小さい組はみんな乗って。シト君とヨネちゃんも」

「え?シュンスケ?」

「いいからいいから」

 四人を荷車に乗せる。鑑定したら百キロオッケーってなってたし。

「じゃあ、行こうか」

 スイっと取っ手を片手で持ちながら押す。

「うそ、そんな軽々と」

「四人も乗ってるのよ」

 精霊ちゃんもいるからもっとたくさん乗ってるよ。

「車輪ついているから、動き出したら平気ですよ」

「でも、ここってじめんがガタガタなのよ、それなのに、なにもないなんて」

 ヨネちゃんさすが、鋭いな。

「シュンスケ様は魔法使いって言ってましたっけ」

 うん。トムさん

「まだ、学校で勉強中だけどね」

「車輪が動いてませんわ」

 ばれたかエマさん

「さすがに八歳の人にはばれますね。これは、少し浮いているんですよ。それで風魔法で押すのを補助してるんです。多分エマさんでも大丈夫、押してみますか?」

「ええ、シュンスケ様が押すより良いです。あら、ほんと楽だわ」

「こういう、女性でも物を軽く感じて作業のできるような道具があるといいですね」

 シスターもつぶやく。

 そのアイデアをもらっていいですか!この台車にもう付与しちゃおうかな。でも安直に付与するのも危ないか、ブレーキとかロックの機能がいるよな。ベビーカーとかは見たことないしな。手が空いた時に試作してみたいな。って、手が空くときがあるのか俺。


 孤児院に続く教会に入った俺は、みんなで手を洗ってから職員用の会議室に行く。隣は音楽室なので昼からのスケジュールにもいいしね。

 会議室のテーブルにさっきの蜂蜜の瓶を再び出して広げる。

 よし、携帯の杖アプリ発動しちゃうぜ。写真モードで、対象の瓶たちを囲って指定。そこへ、錬金術で瓶と蜂蜜の間の隙間を脱酸素!空中から生成した窒素充填。ちょっと気圧低めで。鑑定して確認、消費期限も出せるか⋯⋯未開封で二年半。


 トム君とエマさんを中心に子供たちにこの後の作業を説明する。エリクサーを瓶詰めしてくれてるメンバーだ。

「スタンプを作ったんだ(ミノタウロスの角の合成樹脂で)」と言って、クインビーのイラストに〈SCHVEITZ(シュバイツ)〉ってロゴをあしらった楕円形の丸い少し大きなハンコを見せる。そしてスポンジたわしを利用して作ったスタンプ台。緑色のインクを入れてます。それに、クラフト紙みたいな色の王都のジャンクカンパニーで買った紙に押していく。

「これをこうポンポンとやっていく」

「うん、おもしろ」

「クインビー様可愛い」

「そしてこのスタンプの外側を鋏(はさみ)で切る。鋏は使ったことある?」

「あまり上手じゃないけど」

「私はつかったことはないわ」

「これはすごく切れ味がいいから、気を付けないといけないけど、使いやすいよ」

 そう言って、ステンレスの鋏を二丁だして、見本で切ってみる。他には小学生用の鋏も三つ出す。

「よし、僕がまずやってみる。うわ、力要らないし、すごく切りやすいね」

「私も出来たわ」

「あたしも初めて切ったけど出来た!」

「うん、ヨネちゃん上手」


「スタンプを押すときに、紙のゴミが沢山出ないように、工夫してね。そして、この細長いリボンみたいな紙をこのぐらいの長さに切ってふたから瓶の両方に糊で貼るんだ。」

「うん」

「そして、この楕円の紙も糊を付けて貼る」

 ほんとはシールが欲しかったんだけど、まだ、そこまでの技術がない。瓶に貼るなら、伸び縮みは考えなくていいので、俺がご飯粒で作った糊を使う。


「まあ、可愛い!」

「ほんとだ。これはいいね。美味しそうに見えるよ」

「でしょう!」


 もう一枚、の紙に 小さく、〈開封後はお早めに、未開封時の消費期限〉とその年月を入れたものを

 一面に並べて複写していく。

 これは小さいから俺が切ろうかな。

〝ここは、あたしのでばん!〟

 おお、黄色ちゃんたのむよ!

 シュルシュルシュルシュル

「おおおっあっという間。さすが!」

〝どんなもんだ!〟

「しゅんすけ、じぶんのまほうを ほめてたらへんよ。すごいけどね」

「いや、チヨちゃん、これは俺の魔法じゃなくてね」

 言い訳しようとするおれを清らかな瞳で見つめる。

「助けてくれる精霊ちゃんがいるんだ」

「クインビーさまじゃなくて?」

「あ!ひょっとして、ときどきシュンスケのまわりにいる ちいさいこ?」

「見たことあるんだ。うん、そうだよ。

 それで、この小さい紙をね、裏側に貼ってね」

 ちっちゃい紙に糊を付けて貼るのは、ちっちゃい指が良いしね。

「なんてかいているの?」

「蓋を開けたら早く食べてと、この日までに食べてと書いてあるんだよ」

「へえ、そんなにながもちしたら、らいねんのはちみつはたべられないわねえ」

「だからって、日持ちするのをわざと、短くするのも変だろ」

「そうね、おいしいから、ねだんがたかくても、すぐになくなっちゃうわね」

「そうだね。全部売れちゃうといいね」

 販売はここのギルドと、帝都のギルドの予定だ。


「ところでシュバイツってなに?」

「俺のオリジナルブランド名さ」


 ドミニク卿とも相談したネーミング。

「お父上に頂いている名前を使え」

 いや、駿介も父さんがつけたと思うのだけど。

 それに、あの湖の名前だからどこかと商標被ってるかもと、冒険者ギルドで検索したら、なかったんだ!だから俺が商標登録をギルド経由で出して通ってるのだ!


 そうして、シュバイツ(おれさま)ブランドの商品が誕生した!


お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪

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