58【不穏な知らせ】
しばらくシリアス続きます~
「エルフめ、亜人共め・・・この世は人間族が支配しなくてはならぬのだ」
「そうですとも。エゴン様、きっとあなた様が返り咲く日がそこに来ております」
「早くしなくては、儂には時間が残されていない。おのれ・・・」
「それにしても、資金源の亜人の売却を邪魔したのは何者なんでしょうか」
「次の便でわかるじゃろ」
影というのは、光が輝いているほど、その隣で真っ黒な姿を現す。
このガスマニア帝国でも、帝都の皇帝の住まう宮殿に隣接している貴族の屋敷のある敷地のエリアを、強盗などから守るために囲んである美しい壁のすぐ外側に、スラムと呼ばれる地域がある。貴族の下働きの中でも底辺の者が住んでいたり、貴族の地位を失っていながら、以前の住まいの近くに縋りつくもの、強盗や闇を業として行うものが拠点としている者などが暮らしている。
「人間族のためにも、あの地を取り戻さなくては」
「はい、帝国は、いや、この大陸は人間族が治めるべきです」
不穏な会話は、光の影にうごめいていた。
ーーー
「五年前まで領土拡大のための戦争を繰り広げていた、このガスマニア帝国では、今でこそ、軟化してはいるが、人間族が上に立って、大陸を牽引すべきだという考えが、古い貴族を中心に残っている。そのため、他の種族には暮らしにくい区域もある。海岸沿いや東側の国境辺りはまだ緩いが、北西のベスティアイランド王国の国境では、その五年前の戦争の記憶もまだ浅く、行き来をするのには注意が必要となっている。」
おれは、丸暗記で筆記試験を突破したけど内容が分かってないからと、単位を取り終わっている普通科のガスマニア帝国の歴史&地理の講義を聞いている。単位を取りおわったあとに授業を聞いてはいけないわけではないからね。
どこの世界でも、戦をするにはそれなりに大義名分がある。ガスマニア帝国の場合は、人間族が大陸中で主導権をもって動かすべきだという、左派やタカ派が時々思い出したように立ち上がるそうだ。
「今の皇帝つまり父上はもちろん、代々のきちんと勉強したトップは戦争のばかばかしさが分かってるんだけどね、取り巻きにそそのかされたり、制御できなかったり、色々あったんだよ」
「この講義はいやだわ」カーリンがつぶやく。
何故か、魔法学科のSクラスが固まって席についている。みんな単位は取ってるのに、俺に付き合ってくれている。ホント付き合いいいよね。
「どうして嫌なの?」
外国(異世界)から来た俺は帝都の貴族の子女なら知っている歴史の細かい部分がやっぱり知識不足ではある。
「この、タカ派にラーズベルトの叔祖父がいるのよ。父上や、叔父上はこの人がまた変なことしないか冷や冷やしているわ」
「あれから五年だ、タカ派の筆頭は処刑されたから、当分何もないと思うが」
セイラード第三皇子殿下はさすがによくご存じだ。貴族のみんなは、自分の家も絡んでいるので詳しいのだろう。
戦争の歴史と地理の講義の後。おれは魔法学科のみんなと、殿下の護衛二人が、オープンカフェでだべり中
「でも、なぜ人間族至上主義なんだろう。まあ自分のアイデンティティを大事にしたいってことなのかな。まあそれは解る気がするけど」この世界は、地球とは違う意味で多様だからな。大きく人としての定義では人種を超えた違いがある。
「左派たちの思惑はばらばらだが、筆頭はな、他種族の皆の能力が高いことにコンプレックスを持っていたのだ。エルフたちは、不老長寿だし、獣人族は身体的な能力が高い。」
ブリドが付け加えてくる。
「しかし、左派の幹部たちは人間だから劣っていたわけではなく、劣等感が斜め上を行ってたのさ」
「シュンスケ君は、何でも出来るから、コンプレックス無いでしょう?」
「カーリン、俺のコンプレックスが何かって解ってるでしょう」
「可愛いことの何がコンプレックスなのよ。六歳の可愛いのは普通よ」
ずっと大人に変身しとくこともできるようになったんだけど、と俺は心の中で反論する。
「でも、もう戦争はこりごり。母様も領民もみんなおびえていた。兄上も巻き込まれて亡くなったし。あんな悲しいことはもう嫌だわ」
「私も、父が亡くなりました」ラスのお父さんも、戦争中はガスマニアの少将をしていたらしい。戦犯の下についていたわけではなく、前皇帝の盾だったそうだ。
五年前は大人になるほどつい最近のこと。だからまだ、人間族以外はあまり帝都にはいない。
「だから、私はもっとランクを上げて、他の種族がいっぱいいる国に依頼で行きたいの」
「カーリンは、ロードランダに行きたいんだろ?」
「ええ!もちろん。一目でもブランネージュ様に会ってみたいわ!」
「カーリンは昔から、エルフとか妖精とか好きだもんな」
幼い時から彼女と付き合いのある殿下が言う。
「戦争中は絶対に口には出せなかったけど、湖の伝説の絵本の世界が大好きで」
「へえ、ブランネージュ様って教授よりかなり年上なんだぜ。大丈夫?」
「シュンスケ君、年齢は関係ないの。多分ブランネージュ様には年齢はないのよ」
「ほんと、ストライクゾーンが広すぎるよ」
ラスがあきれ顔
「あこがれるぐらいいいじゃない。ってことなんだから、シュンスケ、劇も頑張ろうね」
クラス中がカーリンの趣味に付き合わされていると。
「ラブシーン頑張ろうね」
俺の仕返しに顔が真っ赤だ。
「もーそういう事言わないの!」
カーリンのために、招待状出しておこうかな。六月の第三日曜日が劇の発表会なんて、ばっちり〈父の日〉じゃん。だめで元々でさ。と予定を立てる。
そして、
「そんな、カーリンにこれをプレゼントするぜ。産地はポリゴン町だけどな」
〈シュバイツ〉印の蜂蜜保湿クリームと、蜜蝋リップ食紅色 簡単なレシピは渡して 犬人族のエマが頑張って開発した。蜜蝋も大量だった。
「わ、ありがとう。でもなんで〈シュバイツ〉?」
「ドミニク卿がそれでいけと言ったからしょうがなく。ほんとは〈シュンスケ〉シリーズでよかったんだけどさ。(タナカは日本にありそうだしね。被ってもいいんだけどさ異世界だから)
殿下もお姉さん(皇女殿下)がいたっけ。高級ブランドじゃないけど、どうぞ」
「うむ、気を使わなくていいのに、しかしありがとう」
「じゃあ私たちはこれで」
「シュンスケ、悪いなお先」
「うん、みんなまた明日」
それぞればらばら帰る。
俺はウリサが少し用があると言ってたので、予定の時間まで温室で時間つぶしに向かう。出来る限り、馬車で登下校をする普通の貴族の学生生活をしろとは言われている。たしかに便利すぎて、直ぐに色んな所から自分の部屋に直接ドアをつなげたくなるけど、こういうのは特殊な能力だという感覚が麻痺してはいけないよな。
殿下と護衛達は宮殿が徒歩ですぐなのに馬車を使わされている。王族に何かあってはいけないから、警戒するためもある。
二人の護衛以外に近衛兵も何人かついている。
カーリンは貴族用の学生寮で生活をしている。学校の敷地内ではあるが、そこへ行くには公道を挟んで渡った先にある。まだ、明るい時間なら一人で行き来出来るらしい。冬などは学園職員が警備に着く。
帰っていく友人を見送り一人になった俺は、温室のテーブルで、父親に学園祭への招待状を書くために、南国で買ったバナナペーパーのレターセットを出す。
"たいへんたいへんーおうじ、かーりんがー!”
突然、赤色くんから叫び声のような念話が
“カーリンが?どうした!”
目の前に現れると半泣きで叫ぶ
“きえちゃったー!”
年末にカーリンに付けていた赤色くんは、髪に差したバラが枯れてなくなっても、彼女についてくれている。その赤色くんが見失うってどういう事だ。
温室を飛び出し、学生寮に続く道に沿って空へ飛ぶ
“おうじ、ごめん、かーりんをみうしなった!”
赤色くんも何気にパニックになっている。
「どうした、落ち着いて、詳しく」
顔の周りでブンブン飛んでる子をとらえて、目の前に持ってくる。
“くろいやつがさんにんで かーりんをかこんだと おもったら”
「黒いやつ?」
“かおもくろいので、おおってて、わからなかった”
「それで?」
“よにんとも きえちゃったー!”
転移魔法か。俺も乱発してるけどさ、悪いやつに使われたら怖いんだよな。
「黄色ちゃん、ウリサ兄さんは?」
“まだ、冒険者ギルド”
「わかった。みんなー、カーリンを探して!」
“わかった!” “おれがみうしなって ううっ”
“あかいろ、がんばってさがそ”
“がんばる”
「頼んだよ!」
“かぜは どこにでもはいれるんだから”
“やみ も、どこにでもある”
俺はすぐに温室に戻り、教授の部屋の扉を開く。
「ブラズィード教授!カーリンがさらわれた!」
「なんじゃと」
「彼女に付けていた精霊が、三人の黒ずくめに囲まれて消えたと」
「精霊か・・・精霊の証言は使えないが、と、とにかく、儂は寮に連絡を入れよう。
お主はどうする」
「今から冒険者ギルドに連絡を入れて、ダンテさんにも知らせます」
「うむ、頼んだぞ」
俺はそのまま、教授室のドアから冒険者ギルドのドアにつないで入る。
「おっと、シュンスケか、悪い、待たせた?」
ちょうどドアから出てこようとしたウリサとぶつかりそうになった。
「違うんだ、兄さん、ちょっと付き合って」
そう言って、ギルドのカウンターに引き返す。
王都の冒険者ギルドのウリアゴ担当のソルツが丁度まだカウンターにいる。
「ソルツさん、帝国国立学園一年のカーリン フォン ラーズベルト嬢が攫われたんだ」
「「「なんだって!」」」
カーリンは辺境伯の三女にして冒険者でもある。俺らの屋敷にも年末に滞在したことがあるから、ウリサも他の冒険者も驚いている。
「シュンスケ、あの子らは?」
ウリサは精霊のことを聞いてくる。
「あの子たちの前から消えてしまったんだ。教えてくれたのもそうなんだ」
「そうか。ソルツ、とりあえず宮殿の皇太子殿下の補佐のダンテ様に連絡お願いできないか」
「よしきた!」
「シュンスケ、あとは俺たちに任せなさい」
「そんなわけにはいかないよ兄さん、彼女は大事なクラスメイトなんだから。じゃあ、学園に戻るね!」
「あ、ちょ。行ってしまった。
チッ、まーた単独で突っ走る!仮免のくせに」
「まあまあ、ウリサ、あいつは出来る子だ。仮にも兄貴なら分かってるんだろう?」
「・・・ああ、分かってるのだが、シュンスケも事情があるやつだからな」
ウリサはおもむろに床に置いてある観葉植物へ独り言をつぶやく「そこにだれかいる?セバスチャンにシュンスケと俺が遅くなるって伝えてくれ」
周りの風とは違う向きに、ウリサの前髪がなびく。
「たのんだよ」
“おうじ みつけた!”
上空で精霊ちゃんからの報告を待とうとするや否や、赤色くんから連絡が入る。
目の前で見失ったから、頑張ったようだ。
「カーリンは?」
“おおきな けがはないけど、しばられている”
「場所はどこ?」
“まっくらなところよ”
闇属性の紫色ちゃんから声がした。
「連れて行ってくれる?」
“いりぐちがちっちゃいの、てんいじゃなきゃ、むり”
転移魔法は最低でも場所が分からないといけない。
「小さかったら入れるのか?」
“あたしたちははいれるの”
「近くまで教えてくれ」
“わかったわ、こっちよ”
“あたしもいく~。
それとね、うりさが、せばすちゃんに れんらくしてって いってたから、おうじたちがかえるのおそいっていってきたよ”
報連相ありがとう。ウリサ兄さん!黄色ちゃんもありがとう!
ーーー
・・・ここは、どこ?真っ暗だし、初夏だというのにやけに寒いわね。今日に限ってなぜメインのマジックバッグを持ってないのかしら。あれに剣とか討伐の道具をいれているのに。可愛くて気に入ってたからって、普通の学生鞄だけを持ち歩いていたのは失敗ね。
貴族用の学生寮への帰り道なんて、学園の敷地内なんだから、警戒なんてしなかったわ。
女の子一人に三人がかりってひどくない?おまけに、ここへ投げ入れられたから、脛をすりむいているのか、じくじくしている。まあ、腕が切られたときに比べたら何でもないけれど。
今年は、私は厄年かしら。でも、またあの子が助けてくれるわ。なんて、だめだめ!カーリン。何度シュンスケ君に迷惑かけてるのよ!
それにしても手足を縛っている紐が痛いわね。魔法が利かないのかしら。さっきから火魔法で焼き切ろうとしているんだけど出来ないわ。
お腹空いてきたし、眠くなっちゃった。
“かーりん、しっかりして、ねちゃだめだよ”
あら?いつもの声
赤い光が見えるわ。あ、精霊ちゃんだわ
「貴方は赤色くんね」
“よかった、かーりん、すぐにおうじが、たすけにくるからね”
「皇子?セイラード殿下ってこと?」
“ねむっちゃだめだよ”
「わかったわ」
背中の方で気配がする。ずるずると荷物を引きずる音もする。
また、あの男たちが入って来た。
「おい、お前の甥に連絡しているのだろうな」
「はいもちろんですよ。しかし、早馬でも二日かかりますんでね。それまでこのままです。空間魔法使いはここのテラップしかいませんからな。それにこいつでは甥のところまでは遠くて無理ですしね」
「ヤーコブ、今度こそ」
「ええ、閣下。私もお手伝いしますので」
ヤーコブ?の甥? ヤーコブなんて珍しい名前でもないけど、もしその甥が父上ならいやだわ。この会話を誰かに伝えなくては。
「おい、行くぞテラップ」
「へい」
私の父の叔父は、ヤーコブ フォン ラーズベルト。お祖父様の末の弟で、お父様の叔父にあたる人。私が生まれるずっと前に、元侯爵のエゴンって人と亜人狩りをやって、隣の国と戦争を起こした首謀者の人たち。ヤーコブ大叔父はラーズベルト家の帝都屋敷に幽閉されていたのじゃないの?なぜ出てきているの。それに、大叔父より上の人ということは、エゴン?まさか。
この国にはもともと人間族至上主義が多く、時々大叔父とかエゴンみたいな人が、出てきては、他の種族ともめているのよ。
で、なぜ私を攫うのかしら。
“みどりいろ?あれ?おうじ?”
「どうしたの赤色くん」
“うん、きたんだけど”
「遅くなってごめん、ここまで小さくなるの初めてでさ、手間取っちゃった」
赤色以外の色の小さな光もいくつか来た。
“あかるくするね”
「白色くん頼んだよ」
光源がどこにあるか分からないけど、周りが分かるぐらいには明るくなった。
見回すと窓やドアがなく、壁しかない空間で、その壁の隅のいくつかに小さな空気穴があるみたい。私はこんな部屋にどうやって入れられたのだろう。
周りにはたくさんの木箱が積まれていて、中にはガラクタのようなものが入っているのが上の方にはみ出て見えている。
でも、そんなことや私自身のことなんて、どうでもいいの。
さいきん、よく姿を見せてくれる精霊ちゃんたちが来てくれたし、初めて見た少し光ってる子がいて。この子が気になって仕方がない。
目の前にいる、緑銀色のちょっと長めの髪と鮮やかな緑色の目のとってもかわいい精霊君がいた。同じ色の組み合わせの女の子の精霊は見たことがあるんだけど。男の子もいたのね。
「カーリン、大丈夫?」
緑銀色の子はあたし達と同じ制服を着て、背中に翅が四つある。
「やーん可愛い!」
あたしは後ろ手に縛られたまま座り、目の前の可愛さに悶える。
「縛られてて、そのセリフ?心配して来たのに」
小さいのに、見覚えのあるポーズであきれたように私を見る。
“おうじ、あたしと おなじおおきさー”
“あたしなんて、いろもおおんなじよ”
“いいなあ”
「おまえらいつも平和だな」
制服の精霊ちゃんは他の子たちにもあきれた表情でほほ笑む。
「ま、まさかこの可愛い精霊ちゃん?はシュンスケ君?」
頷くしぐさも可愛い。
「ここは、スラムのなんか深い地下室だな。悪さをするにはもってこいなんだが」
「え?スラム」
貴族じゃなくても普通の女子ならスラムは怖いところと教わって育っている。
「うん、入り口が空気穴しかなくて、転移魔法でしか出入りできないみたいになってる。こっちの壁の裏には出入口の扉があるんだけど、接着剤かモルタルみたいなので固められているんだ」
精霊シュンスケ君は、いつものシュンスケではなくて、先日見せてもらった大人エルフの色だ。瞳の色がきれいで目が離せない。
「それよりカーリン、怪我とかないか」
「ちょっと、足をすりむいちゃって」
「どれ、
あー本当だ、痛そう」
っていうや否や、翅をぱたつかせて私の足の方に飛びながら魔法を振りかけてくれる。
何をしても可愛い!
「よし、こんなもんかな。あ、やべ、カーリンもうちょっと待ってね。また、さっきみたいに寝転んで」
部屋が再び暗くなると、また三人が部屋に現れて、何かを置いていく。
精霊シュンスケ君はあたしの首のあたりに、あたしの髪を持って隠れている。
ほかの精霊ちゃんは消えちゃった。
「これで最後か」
「はい、これだけあれば、宮殿は・・・」
「そうだな、ふふふ、忌々しいやつらめ、これで・・・
では戻るぞ」
男達が消える。
「ふう、小さくなったままでよかった。あ、もう?あの人たち貴族街のお屋敷に出た?わかった。
じゃあ、よいしょ」
と言うと、シュンスケはいつもの大きさになった。でもまだ色が変わらないわ。翅が今度は六枚ある。
「ごめんカーリン、まだ、変身が戻らなくって」
「大丈夫、シュンスケって解るわよ。顔立ちが同じだし、声も一緒」
「そりゃあね」
「でも、薄ら光ってるのね」
「ああ、それがどうやったら引っ込むか分かんないんだよねまだ」
「こっちも可愛いけど?来てくれてありがとう。さすがにさっきまでは本当に怖かったの」
手足の拘束を解いてもらう。魔法は無理だったのにナイフで切れちゃうのね。安心したら緊張がゆるんだのか、涙が出てくる。
「とりあえず、ここで腹ごしらえをしていいかな。カーリンもお腹すいているよね」
「ええ」
「おむすびしかないんだけど」
「お花見でご馳走してもらったお米のお料理ね。あれ美味しかったわ」
「んじゃ、どうぞ」
そういって、シュンスケがいつもプラスチックって言っている透明な箱を出してくれる。
「お手拭き」
「ありがとう」
あら、今日のは鮭が入っているわ。なんて美味しいのかしら。
お腹が落ち着いてくると気分もさらに落ち着いてきたわ。
「本当は、ここを出てからゆっくり食べたらいいんだけど、なんで、カーリンがこんな目にあったのか、カーリンはちょっと知ってる?」
次はお茶を出してくれながら言うシュンスケに答える。
「あのね」
そういって、私は、ラーズベルトのことを話し始めた。
お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪
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