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52【俺は伝説から生まれた男だった。(ひえー自分でも恥ずかしい)】

第二部始まりです~

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 俺は、田中駿介 十八歳

 東京都の某市で生まれ育ち、大学生になる前のクリスマスイブに、母さんの目の前で、異世界転移をしてしまった。

 転移したところは、ゼポロという創造神が作られた世界で、神様はゼポロ以外に主だった神様が六柱おられて(実はもう一柱いらっしゃる)

 地球や日本とは似通っているところと全然違う部分が混在した、中世西洋風の国だった。


 ここの世界も、良くある転生ものと同じで、ステータスや魔法がある。

 まあ、ステータスもうまく使えば、モチベーションを上げて自分の向上心を育てたり、実際の能力や力を高めるのに良いものだろう。だが、何事にも限度がある。


 この世界の、ガスマニア帝国に転移して一年を過ぎた俺の現在のステータス。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 田中駿介 人間族 六歳

(シュバイツ フォン ロードランダ 種族 スピリッツゴッド 十八歳)

 職業 ガスマニア帝国国立学園 魔法学部一年生


 仮免許〈ランクA・一年三ケ月後確定〉 ウリアゴパーティ

 レベル  三〇五(+一〇)

 生命力 十五三〇(+三五〇〇)

 体力 一〇九三六

 魔力 四五〇〇〇(+八〇〇〇〇)

 魔法基本属性 全属性

 魔法特殊属性 全属性

 スキル魔法 空間・錬金・鑑定・精霊

 その他スキル 算術・剣術・弓術・投擲・料理・裁縫・癒し・音楽・治癒・素描ドローイング・小悪魔


 称号:白鯨の盟友


 風の女神の加護

 水の女神の加護

 海と宇宙の神の加護


 〈後見人 ドミニク フォン マルガン〉

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 もうドミニク卿が隠してくれている事柄で、助かっているのはこの世界での本名と種族だけだな。オープンになっちゃう数字だけでもやばい。もう、暴れちゃいけない。

 ん?小悪魔?黒いから?それよりあれ?もっと肝心なとこが。

 レベルの括弧の中が減ってる?種族?なんだ?


「教授、スピリッツゴッドってどういう種族でしょう」

 いつの間にか種族がエルフでもなくなっている。レベルの括弧の中の桁が減っちゃった。


 俺は、ガスマニア帝国国立学園の、魔法学科の筆頭教授 ブラズィード フォン ルマニア教授の温室の奥の部屋で学生らしくも解らない事柄を質問中だ。

「ふぉっふぉっふぉっ、儂も初めて聞く単語じゃの。まあ、意味は解るがの」

 質問しておいて、答えが聞きたくない本音もある。

「それは、神と精霊のハーフってことじゃな」

 やっぱりー オーマイガッデス(母さん)

 ええ、ええ、確かに俺は、人間族の姿を借りられるこのピアスの効果をキャンセルすると、耳が伸びて尖り、目が明るめのグリーンにと、髪と、それでもってまつ毛や眉毛の色が緑銀色に変わってしまうのだ。


 それは、俺の父が、ここよりかなり遠く離れた北の国、ロードランダ王国で建国から三百年以上納めている初代王様だという事らしい。手紙は来るけどまだ会っていない。


 そして、ここへ転移するときに、東京の歩道橋の上でチョップをしてきた母が、この世界の風の神様、ローダ神だったのだ、その上、メインの六人の神様は皆母さんの兄弟姉妹なので、神様はみんな叔父さん叔母さん、そしておじい様ということになっていたのだ。


 でも、高額貨幣の横顔に鋳造されている父さんの顔はエルフなんだけど。先生たちもそう言ってたし。スピリッツって何?まさか、進化途中?エルフ→精霊→ハイエルフ的な・・・。


 白鯨(ムー)さん 俺はそっち寄りだったかもしれない。

 いや、だが俺にはまだ翅は生えていないぜ。


「ひとつわかることは、お前さんは将来、いや今すぐにでも何でも出来るようになるという事じゃな。まあ、欠点とすれば大人になるのに時間がかかるという事ぐらいじゃ。

 それにな、儂は普通のエルフだからな二千歳を超えた所じゃが、御父上は特殊なハイエルフじゃからの、今は三千三百歳超えてるかな。三千歳過ぎたころに、今の国を興したからな。まだ、ハイエルフとしては三千歳は、そうじゃな、人間で言えば三十路というところじゃろ」


「さんじゅうだいー!まだ!三千年生きていて?」地球育ちの脳がまたバグる。三倍じゃ無いのかよ。

 “おとなになるのに、にんげんのさんばいなのよ。そのあとはもっともーっと”

 緑色ちゃんから補足が入る。


「ふぉっふぉっふぉっ、時間もあるし。何でもやりなされよ。ただ、一つ言えることは、寿命が短くても長くても、精一杯生きていかなければならないのじゃ。粗末にすることは許されぬよ。まあ、分かってても争いごとをしてしまうのが人でもあるがの」


 コンコンコン ガチャリ


「ちょっと教授ー、もうシュンスケ君を返して」

 カーリンが俺を呼びに来た。

 カーリン フォン ラーズベルトは、もうすぐこの世界では成人と言われる十五歳。濃い紫色の髪と、濃紺の目を持つ美少女だ。魔法の属性は火と土と水

 冒険者もしていて、ランクはE。フィストアタッカーというパーティに所属している。


「ごめーん、カーリン、どこまで進んだ?」

「演目も配役も決定よ!」


 この学園では、六月末に学園祭をやる。日本では体育祭の季節だが、こちらでは夏が学年末になるので、一年間の集大成も兼ねて、体育祭と学園祭を組み合わせたものを大々的に開催するそうだ。

 みんなは、入学前に何度も見に来てるらしいけど、去年俺はまだポリゴンにいたし、その前は日本にいたしね。


 温室の中のいつも一つしかないカフェテーブルを四つに増やしたのは俺です。そこには、俺達魔法学部と騎士学部の一年生のSクラスの半分以上が集まっていた。温室と言っても、もう外が暖かいので、窓は開け放たれていて、外気との温度差はない。


「私たち、魔法学部・騎士学部合同のSクラスは、演劇に決定したよ。そして、演目はラーズベルト領都の吟遊詩人からで流行が再燃している、湖の伝説のお話よ」

「へえ伝説なんだ」

「最近なのに伝説なのよ 演目名は 〈ヴェール ドゥ シュバイツ〉その湖の名前ね。

 物語の副題は〈碧く清らかな精霊の泉〉」

 というのよ。

「は?シュバイツ?」

 おれのなまえ、シュバイツって言うんですよ?教授以外には内緒だけど。


「ええ、まあ、大体の部分は私たちラーズベルトなど、湖の周りの民が共有している伝説の物語ね」


「へえ」

「毎日のように絵本で寝物語として聞いていたから、内容を諳んじているわ。それはね

 昔々のお話・・・」

 と、ほぼ歌うように、目を閉じてカーリンが話す。途切れたら、他の騎士学部でラーズベルトの隣のまた湖に近い領地の出身という女子生徒が引き継いだりして語る。

 ~~~~~~~~~~~~

 昔あるところに世界樹に守られた湖がありました。

 ある日湖のほとりに、精霊の王が妖精に姿を変えて、大地の女神が大層可愛がっている、金色のユニコーンを見に行きました。湖の水を一心に飲んでいるユニコーンがあまりにも美しいので、彼はフラフラとユニコーンに近づき、その角に無意識にキスをしてしまったのです。

 怒った大地の女神は、精霊の王をハイエルフに変え、世界樹の世話を永遠にするように命じました。もともと世界樹を守りながらひっそりとそこで暮らしていた精霊の王だったがハイエルフとして姿を変えた後は、姿を隠す事が出来なくなり、その高貴なハイエルフの元に大勢の他のエルフや各種族の人たちが集まってきたのです。

 人々は、ただ、単に集まるだけでは、かえって問題を起こし、揉め事を作り、果ては戦争まで始める始末。このままでは、世界樹まで傷つくかもしれないと恐れた精霊王だったハイエルフは、国を興して治めることになりました。


 その後も周辺の国から戦を仕掛けられることもありましたが、自分の民は決して傷つくことなく平和な国は世界樹と湖の恵みに守られていったのです。


 しかし、万の民に愛されているハイエルフの王でしたが、日々寂しさを募らせ、気が付くと愁いを帯びた顔で虚空を見つめ、顔色も悪くなっていくのを、周りの者が心配しておりました。寂しいのならと、美しい女性を次々に紹介されても、寿命の違いを理由に妃を娶ることはありませんでした。


 ある日、仕事の合間の息抜きに湖を訪れたエルフの王は、そこに金色の鹿を見つけました。その瞬間千年も昔のことだというのに、ユニコーンを追いかけていたころの感情がよみがえり、ふらふらと近寄って金色の鹿を抱きしめてしまいました。

 金色の鹿は以前のユニコーンと同じ存在で、なんと大地の女神の妹でもある風の女神だったのです。風の女神も千年前のことを覚えていて、思わず鹿の変化を解き、エルフの王と抱擁を交わしました。


 お互いの立場を忘れて愛し合う二人には周りが見えていなかったのですが、そのことを、神々の父ゼポロ神が気付き、お怒りになって咎めようとしました。離れ離れにされることを哀れに思った、湖に居合わせた水の女神が、ゼポロ神から二人をお隠しになりました。


 その二年の後、エルフの王だけが姿を現し、その後の王は精力的に国を統治することに努め、仕事を続けられているのです。もう、寂しい表情はなくなり、いつも民に輝く笑顔を振りまくのです。

 ~~~~~~~~~~~~


 最後のフレーズを聞き終えた俺はフリーズした

 “うまい!” “上手い、じゃねえ!赤色くん”


 湖にまつわる伝説ってあれか、自分の両親の馴れ初めじゃん!

 まあ、確かにすごいよ、それが本当なら。

 なに?風の女神(かあさん)はユニコーンにも鹿にもなれるのか?いやそこじゃないだろう!


 カーリンの向かいの椅子に三角座り状態で固まっていた。

「おーい、シュンスケ、どうした?」

「固まるほど感動するはなしかしら」

「浮上してこーい」


「・・・湖の名前は昔からシュバイツって言うのか?」

「ええそうよ」

 俺の名前はそこから取ったのですね。

「ふぉっふぉっふぉっ、まあ、シュンスケはそのうち行くじゃろうて。

 この話は完結しておらぬしの」


「えっと、一度行ったことあると思います」

 図書館の地下から水の女神に連れられてね。


 テーブルを見ると、カーリンはきれいな絵本を広げていた。

「絵本があるんだ」

「ええ、子供が生まれるとプレゼントする風習があるのよ?

 素敵でしょう。この話の絵を描く絵師はたくさんいるのだけれど、私はほら辺境伯家だから、家柄に合う最高の腕の絵師による絵本なのよ。」

 まあ、確かに美しいけど、風はともかく他の女神さまのファッションにリアル感がないね。

「ただ、私の絵本は内容が少し古くて、お二人が再開する前で終わっているの、その後のお隠れになって、王が帰還したところが、いま付け足されて吟遊詩人が歌ってるのよ」


 その吟遊詩人にネタ元を流したのは何処の誰なんだろう。


「で、俺は何の役かな?」

「もちろん、精霊王と最初の妖精とハイエルフの王よ!」

「もちろんって、俺一人で三役!みんなで二十人もいるのに!」

「三役というけど、同じ方よ」

「他の人は?」と言って横で静かに見守ってくれている?セイラード第三皇子殿下を見る。

「私は途中で戦を仕掛ける隣国の敵だ、まあ、地域的に敵だったこともあるみたいだし。今とは国の名前が違うけどな」

「ラスとかは?」

「私たちは騎士学部のSクラス十人皆で世界樹をやるよ」

 舞台の上で組み立て体操か!

「・・・しょうがない。やるよ」


 もちろん騎士学部と合同とは言え魔法学部の演目なので、魔法を駆使する演出を使っていいのだ。


 後日また、教授の部屋を訪れた。

「一時でも大人のサイズになる魔法や魔法薬はありますか?」

 俺のこの、エルフを人間族に姿を変える手段があるのだから、大人になる方法があってもいいだろう。

「まあ、あるにはある、よさげな書物を見繕って、明日にでも図書館地下の入り口に置いておこうかの。試すのにも地下の閲覧室か、自分の部屋か、アナザーワールドでやりなさい」

「はい!わかりました」


 夜、俺は自分の部屋で精霊ちゃんと夜食のおやつを広げていた。

 今日はプリンだ。スマホからレシピを書き出して、侍女のミアにチャレンジしてもらった。彼女は器用で、一度で最高の出来で成功したので、それからもちょくちょく作ってくれる。

「あ、緑色ちゃん!プリンに潜って食べるのやめて」

 “ぜんしんで、あじわうの”

 “きゃはは、わたしもするー”

 服を着たままでプリンに潜る精霊ちゃんたち。

 それ以上暴れたら飲むプリンと言うか卵液に戻るのでは。


 そういえば、豆腐に潜らせるドジョウの料理あったよな。見たこともないけど。

 と思いながら、潜り込んだ精霊ちゃんごとプリンで掬う。

「こら、もう」

 “きゃははー”

 “きいろがぷりんー”

 そのままスプーンをあーんって俺の口に持っていく真似をすると

 “きゃー”

 楽しそうである。

 横に置いてある、すっかりぬるいストレート紅茶のティーカップにトプンと入れちゃう。

 ばしゃばしゃばしゃ 

 びしょびしょでベタベタのテーブルを濡れ布巾で拭きながら、みんなに問いかける。


「みんなは精霊王って知ってる?」

 “ええ、しってるわ、もちろんよ”

 “おうじの おとうさん” 

 おれが王子ってそっちなのね。

「ハイエルフになったときと何が違うの?」

 “えーっとね、ハイエルフは、おもたいの”

 “きえたり、かくれたり、できないの”

「ほうほう、精霊は出来るもんな」

 “うん、えっとそれとそれと”

 “はねが、なくなっちゃった”

 と言いながら黄色ちゃんが自分の背中の蜻蛉みたいな二枚の羽を指さす。

「黄色ちゃん達とおそろいの羽?」

 “あたしたちは、にまいか よんまいだけど”

 “おうさまは はちまいあったわ”


 “でも、はねがなくても、まほうがじょうずだから、そらはとべるぜ”

 “おうじと おなじね”

「あと、大きさは?王様だから、白鯨のムーさんみたいに大きかったりして」

 “むー さいずの せいれいおう”

 “ぎゃはは、みたい、すごいおおきい”

 “むーはおおきくてもいいけど、いやー”

「違うんだね」

 “にんげんぞくの おとなさいず”

 “いまのおうさまと、せはおなじ”


 そうして、精霊に聞いたことを参考に、おれはスケッチを幾つか描いた。


 小さい精霊は、やっぱり俺と同じ色のみどりちゃんを参考にしたいけれど、赤色くんや白色君の男の子タイプが存在していることも分かっている。それにお父さんだしね。男の子バージョンでいいか。


 そして、精霊王の羽は八枚と


「こんなかんじ?」

 まあ、絵本もこんな感じだったかも。

 “そうそう!けっこう りあるね”

「よし、これをみんなに見せるぜ」


 そうして、結局やる気の俺は翌日の学園祭ミーティングに備える事が出来たのだった。


お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪

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