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5【クッション悪いと寝たふりも大変】

 俺だけ馬車に乗ったままで。というかウリサに言われて念のため寝たふりをしている。

 でも、荷台なので、地面の衝撃がガンガン体に来て、寝たふりは難しい。

 思わず「いてっ、いてっ」て呻くのを手で押さえながらうつむく。

 他の三人は歩いて門を潜る。彼らのパーティー名はウリアゴ。三人の名前の頭文字を並べただけ?

「変な綴りとか、身の丈に合わないすっごい名前にしたところで、低ランクなら恥ずかしいだろ?」

  ってウリサさんが言ってた。なるほど。よく分かるな。


 ドキドキしながら寝たふりをしていたけど、三人と門番は気安い会話をして、すぐに通れた。

 勇気を出してカラコン入れたんだけどな。

 異世界初めての町は、ポリゴンと言って、土造りの平屋か2階建の建物が街道と同じような土の道の両側に並んでいて、時々レンガの建物がある。

 俺からすればそれだけで、異国というか異世界というか、東京都は全然違う風景で、遠い世界に来てしまったと悟る。

「とりあえずギルドだな」

 ギルド!この世界にもあるんだ。

 背の低い建物の中に一際目立つ4階建の石造りの建物があった。

 盾と剣!異世界のギルドは共通なのか?

 漫画やアニメといっしょだ。

 その横に別のエンブレムが。

「それはこの国、ガスマニア帝国のマークさ。この町は規模が小さいから役所と一緒に入ってるんだ」

 ほうほう。

「裏には教会兼施療院があるの。孤児院と」

 関連のものが集まってたら便利そうだな。

 門の所で馬ごと馬車を返却して、アリサと手を繋いで歩いている。女の子と堂々と手を繋げるなんて、この時はちびっこで良かった!なんて。

 他の二人は獲物が入ってるのか、大きな袋を二つずつ下げていた。さっき見せてもらった魔石のフォレストボアが簡易的に解体されて分けて入ってるんだって。俺が仕留めたギョンも入ってる。

 そうして遂にギルドのドアを潜る。

 異世界だなー。

 正面に受付カウンターがあって、右手に掲示板といくつかのドア。(トイレと更衣室だって)

  カウンターの端っこには荷物を預かってくれたり、狩った獲物を売ったりする手続きが出来るそうで、倉庫の入り口が見えている。

 左手にはテーブルと椅子のセットが幾つかあって、その奥にもう一つのカウンターがある。

 そっちから美味しそうな良い匂いがする。テーブルセットは八割方埋まっていて、冒険者が騒いでいた。

「俺が手続きしとくから、先に食べに行っとけ」ウリサさんがカウンターに向かう。

 ゴダがウリサさんの荷物のと一緒に違うところに持って行って木札のようなものだけ持って戻って来ていた。

「わかった。シュンスケ、こっちよ」

「アリサさん、先にお手洗い行って良いですか?」

「じゃあ、おいらと行こう。こっちだ」

 手を繋いで来た。ゴダが。

 しょうがないよね。俺は小さいガキだもん。

「はい」

 トイレは日本の大きめの公園にあるような感じで、食欲が減りそうな臭さだった。

 でも、用を足して、手を洗う。めっちゃ洗う。水道があって良かった。石鹸は見当たらないけど。だからめっちゃ洗う。ウエストポーチからタオル地のハンカチを出して拭く。

「シュンスケ、手にシッコかかったのか?」

「いえ、俺お腹弱くて。母さんが手をしっかり洗うと腹痛減るからっていつも言われてるので、特に食事前は洗ってるんです」

 だからゴダもしっかり洗えよ。洗ってないだろ。

「そっか。おいらもちゃんと洗おうかな」

 よし。ゴダよ、帰りも手を繋いでやる。

 心の中では上からの俺。

「ハンカチどうぞ」持ってなさそうだしな。

 レストランに戻るとテーブルでアリサが手を振っている。

 ウリサももう座っていた。

 ゴダと手を繋いだままそのテーブルに近づいて行った。

 と、ゴダに両脇を掴まれてヒョイと椅子に座らせられた。びっくりしたー。

 あぁそうか!確かに足が付かない。せっかく手を洗ったのに、色んなところつかんで よじ登るところだったんだな。

「ゴダさんありがとう」

「いや、おいらはなかなか子供の世話することないからな」

「確かに末っ子ポジションだもんね。可愛くないけど」

 アリサがからかう。

「おいらに可愛い要素は不要だ」

「「たしかに」」

 そうやってみんなで笑う。

 このパーティーは面倒見が良いな。

 出会った第一異世界人が、この人達で良かった。


 座るなり、すぐに料理が運ばれて来た。アリサが頼んでくれたらしい。

 犬?狼?みたいな耳のあるちょっとワイルドな青年が白いワイシャツとギャルソンエプロン姿で持って来てくれた。

 第一獣人さんはめちゃカッコいいです!

 後ろ姿で狼さんだと分かりました。

 さて、料理は塊肉と野菜が入ったシチューみたいなのがメインで、他に固そうなパンと、マッシュポテトの様なものがある。

 コップには、冷たいお茶?あ、飲んでみたらりんごジュースみたい。

「いただきます」手を合わせて唱える。

「お祈り?ちゃんとしつけられているんだな」

 ウリサが話す。

「お祈りじゃなくて、ただの習慣です」

「へえ、ここら辺は食べるときのは無いな。酒を飲む前の叫ぶのはあるけどな」

「そうだね。じゃあシュンスケとの出会いにカンパーイ!」

 ってアリサが音頭を取ってほかの3人でそれに倣う。ちなみにウリサのジョッキにはエール。ほかの二人は俺と同じジュースだ。この国は15歳で成人と認められて、もうお酒は飲んでいいらしいんだけど、お酒に弱いんだって。


「それで、シュンスケ、食べた後もう少し付き合ってもらえるか?」

 食べながらウリサが聞いてきた。

「はい」

 冒険者は迷子など、ひとりでいる子供を見つけたら保護して、そのあとしかるべき手続きをすることが義務付けられているらしい。

 この国を始め、この世界で子供は大変弱く、親と暮らしていてもすぐに病気になって死んだり、ましてやひとりでいたら簡単に人さらいに連れていかれて、奴隷など人身売買の被害に遭うらしい。

「あたしも一緒に付いててあげる」

 ありがとうアリサ。

「じゃあ行こうか」

 ゴダはまだ食っている。さっきお代わりしていた。なので、彼は放置で三人で動く。

 椅子から降りるのはできた!


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