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36【俺の画力?それは秘密だ】

お絵描きも長くしてないと描けなくなっちゃいますねえ

 教授にもらったプランターに蔓を植えた。

 鑑定したら、葡萄だったので、収穫を目指して育てる。

 今は冬だからな~。まだまだ先だよね。これも小さいし。

 プランターには、温室にあった土も少しもらって入れた。

 緑色ちゃん達が育てた土でもある。そこに俺が魔法で土を増やして、魔法で水をやった。


 緑色ちゃんは、緑色の目と緑銀色の髪の女の子風の精霊だ。

 うん、この色の組み合わせは俺とおそろい。

 思わず俺もエルフ姿になって、緑色ちゃんとツーショットの写真を撮った。

 ふふ、いいねえ。どっちも耳が尖ってるし。

 精霊の方がフワフワのくせ毛だけどね。

 “おうじが おなじいろー”

 “おうじとおそろい”

 “いいなー”


 この写真をプリントしたいな。なにか魔法とかでどこかに念写出来たらなー

 一応卓上の複合機はウエストポーチに入ってたんだけど、トナーとかの消耗品がいずれ必要だったり何より、電源が必要だった!

 携帯やノートパソコンはどうやら自然にある魔素を電気に変換しているみたいなんだけど、複合機は違った!もともとの電力消費が多すぎるのか・・・


 ところで、葡萄のプランタは、大浴場の窓の外に置きました。お風呂に葡萄の蔓って似合うのでは?と思って。

 そうしたら寒いはずなのに、どんどん育って、株も増えて!二階に置いたプランターをはみ出してというか吐き出して、二階のバルコニーの下がすっかり葡萄棚になってしまった。

 そして一週間ほどでふさふさとエメラルド色の実がつきました!しかも甘いのさ。

 うん、ファンタジーだね!


 数日後、俺はまた図書館の地下の閲覧室に来ている。

 誰もいないから、読書のお供はエメラルドの葡萄を少し。


 今日の閲覧室は、半分しか座れるところがなくて、もう半分には水が溜まっていた。

 水底はどこまでも深そうで。透明な水なのに、シアンというか明るい藍色なのだ。

 水の向こうは、木々が途切れていて、雲のような霧が広がっていた。


 まあ、半分残っていても結構広いし。丁度良い明るさだから本は読める。

 閲覧室がおかしなことになったって、どうだっていいしね。俺にも不思議現象に対してかなり耐性が付いたよね。

 そんなことより、俺は前のように寝転んで読書だ。さっき、目的の魔法の本を見つけたんだ!

 それは念願の念写及び転写の魔法だった。これは、無属性の魔法と光魔法のミックスらしい。これがあれば、魔法陣のコピーとかに使えるそうだ。

 魔法陣なら多色は無理かな・・・あ、光魔法だからカラーオッケーじゃん。

 よし。ってウエストポーチからA4サイズのコピー用紙を何枚か出して色々練習した。

 色を付ける素材が必要かと思ったんだけど、魔法のもとになる魔素ってのをくっつけるイメージをすれば、紙の表面が印画紙のような光沢を出していって、そこへイメージを発現すれば、プリントできた!

 スマホから精霊ちゃん達の姿もプリントできた!スマホの写真を一度掌に反転したのを映して、それを反転しながら紙に乗せるんだ。その途中で、拡大も可能!

 パソコンからデータで出力する事が出来たらもっと精度良いのができそうだな。

 次に俺は、同じものを複製する練習もした。コピーって必要になることあるしね。


 そうやって、閲覧室に紙を広げていたら、一枚がひらりと風に舞った。

「わー黄色ちゃん取って―」

 “きゃはは、あおいろが おうじとつーしょっと~♪”

 紙と戯れている

「わー水に・・落ちちゃったもう。まあ広げてるのは俺ですけどね」

 とりあえず、とっ散らかった大量の紙をかき集めて、今度は空間魔法に放り込む。脱いでいた靴と靴下も。そうして、水に落ちた一枚を拾いに裸足のまま水に入ってみる。一歩目は浅い。でも服は着たままなので、紙を拾おうと屈んで手を伸ばす。

 ざばっ

「うわっ」

 何かに手首をつかまれた!

 そのまま水の中に引っ張られてしまった。油断していた俺は完ぺきに水の中に潜ってしまう。

 ちょっと、なに!ちょっと

 手首をつかまれている感触はある。古い学校によくあるホラー?

 しかし水中には何も見えていない。水しかない世界だ。

 そう思っていたら、だんだん、水以外のものが出てきた。水草の破片のようなものとか、

 水草が大きくなってきた、小魚も泳いでいる。ここは閲覧室だよね?どんだけ深いのさ・・・。

 そのうち、俺の手を引っ張っているものの姿が現れだした。

 女の人だ。青い髪の水色の服?と言うか衣?


 ザバー


 水面から外に出られた。

 ちなみに、結構潜っていたんだが、全然苦しくなかった。思わず息は止めたんだけどね。そんなに息が続く人だったっけ俺。

 気が付いたら俺は女の人に抱っこされて腕の中にいた。水から出たのに、髪も服も濡れていない。


 “ふうん、なかなか良い子じゃないの”

「え?なに?」

 おれは確かにちびっ子ですけど、現在六歳の体格。

 それを首の座らない赤ちゃんのように横抱きにされています。足は先っちょしかはみ出ていない。

 まぁすごい大きな女性です。

 チュッ

 その方が赤ちゃんにするように俺の額にキスをしてきた。

 “それに、なかなかに可愛いのぅ”

「わわわっ」

 “ほほほ、これでもお前に会うために縮めたんじゃがな”

 お肌は抜けるような白さというより少し透けてる?

 この世のものとは思えぬ美しい方です。

 鮮やかな青い髪、シアン色?に、シアン色の瞳。

 さっきの閲覧室の水たまりというか池?と同じ色だった。

 なんだか、甘いような爽やかな良い香りもする。

 長い髪は一房が胸元に掛かって俺の足をくすぐっている。

 思わず身じろぎ。ここから出して~


 “これ、動くでない。落ちたら危ないのじゃ、ほれ”

 シャラリと綺羅らかなイヤリングや胸元のネックレスを揺らして、組んだ腕を少し動かして俺の体の向きを変える。


「うわ」

 目に飛び込んできたのは、一面の水。霧のようなものが漂っていて、岸が分からない。

「海?」

 “海はわらわのテリトリーではないのぅ。ここは淡水の湖じゃ。

 ほれ、あそこに大きな木があるじゃろ”

 霧の向こうに大きな山の影のようなものが見える。

 富士山みたいに見えますけど、木なんですね。


 世界樹・・・確か世界樹があるのは・・・

 思考にトリップしかけていると

 “おうじ、いらっしゃいませ、あたしのところに”

 青色ちゃん達が俺の胸元にいる。いつもは一つの色に一人ずつしか来ないけど、今は青色ちゃんが十人ぐらい視界に見えている、あ、俺の足の方にもいっぱいいる!

 精霊ちゃんはいつも色は同じだけど、髪の長さとか服装とか変えてくるからすごいなーって思ってたけど、一人じゃないのね。そりゃそうか。


 “ほほほ、そなたは我の精霊を可愛がってくれているんじゃな”

 “おうじのおかし、おいしいんだよ”

 “そうか、これからも遊んでやってたも”

「はい、もちろんですけど。あなた様は」

 “ほほほ、寝る前に自分を確認すればわかるであろう。精霊に菓子を振舞ってくれている礼をしておくからの。ここぞというときに遠慮せずにの”

 何のことだかさっぱりなお言葉だが

「ありがとうございます」

 “くれぐれも、無茶をするでないぞ、さ、戻りや”

「せめて、姫様とお呼びしても」

 “姫か、確かにそう呼ばれていたこともあったやもしれぬ。遙かに昔じゃが。よいぞ”

「では、またお会いしたいです、姫様」

 “我もじゃ”

 と言いながら左手の指先で俺の目をふさぐ。


 気が付けば、俺は閲覧室の真ん中で仰向けになっていた。

 起き上がると水たまりは消えていて、一面マットの床で木々に囲まれていた。天井を見上げるとさっきと同じような空の色。振り返ればいつもの扉。


 ♪ポケットの携帯が震える。

 教室に戻る時間だ。俺は横着して、魔法学部の棟内のトイレに転移する。授業中だから無人だ。そして何食わぬ顔で教室に入り席に着く。

 しばらくすると、わらわらとほかの生徒も戻ってきて着席した。


「シュンスケ、君はいつ戻ってきたのだ?」

「さっきですよ?」

「私は一緒に戻ろうと階段の上で待っていたのに?」

 一緒にってセイラード第三皇子殿下、女子みた、けほんけほん。


「はい、皆静かに!では、自分が新しく会得した魔法を発表していきなさい。攻撃魔法は、この部屋の損傷がないようにの」

 教授が教壇で声をかける。

 初日にあった魔法陣のカーペットはもうない。 


 皆が魔法を披露していくのを眺めながら、さっきの姫のことを考えていた。

 あの人は誰だったのだろう。まあ、なんとなくそうかな?みたいな候補はあるんだけど、あまりにも現実から離れた方だしな―。


「シュンスケ」 呼ばれた。最後が自分の番になった。


「俺が新しく出来るようになったのは、光魔法の応用で、紙に絵を付けるものです」

 コピー用紙はこの国にはない綺麗な紙なので、羊皮紙を出す。

 真っ白な羊皮紙に右手をかざして、まず、うっすらと表面の加工を施し、さっき見た姫の姿を写し出す。


「「「「「うわぁ きれいな人ー」」」」」


 そうでしょー。

 ついでにもう一枚。今度は殿下のお顔

「おお、これは姿絵より私の顏だな。鏡で見ている顔だちょっと雰囲気は違うが」

「鏡は左右反転しますからね。これを殿下に差し上げましょう」

「うむ、額に入れてもらおうかな」

 嬉しそうに自分の顔を見ている。綺麗なお顔ですもん。


 俺は調子に乗ってクラスメイトが、数人ずつのグループになっているのを何枚か作る。

「ほうほう。日常の皆の表情を描くのは大変素晴らしい。じゃが、ここにはシュンスケ自身がない」

 まあ、自撮りをプリントはなかなかしないよ。俺は特に。

「シュンスケのは、儂がしようかの」

 そう言って、教授が一枚羊皮紙に触る。

 そこには、最近のと言っても六歳の俺が殿下に肩を組まれて笑っている姿が映し出されていた。

 なんだ、教授も使える魔法なんだ。直接聞けばよかったな。

「うーん、じゃが、儂のはシュンスケのよりぼんやりしているな」

 確かに、画素数が荒い感じではある。


「まあ、いいではありませんか。そうだ教授、皆の姿絵をこの教室の後ろの壁に貼りませんか?」

 殿下が提案をひとつ教授に言う。

「「「さんせー」」」

「そうじゃな。楽しい壁になりそうじゃ」

「じゃあ、さっそく貼りましょう!」

 女子のカーリンが動いた。クラスで一番上の14歳の、紫色の髪で青い目の女の子。名前に反して、ちょっと大和撫子みたいな、芯のある女性で、貴族なんだが身分を笠に着たりしないし、活発でしっかりした子だ。


 壁いっぱいに、クラスメイトが貼られていくのをにこにこして見ていたら、肩を叩かれた。

「教授?」

「この絵なんじゃが」と言って青い女性の絵の紙を差し出す。

「恐れ多すぎて儂にはどうすればいいのか見当がつかん。きちんと額装して、お前さんの部屋に飾っときなさい」

「?はい。わかりました」


 ウリサが馭者をする馬車で帰宅途中

「坊ちゃん、着きましたよ」

 おれは、少しうとうとしていた。

「おいっ、シュンスケ。着いたぜ」

「あ、ウリサ兄さん」

「いい加減、坊ちゃん呼びに答えてくれよ、ったくなんでそれは学習しないんだよ」

 俺の手を引っ張りながらあきれたように言う。

 だって、庶民育ちなんだし。

「ごめん兄さん」

「兄さんじゃない、いきますよ、坊ちゃん」


 到着したのは、ジャンクカンパニーというお店の駐馬車場だった。

 そこの係の人に馬車をお願いして、ウリサ兄さんと商会の中に入る。

 ここは、文房具や画材をはじめ、調薬の道具などを扱っているお店で、俺は頻繁に来ている。学生だもんね。

「シュンスケ様、いらっしゃいませ」商会と言っても、店番は店主のジャンクさんだけだ。主なやり取りは通販だからね。こういう道具はお貴族様用だから。でも俺は文房具を眺めるだけも好きだしね。東京にいた時からそうだ。

「こんにちは、額縁コーナーはありますか?」

「はい」

「これが入るサイズのが二枚分ほしいんです」

 青い姫様のは他に見せちゃだめだと教授に言われたので

 同じ大きさの羊皮紙に、母さんの姿をプリントしたのを出す。

「これなら三号でしょうか。えっとこれですね」

 店主が出してきた額縁に絵をあてがって確認する。

「いいですね!これを二つ・・・えっとこの白いデザインの同じのを」

 そして、店から出る途中で、

 〈魔法使い御用達・調薬道具コーナー〉ってところに行って、ポーションの空き瓶が高くてびっくりした!

「ジャンクさん。ポーション瓶って結構高いのですね」

「そうですか?まあ、そんなに一度にたくさん買うわけではありませんしね」

 元気一発ぐらいの大きさの空き瓶が一本千円はないわー。

 樽でもらった薬を小分けしようとしたら百本どころかもっと必要だし、空き瓶を仕入れるだけでもきついな。

 天秤ばかりとか、混ぜる道具やスポイト、漏斗、そんなのは消耗品じゃないからいいんだけど。

 うーんどうすっかなー。


 考えながらだと、動きが鈍くなるよね。

「あてっ」

 躓いちゃった。

「坊ちゃん、考えながら歩くと危ないですよ。お店は商品がいっぱいですし」

 ってウリサが手を繋ぐ。子供みたいな注意をされちゃった。てへ、見た目子供でよかった。

「ごめんなさい。帰ってから考えますね」

「あ、ここにカタログありますよ」

「ほんとだ。オーナーさん、これ貰っていいですか?」

「はいどうぞ。毎度ありがとうございます。お気をつけてお帰りを」


 屋敷の離れの自室に帰った俺は二枚の紙をそれぞれ額に入れて、セバスチャンに相談する。

「母さんと並べても大丈夫?」

「大丈夫でしょう」

「おい、シュンスケ、これを間に挟めよ」

 って同じ大きさの額を出すウリサ兄さん。

「そ、それは」

「教授が俺に預けてきたから、さっき一緒に額を買ったんだ」

「えー」


 それは、自分だけが転写された画像の額装だった。黒髪黒目で学園の制服姿。

 自分の部屋に自分の顔を飾る?やだよ。


「では、この三枚をホールに掛けましょう」

「お、それはいいな」

「で、でも、ここはドミニク卿というかマルガン辺境伯の所有でしょう?賃借人の顏を飾るなんて」

「大丈夫ですよ。なんの問題もありませんから」

「うっしゃ、アリサも呼んで取り付けてくるぜ。坊ちゃんは待ってな」

「では、私はフックと道具を取ってきましょう」

「ちょっちょっと、ウリサ兄さん、セバスチャン!」

 二人が部屋を出て行ってしまった。


 帰宅してすぐだったので、俺はまだ制服すら脱いでいない。

「もー」

 服を脱いで、部屋の洗面で手と顔を洗う。

 なんか今日も色々あって疲れちゃったね。鏡の自分に言う。


 部屋着に着替えた俺は改めてステータスを確認すると

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 田中駿介 人間族 六歳(シュバイツ フォン ロードランダ 種族エルフ 十八歳)


 仮免許 ウリアゴパーティ


 職業 ガスマニア帝国国立学園 魔法学部一年生


 レベル  三五(+三〇)

 生命力 六五〇(+一五〇〇)

 体力 四〇〇〇

 魔力 二〇〇〇(+一三〇〇〇)

 魔法基本属性 全属性

 魔法特殊属性 全属性

 スキル魔法 空間・錬金・鑑定・精霊

 その他スキル 算術・剣術・弓術・投擲・料理・裁縫・癒し・音楽・治癒・素描ドローイング

 風の女神の加護

 水の女神の加護


 〈後見人 ドミニク フォン マルガン〉

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんでぇ」

 加護が増えていた


 そして、俺のアイテムボックスにエリクサーって言う液体の薬が、樽で10樽も入ってた。それぞれの樽に用法用量が貼られていた。


 もしかしてあの方は 水の女神ウンディーナ様 まさか

 だから教授とかセバスチャンの絵の扱いが違ったのか・・・。

 でも、初めて見せた母さんの姿も同じ扱いにしてもらったのは良かった。

 加護がどういうものか分かってないですけど、とりあえず、ありがとうございます。

 俺、精進しますね。


駿介「一話が長くなってきた」

アリサ「そうね、途中で切るってのを知らないのよ」

ウリサ「続きは明日だな」

ーーーーーーーーーーーーー

お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪

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