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4【道行ってこんな感じ?】

 ここはガスマニア帝国という海のある国だそうだ。

 代替わりしたばかりのまだ若い皇帝が納めているらしく、トップが若いのがこの国民の自慢だそうだ。とはいえ、実際に顔を拝めるのは帝都に住んでいる貴族と、皇城の下働きぐらいだそうだ。

 そんな帝国の辺境の町がこの先にあるそうだ。

 森だと思っていたのは、ちょっと分厚めの並木で、その向こうに街道があり、反対に見えてる草原のもっと向こうには海があって海風などから街道を守っている、防風林らしい。

 ただ、並木も何十年も手入れに予算が下りないらしく、されず森になりかけていて、そこに野生の動物や魔獣が増えてきていて、返って街道を行き来する人を悩ませている。

「そこで、森になったここに出る獣とか魔獣を狩るのが、私たち冒険者の出番ってわけ」

 並木を整備するほうが良いのでは?と思っていると。

「おかげで、こうやって肉になる獣を捕ったり、素材を得て売ったりできるわけさ」

 ああ、恩恵を受けたりお金がもらえるわけね。


 俺たちは馬一頭が引く荷車のような馬車に乗っている。木々を抜けると確かに土の道があって。そこに屋根のない馬車が繋がれていた。それに乗せてもらう。

 めっちゃ歩くのかと覚悟していたのでうれしい。御者はゴダだ。


 そうしてウリサが懐からピンポン玉ぐらいのサイズのパワーストーンのようなものを見せてくれた。

 磨かれてなくて、ごつごつしているけど、透けるところもあってきれいな黄色い石だ。

「これが魔石」

 魔石キター。ファンタジー。

 と心の中で叫ぶ。でも、顔は取り繕う。

「これは、さっき仕留めたフォレストボア。Eランクの、魔獣といっても突進しかできない猪よりちょっとごついやつだな」

「でも、こうやって魔石が取れるってことは、体に魔力があるってことなんだよ」

 ほう、魔力ですか。

 ここには、魔法があると。

 やばい、嬉しくなってきた。

「これが魔石なんですね」

「魔石だけじゃなくて、肉も美味しいのよ」

「だが、これを仕留めるときに近くにいたギョンが飛び出したのさ」 

「ほんとごめんな」

「いえ、大丈夫ですよ、怪我もしなかったですし」

 日本人の得意技の愛想笑いをしながら両手を振る。

「確かに、ギョンとはいえシュンスケは小さいのに一発で仕留めたな」

「ほんと、かわいいのに偉いわ」

 そういいながらアリサが抱きついて頭を撫でてくる。

「あわわ」

 撫で方が激しい。やめて。あぁっ

「あ!シュンスケ!

 ・・・君って」

 フードが取れちゃった。

「エルフだー」

 おれ?エルフなんですか?やっぱり?

 異世界物でよく聞くセリフが俺に向けられたものとは。

「こら、アリサ。フード被ってるのには訳があったのかもしれないぞ。そもそも瞳の色を見たらそうかもしれんと気づけよ」

「あーそうだね兄さん。ごめんね。シュンスケ」

「いやいや、大丈夫ですよ。皆さんいい人ですし」

「いい人って初めていわれた」

 ゴダは言われにくいだろな。見た目で損しているな。

「シュンスケ、人を信用するにはもう少し時間が必要なんだよ」

「とりあえずその耳はここでは隠しときなさいね」

 そう言いながらアリサがフードを戻してくれる。

 やっぱり隠さないといけないのか。

「エルフってひょっとして珍しいのですか?」

「この国ではな」

「瞳の色も?」

「ああ、そんな明るい虹彩はない」

「色付きはあるけどもっと濃い色だな」

 そうか。フードはともかく目を隠すには、そうだ俺、眼鏡持ってたじゃん。

 ウエストポーチから昨日使ってた近眼の眼鏡を出してかけてみる。

「うわ、眼痛い」度があってない?

 もう一度ウエストポーチを探る。

 大容量のリストパネルは俺以外に見えないみたいだ。

 あ、これかな。普通のカラコンが入っていた。黒い瞳をヘーゼルナッツ色にするやつ。

 あれ?母さんの眼ってヘーゼルナッツ色では?これを重ねる意味はあるのか?

 手指を除菌クリーナーで拭いて一組出して、スマホの自撮りカメラでカラコンを入れる。

 ホントはだめかもしれないけど、小学生の眼に入るのか!目に物を入れるのは怖いんだよ!

「なんとかできた。ちょっとゴロゴロするか。しょうがないな」

 ごそごそごそごそしていたけど、隣に座っているアリサはさっきから眠っている。

「ウリサさん。どうですか?」

 進行方向を向いてゴダと話してたウリサに声をかけてみる。

 陽が沈みかけだけど、まだ明るい。

「どうした?って目の色が変わってる。魔女の目薬か?」

「いえ、ちょっとそういう道具をもってて。これなら大丈夫ですか?」

「これなら町の門をくぐれるだろう」

「よかった」

「母親と逸れたなら、身分証も持って無いだろ」

 全然顔が違う学生証とか、原チャリの免許とかはありますけど。

「はい。無いです」

「心配すんな。この兄ちゃんに任しときなさい」

 だんだん優しくなってきたウリサさん。

 なんだかんだで、お兄さん気質なんだろ。頼もしいな。

 ひとりっ子の俺には眩しいです。



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