34.5 挿話4【兄ちゃんたちは転職するつもり?】
きょうはゴダ君のお話です!
おいらは、ゴダ。
今十五歳の冒険者だ。孤児院で育ったけど、子供のうちにはもう、従兄姉のウリサ兄とアリサと一緒に冒険者パーティーを組んで、Dランクになった。
ある時から、おいら達のところに、シュンスケが来て、なんやかんやあって、帝都の大きなお屋敷に引っ越しをした。
おいらには、あまり深く考えることができないけれど、帝都に行ってしばらくは、シュンスケの学園通いのためにウリサ兄さんが、あの子の護衛や侍従代わりに動き出した。
冒険者の依頼で護衛はすることもあるから〈護衛〉はわかるけど、なぜ、執事のセバスチャンに教えてもらってまで、侍従をやろうとするんだろう。
「俺も、詳しくは聞いていないんだが、ドミニクのおっさんを見てたら、シュンスケにはきちんと勉強させて、大事に育てなければいけないのは分かる。
なんか、ほら、最初会ったときの姿を見た時を思い出すと、おっさんの言うことも分かる気がするんだ」
そう言われてみればそんな気もする。理屈は分からないけど、おいらのカンでもシュンスケはちょっとというか凄く違うやつだとはわかる。いい意味でね。
だって、死にかけてたおいらを助けてくれたんだぜ。しかも!チューで。
おいらは覚えてないんだけどね。
あんなきれいな子が、男の子だけど、おいらにチューするなんて、びっくりだよね。
しばらく、アリサにチクチクいじめられたよ。
そんで、アリサも、兄ちゃんの真似をしているのか、遊んでいるのか、侍女さんの仕事を教えてもらって、掃除とか、洗濯とか、今までもちょっとはしてたけど、本格的に出来るようになってきてるんだ。料理はまだ、出来ないけどね。お茶出しだけだ。
そんな従兄姉を見て、おいらだけどうしよう?って思っていたけど、人魚族のヴィーチャと漁師の二人に誘われて、漁の手伝いが出来るようになった。
お屋敷とか、貴族のための仕事なんて、おいらには出来ないし、想像もつかない。
このまま、ウリアゴも解散するかもしれない。なんて思っていた。
兄ちゃんも
「冒険者なんて危険な仕事は、力仕事だから、年食ったら出来ないだろう?収入も不安定だしな。俺たちの親も、冒険者だったから、戦争に駆り出されて死んでしまったんだ。
こうやって、帝都にしばらく滞在するなら、大きな街だし屋敷の事以外にもいろいろな職があるのを見れるし、冒険者以外の選択もあるってわかるだろ?危険の多い冒険者以外にもな」
「そうだね」
だけど、おいらは不器用だから、冒険者とは全然違う仕事なんて考えられなかった。
泳ぐのは苦手だけど、海に出て、たくさんの魚を捕るのを手伝ったり、新しい仲間が増えていくのは楽しい。
でも、従兄姉と冒険するのが減るのも寂しいと思っていた。たまには肉も食べたいしね。
ある日、シュンスケが
「ゴダ!おれも冒険者するよ!
今度、仮免許取りに行くの、付き合ってね!」
シュンスケはウリアゴの中では俺にだけ、ため口だ。それは親しみを感じるから気に入っている。小さい連れって感じだな。
「え?シュンスケは、お貴族様になるんじゃないの?そのために帝都で暮らしているんじゃないの?」
「まさかぁ。俺は根っからの平民だよ!ドミニク卿のご厚意で学園に通わせてもらってるだけ。
お貴族様って学園に通っているだけじゃなれないんだよ。親やおじいさんおばあさんが貴族か、誰もがびっくりするぐらい、すっごい活躍をしないと無理なんだよ。英雄とか勇者とかね。」
「そうか。おいらはそんなことも知らないんだ。シュンスケは物知りだな。」
「そう?でも俺、冒険者、憧れなんだよ。ウリアゴに入れてね!」
「もちろん。おいらはシュンスケが加わってくれるのは、正直嬉しいよ!
今はばらばらに働いている三人と、シュンスケの四人で、いっぱい冒険したいな。」
「うん!あっちこっち行きたいね。頑張るからね!」
笑顔が可愛くて眩しいやつだぜ。
正直、シュンスケは誰もがうらやむような、すごいやつ。本当に何でもできるんだよ。
最初に会った時は自分の名前も書けなかったのにさ、おいらの勉強なんかあっという間に抜かされて、今じゃすらすらと読み書きもできるし、計算も、ギルドや、お屋敷の執事さんがするような、複雑で大きな数字の計算をすごい速さでしちゃうんだ。
あと、大きな声で言ってはいけないらしいんだけど、最近、すごい魔法を使えるようになったんだ。
それはなんと、怪我が治っちゃう魔法なんだ。
おいらの、放っておいたら治るような擦り傷をすぐに直してくれたんだよね。めっちゃキラキラな光を出して。
ウリサ兄ちゃんたちより、おいらのほうが先に知ったのが嬉しくて、思わずお祝いしちゃった。
うん、アリサがシュンスケを〈天使〉って言うのわかるよ。
それで、先日久しぶりにポリゴンの町に行って、シュンスケの冒険者デビューを皆でしたんだ。五頭もいたフォレストボアのうちの三頭もシュンスケ一人でやっつけちゃってさ。
あの子は、あっという間においらを抜かして、一人でSランクになっちゃうかもしれないよ。すごいね。
あんなに、強くて、怪我も病気も治せて、帝都とポリゴンを一瞬で行き来出来て、その上歌も歌えるんだ!
前に歌うのを聞いた時は、おいら感動して鳥肌が立った。あんな事初めて!隣で聞いてたおばちゃんが泣いていたし。
シュンスケがパーティーに加わったら、おいら達もAランクに行けるんじゃない?
ウリサやアリサがよく言うけど、
「おいらもシュンスケと一緒に頑張りたいな」
「うん!いつか、大陸中を冒険しようね」
今日も顔や頭の周りを、キラキラさせながら(おいらの周りにもキラキラ飛んできたよ)一緒におやつを楽しんだんだ。
駿介 「おれ、最近ゴダが可愛くなってきて」
アリサ「えー?シュンスケ、目がよくなったって言ってたじゃん」
ゴダ 「おいら、シュンスケみたいな可愛い子に可愛いって言われても嬉しくないよ」
ウリサ「そうだゴダ、お前は中身で勝負していこうな」
アリサ「中身もいまいち・・・」
駿介 「中身が良いんじゃん」
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