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34【初めての魔獣討伐】

 俺は田中駿介。異世界に来て初めて経験した。冒険者(仮)デビューの話をしよう!


 ポリゴンの町で、朝から教会に併設されている、施療院のインフルエンザ治療をした。特効薬とか、対処法が古そう(医学は素人だ)なので、家族に感染ることを避けるために、インフルエンザに罹った町中の人が集められていた。看護する人も感染るのと困るのでいない。

 俺は、再びマスク姿で施療院を駆け回り、黄色ちゃんと白色ちゃんの力も借りて治療をした。ついでにいた、骨折と、外傷(フォレストボアの牙が刺さったらしい)の冒険者も治して、俺は午後には無事にウリアゴパーティーに合流することができた。

 

 「二人の怪我人は一昨日やられたらしいの」

 「俺らもそいつを昨日から探しているんだけど、まだ見つけられないんだよな」

 ここで、出会った時と同じ荷車馬車に乗せてもらって、街道脇の森を目指す。俺がクリスマスイブに東京から転移させられた場所の近くだ。


 もしその地点から、いきなり東京に戻っても、今となっては少し困るんだけどね。こちらでの生活も回りだしたし。でも、ひょっとしたらなんて思って、心構えぐらいはしておこう。


 “おうじ いたぜ”

 “ほんと?どっち?”

 “ここから ほくせいのほう ごひゃくめーとるぐらい”

 今日は黄色ちゃんと赤色くんの二人の精霊さんが両肩に乗っています、実は。

 “ごとう、いるな”

 この子たちは本当に優秀です。索敵なんて、特殊そうなのに。森の中とかは特に。

 とか思ってる場合じゃない。

 

 「ウリサ兄さん!北西五百メートルに五頭の群れでいます」

 「なに!なぜそんなに的確にわかるんだ。魔法使いの索敵って!」

 「兄さん、まずは行ってみよう」

 「そうだな」

 「フォレストボアはうまいからなー」

 ゴダには危機感がないのか。ていうか慣れてるんだね。

 

 馬車と馬を手ごろな木につないで置いて、四人は走り出す。

 「あっちですね」

 「見えてきた」

 立候補をしてみる

 「俺、ここから弓で先にやっていいですか?」

 「まだ射程には遠いんじゃ」

 「大丈夫です」

 立ち止まって弓を引く。二本連射で。

 シャシャッ

 

 うまく反対側から飛んできたようにカーブを付けて

 

 ドスッ ドスッ 


 向こう側の二頭に当たった!風魔法に乗せたから、魔物なのにうまく急所に刺さった!


 「良いぞシュンスケ。残りがこっちに来た」


 「あたしも、お姉ちゃんらしいところ見せなくちゃね!」

 「おにくー」


 先輩冒険者が突っ込んでいく。ゴダのセリフは何だよ。

 ウリサ兄さんは大剣、アリサねえちゃんは俺と同じロングソード、ゴダはハルバードと盾。

 「うわ、ずれた」


 あ、アリサねえちゃんが少しミスった。ロングソードに鼻先をやられて怒っている。


 「アリサねえちゃん!」

 すかさず飛んで空からフォレストボアの頭上に、落ちる重力を使って俺の剣を脳天に突き刺す。


 「すげー、一瞬で終わった、五頭をこんなにあっさり」

 ゴダが少し惚けている。

 「あーん失敗した。シュンスケに助けられちゃった。」

 

 「シュンスケは攻撃のできる魔法使いだな」

 「へへ」

 「俺たちは一気にすごいパーティになったな」

 ウリサ兄さんに頭をぐりぐりされる。

 「Aランクまでは頑張ってもいいかもな」

 「がんばりましょう!」

 「魔法使いってすごいねー弓があんなに飛んで威力も」

 「そうだな、俺の風魔法なんて、そよ風ぐらいしか起こせないから」

 ウリサ兄さん、それは訓練次第で効果が出るんだけどな。


 俺の初討伐は一瞬で終わってしまった。

 「さ、解体しましょ」

 「五頭もここで解体するの?めんどくさい。誰か呼ばない?」

 フォレストボアってのはイノシシの魔物だが牛よりでっかい。前に見た時は、解体されて小分けされていたから、大きさが分かってなかったけれども。初めて見たけど大きすぎる。こんなに大きいと血抜きもすごいのでは。

 そうだよ、血の匂いで次のヤバイやつが来るかもしれないしな。

 「俺が四頭運ぶから、一頭だけカモフラージュで解体しませんか?」

 収納魔法はあっても、普通はフォレストボア二匹ぐらいが限界らしい。俺は全部入るけど、

 「もうこれ以上目立ちたくないけど、これぐらいならいけるでしょ」

 「目立ちたくないって、何をいまさら。でも頼むわ、えーとあのパーティをケガさせたやつは・・・」

 朝、俺が治療した冒険者たちをケガさせたやつは、たしか情報では右目に

 「あったこれよ、右目に大きな古傷が。これを解体して、頭を証拠に持って帰りましょう。あ、これ、シュンスケの最初の矢にやられた奴ね。」

 「そうだな。うげ、矢が半分めり込んでる。風魔法の威力ありすぎだな」

 ふふん。すごかったよね。

 “黄色ちゃんのおかげだもんね!”

 “えへへー”

 “それで、毛皮を洗浄するときの水をお湯にしてくれたもんね”

 “おれがな”

 “赤色くんもありがと”

 そうして、一頭の首以外の血抜きと解体をして、コンパクトになったのに 荷車にはおれと、フォレストボアの肉と頭を乗せて三人は歩いてギルドに向かった。

 「俺も歩けるんだけど」

 「あんたは四頭運んでいるんだからね」

 俺ごと荷物扱いですか。イノシシくんの頭とご一緒はちょっと。


 ギルドに帰ってきた俺らは、魔物解体場に行く。

 今回も解体専門の人はいない。さっきまでインフルエンザで施療院にいたから、まだ魔物の解体なんて力仕事はできないんだろう。

 代わりにゲール師匠がいた。


 「おうおう、なに取って、フォレストボアか、一頭、二頭・・・」

 「四頭です!すぐに収納したので、まだホカホカですよ。師匠、血抜き手伝ってください。」

 「お、おう」


 「「すみませんゲールさん」」

 「ウリアゴ、お前ら、シュンスケの能力は出来るだけ内緒にするんだぞ」

 「分かってます。こんな優秀なメンバーは、よそに出せません」

 「美味しいものを出すメンバーは大事」

 「こんな、可愛い子は手放しません」

 「いや、可愛さは・・。分かってたらいいけど。んじゃやるか!」


 屋外でやるより、施設の整ったところで解体するほうが、きれいに手早く作業ができる。

 持ってきてよかったね。


 「俺達が食べる分の肉はこれだ。このまま、持って帰って屋敷で料理するか?」

 「そうですね、ここのキッチン借りましょうよ、下ごしらえだけでもしておきましょう」

 解体施設の横には、ハムや腸詰を仕込めるような設備やキッチンも揃っている。

 きょうは帰っても屋敷には料理人がいない。いるときは作ってくれるけど、俺たちは居候なので、基本自炊なのだ。

坊ちゃんごっこはしているけどね。ウリアゴの三人より俺のほうが料理は上手だし。母子家庭っ子の実力さ。

 焼くだけにしておいたら、ミアさんや、セバスチャンも楽だしね。


 「じゃあ俺はエールでも買おうかな。帝都より安いしな、ちょっと売店に行ってくる。」

 ギルドのレストランコーナーの横では冒険者割引(仮免でも適用)が使えて、一般の人も利用できる小売りもしている。肉以外に、自然に生えていたのを取って生きた自然薯とか山菜などもある。


 明日は、俺たちが取ってきた獲物の一部も売られるんだろうな。どんな人が食べるのかな。


 帝都に帰って、海の見える大きい風呂に入り、ステーキを食べた後、

 皆は、軽いスナックのようなのをつまみながら、まったりしていた。


 「んじゃ、今回の報酬だが、フォレストボア五頭はこれ、金貨四枚」

 うんうん?相場が分からん。

 ひとりに一枚ずつ金貨を配る。俺には手を掴んで掌に載せる。

 そんなことしなくても落としませんよ。って言おうとしたら

 「それと、シュンスケはこっちも」

 と言ってもう二枚金貨を乗せる。俺のちっこい掌に三百万円置かれたことに冷や汗が出る。

 「孤児院と施療院の治療代だ」

 「え?施療院はともかく孤児院からお金なんて取りませんよ」

 「ギルマスや教会は、税金やお布施から、こういう時の金を用意してあるんだ。遠慮なくもらっとけ。討伐代だって、五頭のうちの三頭はお前が仕留めたんだが、こういうのは山分けってのが習わしだから、すまんな」


 「いえいえ、今日は俺はまだ、見習いなんで(仮だし)、勉強させてもらったんですから」

 「おいらたちがお前に教えることなんてないんじゃねえか?」

 ゴダ・・・どういう事?

 「シュンスケはすごいってことよ!」

 ってアリサが抱きついて頬ずりをしてきた。

 「ってことで、新生ウリアゴに乾杯だー」

 珍しくウリサ兄ちゃんが高いテンションでエールのジョッキを持ち上げた

 みんなも続く

 「「「おー、かんぱーい」」」

 ウリサ以外はソフトドリンクですけどね。 


ゴダ「さ、仕留めたのはシュンスケだから、これをお前に!」

アリサ「フォレストボアの兜焼きよ!」

駿介「いつの間に? うっ、ゴダ!俺と向かい合わせに置くのやめて」

ウリサ「俺が、うまいところを取ってやろう」

駿介「わーい、ウリサ兄さんありがとう!」

ゴダ「おいら、頬肉のところ―」

ウリサ 「ちょ、一番うまいところはシュンスケに決まってるだろう!」

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お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪

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