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32【仮免とったどー】

 そろそろ冬の入り口。俺は学校の三連休を利用して、アリサ姉ちゃんと、ポリゴン町に瞬間移動()んだ。

 ポリゴンの冒険者ギルドにいる、元Aランク冒険者のゲール師匠に冒険者の仮免許の手続きを頼むために。

 ウリサとゴダは先に馬で出発していた。ポリゴン町の近くの森で、魔物が少し増えていて、帝都まで依頼の紙が出回っていたのだ。


「師匠!また、お願いします!」

「おうっ。ちっとは成長したか?って期待してたけど、全然だな」

 がくっ

 そうなんだよ!孤児院では同じ年齢のヨネちゃんに身長を抜かされていた!ショック!


 で、でもいいもん。身長なんて。

「学園では、今のところ負け無しなんです!お願いします」

 以前ポリゴンにいた時には手を出さなかった、剣術。

 今の俺のレベルを見てほしい。

「それで、納得いただけたら仮免を!」

 弓と投げナイフは師匠から合格をもらっているんだ!

 そもそも、剣道の段持ちなんだ!剣術のほうが得意さ。

「わかった、何を使うんだ」

「ロングソードです」

「なるほど、そのタッパじゃ両手で持つのがいいよな。でもそうすると盾が使えないのでは?」

 そんなものは邪魔だ。

「ふふふ、師匠、攻撃は最大の防御なんですよね」今更、慣れない物は怪我のもとだ。

「ふっ、いうじゃないか。ほら」

 っていって、ロングソードの木剣を投げてきた。


「よし、来い!」

「行きます!」


 カンカン カンカン 

 さすが師匠、護衛やっている同級生より早い。それにウリサ兄さんよりやっぱり年季入っているのか、隙がない。

「おい、お前、上達早すぎないか!俺がこんなちっこいガキんちょに押されるとかないわー」

 カンカン カンカン カンカン カンカン 

「ふふん!俺は毎朝、ウリサ兄さんと砂浜で打ち込みしてるんでね」

「んの、生意気なーおりゃ!」

 口でも戦う。これも大事だったりして。剣道なら叫び声のような掛け声だけだけどね。

 打ち込みが続いていると、

「はーい。ストップ!時間ですよー」

 ギルドの受付のおねえさんが合図を出す。

 これは訓練じゃなくて、仮免のための試験だもんね。


 はあはあはあ

「どうですか?」

 息切れしているのは師匠の方なのだ。

「くそ―、仮免合格だ!お前はどうなってんだ」

「どうって、訓練のたまものですよ。師匠のおかげで」

「俺は剣は教えてないけどな」

「ふふ」

「まあ、頑張れば将来Sランクにはなれるんじゃない?」

「ほんとですか!」

「ああ、五十年ぐらいかかるかもしれんがな。あっはっはっ!」

「ふむ、五十年か、そのぐらいならできそうですね!」

「何言ってんだこいつ。人間族ならほぼ引退の年齢だぜ。冒険者は体力が命だからな」

 師匠、実は俺、人間族じゃないんです。


「じゃあ、シュンスケくん、仮免登録するので、身分証貸してください。」

「ちょっと待って」

 首の紐から身分証だけ外して、おねえさんに渡す。


 訓練所からおねえさんが出て行って、師匠と俺の二人だけになる。

「師匠、実は見てもらいたい剣が一振りあるんです」

「なんだ?」

「これなんです」

 と言って、〈風の女神のミッドソード〉を、ウエストポーチから出す。

 出してもらったのが嬉しいのか、薄ら光ってシューシュー聞こえる。


「こ、これは、どうしたんだ」

「この〈風の女神のミッドソード〉って言うらしいんですが、ポーチにもともと入ってて、どうやら自分も知らないうちに俺の所有物になっているんです」

 と説明しながら鞘を抜いていく。

「そ、そっか。わ、わかったから。ここで抜くな」

「そうですか」

 少しシューシューが強くなったのに、鞘に戻すと大人しくなった。ごめんね。


「その剣がどういうものか断言できないけどな、この世界には神様が沢山いらっしゃるだろう?で、その神様の名を冠する武器がそれぞれ存在するらしい。見たことは無かったけどな。それらは、抜くだけで、出すだけで、戦を沈め、ひとを粛清し、この地を静かにすると言われている」

「これもそれだと?」

 結構、物騒なものだな。

「わからんが、鑑定して女神の名前が入ってるんだろう?そこら辺の鍛冶屋は、自分の作った武器に神様の名前は付けない。恐れ多いからな。その神様に許可がもらえれば別だからな」

 ・・・壮大な話になってきたぞ。


「知ってしまったから、ドミニクにも存在を共有してもらうが、くれぐれも、めったなことでは出さないように。いいな」

「はい」

 そんな物騒なものは、さっさとしまう。

 女神様、これを持たせるのが加護ってわけじゃないですよね。災難が来そうです。


 ガチャ「シュンスケくん」

 さっきのおねえさんが戻ってきた。

「まだここにいたの?」

「あ、すみません。師匠からありがたいお言葉を聞いていて」

「何がありがたいじゃ、こっちのほうが凄いも・・」

「おねえさん、今から受け付け行きます!」

 師匠が口を滑りそうになるので、無理やり重ねて遮る。

「大丈夫、ここに持ってきたわ。はい。ステータス開けてみて」

「はい!」


「おお、久しぶりに見たら数字が増えてる」隠されてる青い字の数字もちょっと増えてる。よかった。頑張ってるもんね。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 田中駿介 人間族 六歳(シュバイツ フォン ロードランダ エルフ? 十八歳)


 仮免許 所属ウリアゴパーティDランク


 職業 ガスマニア帝国国立学園 魔法学部一年生


 レベル  三〇(+二〇)

 生命力 六〇〇(+一〇〇〇)

 体力 三〇〇〇

 魔力 一〇〇〇(+一〇〇〇〇)

 魔法基本属性 全属性

 魔法特殊属性 全属性

 スキル魔法 空間・錬金・鑑定・精霊

 その他スキル 算術・剣術・弓術・投擲・料理・裁縫・癒し・音楽・治癒


 風の女神の加護

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 やった!これで兄ちゃんたちと冒険できる!

 俺はやるぜ。

「なんじゃこりゃー」

 俺のステータスを横で覗いていた師匠が叫ぶ

「え?」

「ガキのスキルじゃありえないだろ?」

「前からこんな感じですよ?」もっともっとやばいところは隠れてるし。


「・・・俺は疲れた。もう帰る。レベル以外俺より上って。ないわー」

 ぶつぶつ言いながら訓練場から出ていく。

「はい。セレさんに伝えときますねー」

 受付嬢の言葉に

「それはやめろ」

 師匠より副ギルマスの方が上と・・・


「ははは、ありがとうございました!」


 ギルドのレストランコーナーに行くと、ウリアゴパーティーが揃っていた。

「シュンスケどうだった?」

「仮免ゲットできました!ウリアゴにも入れていただいたんですね。ありがとうございます。」

 仮免が取れてもEランク以上のパーティーに面倒見てもらわなくちゃ冒険者出来ないんだ。俺はもちろんウリアゴパーティー一択だよね。家族みたいなもんだもの。

「そりゃ、シュンスケが他のパーティに行っちゃったら、ショックでアリサが寝込むぜ」

「だな」

 あはは!そう思ってくれてありがたい。

「じゃあ、俺たちはもう少し飲んでるからよ、シュンスケは先に孤児院で休ませてもらえよ」

「はい、お先に失礼します」

「明日は朝から討伐だからね」

 大人三人は、住んでいたところを引き払っているので、今日はギルドの宿坊に泊まるそうだ。


 さあ、可愛いお友達元気かな。


お星さまありがとうございます。もっと頂けたら♪

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