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異世界転移したら尖った耳が生えたので、ちびっこライフを頑張ります。  作者: 前野羊子
第五章 ~王子のクラフツ留学~

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262【夏休みの砂漠ツアー】  

寒いですねー!

いつもお読みいただきありがとうございます!

ぬくぬくしてから、このページでゆっくりいってください~♪

 観光地の砂漠ツアーってさ、綺麗に縞々になった風紋に足跡を付けてみるとか、ラクダ乗り体験とか、スノーボードみたいなサンドボードとか?後は砂風呂とかだろ?


 まあ、今回そんなものは一切用意してないけどな。


 『そろそろつくよー』

 さっきまで機嫌よく砂漠の歌を歌ってたハロルドから、着陸準備のお知らせ。


 朝出発して、空の便だと夕方にはアンシェジャミンに到着する。

 陸続きだと、あのアルプスなみの山にトンネル掘ったとしても、馬で何日掛かることか。


 「わあ、綺麗なオアシス」

 「白い縁取りの湖?レモン型でおもしろい」

 『あれが、エマイルモンド湖っていって、もともとあった湖なんだけど、復活させたんだ』

 「スゲー」

 『ふつうの土木作業じゃ大変だから、ダンジョン化してね』

 「なるほどな」


 今回は、湖の北側の複合施設の正面玄関の前の広場に着陸する。

 ここには、ミグマーリポートを二つ作っている。二つ目はもちろん俺用だけどね。


 『着陸態勢に入るから、もう一度シートベルトを確認して』

 『高度を下げますよ』


 「「「「はーい」」」」


 地上には、シャンツと、エヒヴェンっていうアルジル伯爵のお父さんが、俺たちをポートに誘導してくれている。


 「ミグマーリ様、オーライ、オーライ、ハイ大丈夫です。ワゴンをゆっくり降ろしてください」


 「シュバイツ殿下、オーライ、オーライ、ハイそこで、着陸できましたか?ではワゴンを降ろしてください」


 『はーい。降ろしまーす』


 ふう。


 人間族の姿に戻って首の後ろを少しもむ。

 ちょっと凝ったかも。


 「うわあ暑ーい」

 「すげ、真夏だ!」

 「こっちは一面砂!」

 「初めての砂漠だ!」

 ワゴンから出てきた人たちの感想は様々。


 「お疲れ様」

 『お疲れ様ですシュンスケさん』

 「おう。ミグマーリもお疲れ」

 まだ龍の姿のままの後ろ足の鱗をペチペチ。

 まだ、彼女は着衣つきの変身が出来ない。


 『そうね、途中で休憩が無かったものね。でも大丈夫よ』

 そう、今回ノンストップで飛んだ。

 前にこのルートを北上したときに、途中にもう一つオアシスを作っとくべきだったと後悔したけど、ノンストップで一日中飛んだことがなかったのは俺だけだった。

 ハロルドも平気そう。

 「ウリサもお疲れ」

 「早馬で地上を走るより全然楽だから平気だぜ」

 『途中でおやつを齧りながら飛んだもんね』

 「ああ」

 

 そういえば、途中でウリサがハロルドの口に林檎を入れていた。

 『じゃあ、あたしは湖で休ませてもらうから、後で迎えに来て』

 「わかった。こっちの女の子たちに頼んでもいい?」

 『もちろんいいわよ』


 湖の北にある複合施設はすっかりリゾートホテルとしての機能が完成している。

 ロードランダから移住してきた人たちのなかの女性が従業員として働いてくれていた。

 「エルフだー」

 「美しいお姉さん」

 「まあまあ、可愛いお客さんだこと」

 「あたしたちはエルフですからね、もう孫も大人ですよ」

 お姉さんだと思ったらお祖母ちゃんなんだよ!すごいよね。


 「ささ、皆さんはこっちですよ」


 この複合施設の最上階スイートルームを二つ今回は貸し切りで。

 一つは先生陣。男女入り乱れていても、寝室にはきちんとドアがあるので大丈夫。といいたいけど、今回大人は男だけだ。

 そして、もう一つのスイートルームは生徒陣が泊まる。みんな個室の寝室有りで。

 なのに俺だけはミグマーリと同伴だ。


 「他の人と一緒にいてなにか失敗したら困るから」

 だって。

 水の女神(おば)様がいうには、

 『シュンスケの存在を知って甘えることを覚えたんじゃないかえ?』だって

 こんなきれいなお姉さんに甘えられる?おちびな俺が?


 そんなこと誰も怒らないのに。

 むしろどんな失敗をするのか知りたいよ。わくわく。


 「とりあえず俺も晩御飯に呼ばれるまでテラスのジャグジーに入ってる」

 「わかった。その前に水ぐらい飲んどけよ」

 ウリサ兄ちゃんの言うことは聞くよ。

 水が入ったコップも持って来てくれてるんだもん。


 「わるいんだけど、パステルとラヴィは湖にミグマーリを迎えに行ってくれない?」

 「わかったわ」

 「ミグマーリの荷物はこれで、こっから服を出して持って行ってやって、バスタオルと」

 と、俺のアイテムボックスから紫がかったピンク色のリュックを出す。


 「もちろん。ねえ、ラヴィ、ミグマーリ様に何を着てもらったらいいかしら」

 「やだパステル、ここで下着を出さないで。男子がいるんだから」

 「あ、そっか」

 「こっちのワンピースがいいんじゃない?」

 「そうね、それにしましょう。あ、ドライヤーやブラシとシュシュもあるのね」


 「じゃあ、ミグマーリ様を迎えに行ってきます」

 「たのむ」

 ウリサが二人に声を掛けていた。


 二人の女子が出てすぐ、エルフの女性スタッフが呼びにきた。


 「夕食の用意が出来ていますので、レストランにお越しください」


 「女性三人が戻ってきたら向かいます」


 ほどなくして、夏らしい爽やかなワンピースを身に着けたミグマーリがやってきた。

 「ミグマーリ様お美しいですぅ」

 『ありがとうクリス』

 「よっしゃ、飯に行こうか。腹減ったろシュンスケ」

 「もうペコペコ」

 「ワイらはワゴンの中でずっと食ってたけどな」

 「いいんだよ、旅行の道中のおやつって美味しいよね。それも楽しみなんだから」

 「たしかにそんな気がした」


 ミグマーリは二人の女子に挟まれて楽しそうに歩いている。

 彼女も随分人に慣れたようだ。


 レストランフロアではちょうど夕日が砂漠の向こうに沈むところだった。


 「うわあ、すごーい綺麗」

 「砂漠の夕日って大きく見えるよな」

 「ほんとだね、知らなかった」

 「まあ、目の錯覚らしいけどね、月だって低いところにあった方が大きく見えるだろ」

 「そうなの?ヴァルカーンにいるとリアルの天体は見えてないから」

 「そうか!地底都市だもんな」


 次の日も俺はフルで予定が詰まっているので、ご飯後のレクリエーションは早めに切り上げて、寝た。


 ミグマーリは、パステルとラヴィのパジャマ女子会に参加させられていたみたいだけど、やっぱり一日中飛んでたのがつかれたのか、二十時ぐらいには俺の布団の横に潜ってきた。


 『湖もいいけど、王子の横の方が疲れが取れる気がするわ』

 「気のせいだよ!」

 あの湖も聖属性のダンジョンの湖なんだぜ、癒し効果あるよ。

 『そうかしら。おやすみなさい』

 「おやすみ」


 今日も水の女神様に似た香りに包まれて眠る。


 次の朝、俺は一足先に起きてウリサと共に、今現在のダンジョンを見て回る。

 付け焼刃すぎるかもしれないけどさ、下見をしておかないと紹介なんて無理だからさ。


 「朝から悪いねシャンツ」

 「いえいえ。シュバイツ殿下に知ってもらうことが一番大事ですから」


 始めに俺が構築した時とはフロアの順序が変わったりしているようだけど、中で住んでる人には何も影響はないようだし、むしろ良い感じに変わっていくそうだ。


 ダンジョンの正式な入口は、ホテルのある複合施設じゃなくて、教会の方だ。

 久しぶりに教会に行って、祭壇の真ん中をくぐってダンジョンの入り口に入る。


 地下一階層は始めは森だったけど、今はこっちが農園に変わっている。

 ロードランダから来てくれた、アルジル家の先代と先々代一家、をはじめ数組のエルフと、ペルジャーの方からたどり着いた猫人族たちが、農場や牧場の世話をしてくれていた。

 将来、観光客が増えたら、観光農園にしてもいいよね。そのためにはここにトロッコを設置しようかな。作物を運ぶのも良いし。あ。重機ゴーレムが開発されれば、耕運機代わりに派遣してもいいよなぁ。


 「シュバイツ殿下ー」

 「おはようございますー」

 「おはようごさいます。早くからご苦労様です」

 「なんの、農家は早いものなんですよ」

 「そうなんですね」

 「殿下が派遣してくれているホブゴブリン達もとても働き者で」

 「それは良かったです」


 今現在このダンジョンには五人のホブゴブリンがアナザーワールドから交代で来ている。

 べつにここに繋がるドアがあるわけじゃないんだけど、そこが謎なんだ。答えはスフィンクスが知ってるかもしれないけど、問題はなさそうだし便利だから放置。


 地下二階層はハイキングエリア。森や山の幸を健康的に歩きながら採取できる。ここはエリアわけをしているんだけど、狩猟エリアもあって、お肉の美味しい魔物じゃなくて動物や鳥をアナザーワールドからこっちに放してある。

 腕の良い冒険者の場合は、自分の武器は受付で大切にお預かりして、性能が最低限の弓を貸す方法で、狩り尽くしてしまわないように調整するつもり。


 地下三階は、トレーニングエリア。ロッククライミングの出来る山とか、可愛い~怖い動物に追いかけられながら楽しく走れるエリアとかがある。

 アスレチックもあるよ。冒険者がトレーニング用に潜るなら無料で楽しんでくれてもいいよね。


 地下四階は、お楽しみエリア。地下一階の農園で出来たもので作った料理を提供したり、屋台村があったりする。お土産屋さんもここへ。

 将来はさらに、夜の大人向けに、麗しいお兄ちゃんやお姉ちゃんと遊べる店とかお酒のみせとか、ちょっとしたカジノなど、ある意味天国気分を味わってリフレッシュしてもらう場所があってもいいんじゃないかな。


 で、農園にも多少、農夫が住む住宅を作っているけど、

 地下五階は、ダンジョンで働く人のための街。ファミリーが来ても良いように

保育施設や教育施設も充実。老人クラブも用意する予定。

 一戸建てから集合住宅を用意して、でもこれは全部社宅。

 自分所有の家とか退職後の家は、ダンジョンの外にできるはずの王都で建てたり借りたりして住んでもらう予定。こっちには老人ホームも予定。


 で、地下六階から下は、総合医療施設。

 医大とそれの付属病院とか、薬の研究開発機関とかを誘致して、病気や怪我と戦う人たちを育てたり応援したり。の予定。


 そうして最下層の地下十階にはラスボスがわりの癒しの女神(架空のでも良いかも)の立像があって、そこに祈ると十年分ぐらい寿命が伸びる、健康という何よりのお宝をゲットして家に帰る。


 「って感じの予定で、出来つつあるのはまだ三階層までで、後は箱だけなんだ」

 予定ばっかりです。

 「何じゃそりゃー」

 「ね、ランガディアまだまだでしょ?」

 「そう言う事じゃない!」

 「たのしそうだな!俺は数年後にはここに定住するぜ」

 「ずるいぞ、ボーデン」

 「まあまあ、俺はもうとっくに孫まで独立しているからいつでもリタイア出来ますんで」

 「くそ」

 「殿下はそうだな、息子にさっさと立太子してもらって、あっちの王籍から外れない限りむりだな」

 「むう」


 「教授、そんなに焦らなくても、即位して暫くして次に譲ってからでいいじゃないですか。セイレンヌアイランドのアジャー島の族長もそんな感じでしたよ」

 「だがシュンスケ、建国の瞬間にかかわりたいじゃないか」

 「まだまだ先ですよ。それに学生の間はもちろん、時々相談しますから、っていうか、ヴァルカーン王国に頼らないと鉄道なんか無理だし」

 「あ、ああそうだぜ」

 頼るという言葉を伝えたとたん教授らしい表情に変わる。


 「凄いです、シュンスケさん」

 「なにが?」

 「凄いぜ、どんどん人が集まってきそうだ」

 

 「よし、せめてエマイルモンド湖の護岸にヴァルカーン王国のための大使館兼建物を建てさせてもらおう」

 「大歓迎ですよ!」

 何もないに等しいこの国に一つでも立派な建物が欲しい。

 その前に国民だけどさ。


 「そのためにも、飛行魔道船の開発は再開して実現しなくては」

 「はい。あと、デンジャーバチカル帯にトンネルは無理ですかね」

 「トンネル?」

 「ええ、トンネルの技術が確立できたら、ガスマニアの帝都など建物が密集した都市の地下に鉄道を走らせることが出来るので」


 「シュンスケその工事のヒントぐらい持ってそうだな」

 「教授」

 欲しがりさんなんだから。

 「えっと……シールド工法ってのがあって」

 「その情報が何処から?とは聞かぬから、大体の内容を教えてくれ」


 「たしか、トンネルを掘りながら同時進行で、トンネルの外壁を作っていくんです。大きなトンネルなら、丸い方が頑丈なので、外で湾曲した壁を沢山作っておいて、ちょっと掘っては丸い壁を取り付けていくんです」

 「なるほど」

 「そして、この方法なら河の下も掘れるし、何より地上への影響が一番少ないのです」

 

 地下鉄の話を始めた時に、ちょこちょこトンネル工法の事をググっていた。良かったよ。

 でも、これらの工事を、遠隔で操れるゴーレムなんかでやっていけば、なお安全だよな。


 「だからやっぱりゴーレムの開発が最優先です」

 「は?」

 「どの工事にも必要になります」

 「そうだな、そっちからだな」

 「はい!」


 シールド工法は、仕組みの動画を見せたら、皆で開発してもらえるかもしれないな。

 締め切りは無いんだし、事故が無いようにじっくりやれば良いさ。もしかしたら地下鉄の前にバスやトラックみたいな魔道車が出来るならそれで良いしね。


 夢を考えるって本当に楽しいな。


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