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異世界転移したら尖った耳が生えたので、ちびっこライフを頑張ります。  作者: 前野羊子
第五章 ~王子のクラフツ留学~

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243【次元が違う】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 今日は次元ディメンジョンの授業。

 俺はさあ、漫画や小説を読み込んだし、日本の義務教育の技術の授業で習ったよね。キャドソフトのさわりぐらい

教わったしね。


 商業科以外の皆が受ける必修の講義なので、科が違うけどクリスと並んで授業を受けている。大きな大きな階段教室で、教壇の先生の映像が、頭上のスクリーンにも大きく出ている。こういう技術も魔道具のプロジェクターなのだ。まあ、俺とクリスはちびっ子なので一番前の席でかぶりつきで先生の話を聞いている。


 「物の状態を表すものに次元というものがあります」

 講義の教壇に立っているのは男性エルフの教授。

 お名前を、ブレンダー教授という。家名は省略。主に化学や科学がメインの座学を担当している。化学や科学は時には実験もするそうで。本業は錬金術研究だそうだ。


 「点は一次元、そこから線が伸びると二次元、そして面は三次元、立体位になると三次元。さらに時間が経過する事を四次元と言います」

 うん、異世界とか魔法とかファンタジーは関係ないね。某テーマパークでは、匂いや熱の変化が四次元とか言ってたっけ。三次元までは基本中の基本。


 「ものづくりをされる皆さんは三次元の世界が大切ですが、他の次元が分かっていないと良いものづくりが出来ないとされています」


 分かってはいるけど、ノートは取るよ。先生の後ろと、頭上に展開されているもう一つのスクリーンには説明の図や文字が写し出されていてそれが増えていく。

 教科書がなくて、書き取って行かなければ、後のテストの時に勉強できなくて困るんだよ。ノートが間に合わなくなれば、白色くんにお願いして転写するんだけど、書いた方が頭に入るもんね。

 一応この単元の書物はある。書き写すことが出来るものだし、書写した本もいくつかあってどれがオリジナルかわかんないけど、図書室に沢山あった。本来ならそれが教科書になるんだろうけど、羊皮紙って分厚いし重いんだよ。持ち歩ける大きさじゃない。俺たちなら空間魔法があるけどさ。書き写した方が頭に入るだろ?


 ちなみに俺は柄の短いつけペンとトルネキの古書街で作ってもらった修正筆を使用している。消しゴムよりカスが出ないし、早く消せるので便利。クリスにも一本渡している。この修正筆を手配してくれたのはクリスの親戚だからね。


 みんなは羽ペンを使ってるけど、教室では邪魔だぜ。


 先生の講義は続く。


 「他の次元としては、魔法を使うときに発生するマジック次元、精霊や妖精が存在しているスピリチュアル次元、神々のおわすハイミール次元、そして、このゼポロ神の世界ではない、異世界とも言われている異次元などがあります」

 

 異世界をひとくくりにされたよ。地球がある世界と魔界がそれぞれ有るって俺は知っているがな。


 “ふぇぇ、難しいですぅ”

 隣のクリスから、泣きの念話がきた。

 “一気に言われたからな。基本の次元より後半の次元の方が分かるんじゃないか?”

 “たしかに、シュンスケさんは殆どの次元に存在していそうです”

 “ハイミール次元は分かってないよ!”

 “女神様とよくお話しされてますよね”

 “あれは、あちらが俺たちの世界に来られているのだ”

 “なるほど、じゃあシュンスケさんのアナザーワールドは?どれになるでしょう。スフィンクス様やクインビー様や精霊ちゃん達が自由に出入りしていますし、何よりシュンスケ様自身が精霊ですから、あそこはスピリチュアル次元そのものではないでしょうか”

 “なるほど!クリスそうかもしれないな、後で先生に聞いてみようかな”

 “はい!”


 “ちなみに、俺は異世界育ちだ”

 “お誕生会の時や魔界の話の時にそう言ってましたね”

 “そう”

 ウリサに話していることはクリスにも共有してもらってる。

 魔界の話をするときにはもう一つの世界の話もしなくちゃいけなかったしね。


 「では、一次元から四次元、またはほかの次元もいいですよ、紙に描いたり、魔法や他の方法で自分なりに表現してください。隣の教授室にいますので、出来た人から見せに来てくださいね」


 「「「「「「はーい」」」」」」


 「よし、一番乗りで行ってくる」

 「え?シュンスケさん!もう?」

 「クリスもすぐに出来るだろ?」

 「ま、まあできるかな……あ、出来ますね」

 「んじゃ行こう」


 ブレンダーにほぼついて行くように講義室を出る。


 「先生、俺達が一番乗りでいいですか?」

 「え?シュンスケ君とクリス君?」

 「はい!」

 「ふふふ、ではどうぞこちらへ」


 講義室の隣の扉を開けると、そこはまるで……

 「見たことあるな」

 「ええ、お正月にお伺いしましたよ」

 温室だった。


 温室には沢山の精霊たちが戯れていた。主に緑色ちゃん。そして他の子も。


 「この温室は、ガスマニアの学園を思い出します」

 「ええ、私も大昔はブラズィード教授の助手をしていましてね、この国は精霊魔法を推奨するけれど、自然が少ないでしょう」

 「はい、工業の街ですもんね」

 空気も、東京の下町に似ている。重油やガソリンなどの排気ガスは無いけどね。


 「それで、自分自身の精霊魔法のためにもこの施設を作ってもらったんですよ」


 温室の向こう側にはもう一つの扉。

 「教授室はあちらですが、どっちで発表しますか?」

 「俺はここの方が都合がいいです」

 「僕はどちらでも大丈夫です」


 「わかりました。ではシュンスケ君は何を発表してくれるんですか?」

 「スピリチュアル次元ですよ」

 「僕も」

 「そう言えば二人とも精霊魔法に優れているんでしたね」

 「はい」

 「シュンスケさんのは絶対すごいので、僕が先でもいいですか?」

 「いいよ」

 「いいですよ」


 「じゃじゃあ」

 と言って、ポケットから美しいピンク色のバラの花を掌に載せる。

 「“女の子精霊ちゃん達―”」

 “はーい”

 “わあ、くりすじょうずになったじゃない”

 “いただきまーす”


 色とりどりの女の子精霊ちゃん達がクリスの手の上のバラの花びらを一枚ずつ取っていく。

 「クリスこれは?」

 「ふふふ、シュンスケさんも一つどうぞ」

 といって一枚口に入れてくれる。

 「甘ぁい!でもうまい。これは飴細工?」

 「ええ、ほら、露天のべっ甲飴屋さんにこういうのもあったでしょう?」

 「ああ、ロードランダで見たね」

 「自分でも作ってみたんですよ」


 「へえなるほど、女の子精霊は甘いもの好きですからねえ。これは素晴らしいスピリチュアル次元の表現ですね。〈S〉を付けましょう。では授業を終わっていいですよ」

 「ありがとうございます」

 「クリスやるじゃん」


 「では、次はシュンスケですね」

 「その前に、教授も精霊ちゃん達と仲良しなんですよね」

 「もちろんです、だからこそこの温室が必要なんですよ」

 「んじゃあ、唯一無二の精霊の友達から、この子を紹介しますね。ハロルド!」

 『はーい』

 温室にハロルドを出す。

 「わ、ハロルド様?本当にシュンスケと言うかシュバイツ殿下といらっしゃるのですね」


 やっぱりこの人は俺のことをある程度知っている。ヴォルグラム陛下並みには?

 

 『こんにちは、ブレンダー』

 角も羽も出してくれるペガコーン。周りには精霊ちゃん達も戯れている。絵になるよね。


 「こんにちはハロルド様」

 『ここは良いところだねぇ。風がきれい』

 「ありがとうございます」

 「この国は、工場の空気が流れていて、なかなかハロルドを出せないんですよね」

 『この間、王宮へ馬車を曳いた時も黄色ちゃんにお顔を覆ってもらったよ』

 「そうなんですね」

 『苦手なだけで、工場の煙で僕が変になるとかは無いけどね』

 ハロルドは基本丈夫で強い。

 「普通は苦手だよ」

 『そうなの?』

 「ここの人は慣れているだけだけだよ」


 「ハロルド様には私にも触れる事が出来るのですか?」

 『出来るよ。僕いつも皆を乗せてるの。王子だけじゃなくてクリスとかウリサもね』

 「先生、ハロルドの鬣を触ってみない?」

 「良いんですか?」

 『どうぞ―』


 恐る恐ると言った感じで、ブレンダー先生がハロルドの鬣に手を置く。

 「わっ、ふわっふわ」

 「でしょ!」

 「皆さんその感触に感動されますよね」

 『なんでだろ』

 「そりゃあモフモフだからだよ。先生ちょっとハロルドに乗ってみない?」

 「で、では」

 一度羽をひっこめたハロルドが俺がやるようにちょいと前足を曲げる。今は鞍を付けてないからね。

 『ここを踏むと乗りやすいよ』

 「はい。よっと」

 ブレンダー先生が乗ってから羽を出すハロルド。

 「わわわ、私の足から羽が」

 「面白いよね。で、そのまま前に倒れてハロルドの鬣に顔を埋めてみて」

 と先生の背中を軽く押すのには届かないので俺が飛ぶ。

 「わーこれはたまりませんね」

 「でしょー」

 ウリサがラーズベルト辺境伯の所で初めてハロルドに乗った時もこういう風に感動してて、それまでクールな兄ちゃんだと思ってたけど、男の子丸出しで無邪気でちょっと可愛かったもんな。


 “ぶれんだー、おうじ、つぎのせいとがこうぎしつをでたよ”

 “こっちに来る”

 「わかった」


 ガチャリ


 ハロルドを仕舞ったとたん次の生徒が入ってきた。


 「お名残り惜しいですけれど、大変良い経験をさせていただきました。もちろん〈S〉ですよ」


 それでも、ブレンダー先生は俺との会話を続けている。


 「ありがとうございます」


 “そりゃあね、せいれいおうじが、いまはあたしたちのとっぷなのよ”

 “シュバイツ殿下の存在が精霊のトップなんですね”

 ブレンダー先生から念話が飛んできた。

 “トップと言われても何もしてないですよ”

 “これから逆に教わることがあるかもしれませんね”

 「お手柔らかにお願いします」

 「ありがとうございました!」

 「「失礼しました!!」」


 講義室エリアを出ながら、クリスが話してくる。

 「S判定貰いましたけど、もともとの一次元とかから四次元が分かりません」

 ちなみに判定はSABCDの五段階。Dは再提出か不合格だ。

 「そう?」

 「シュンスケさんは分かってるみたいですね」

 「まあな。あれはすでにこの目の前にあるものを、わざわざ難しくしてる感じがするよ」

 「えー。もう少しわかりやすく教えてください」

 「わかった。任せろ」


 なにしろ、スマホの向こうには沢山の分かりやすい説明が出てくるだろうからね。図解を見せたら一発だよきっと。


 「そう言えば」

 「なんですか?」

 「アナザーワールドの次元の種類を聞きそびれたな」

 「そんなの試験に出ないですよね」

 「出ないだろうけど知りたいかなって」

 「シュンスケさんのスキルですもんね」

 「うん」

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お星さまありがとうございます。

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