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23【新入生になったーら、友達沢山出来るかな♪】

 入学式は階段教室の付近にある、大講堂ってところで行われる。

 初めは普通学部スタートなので、全部の入学生でランダムに番号を割り振られて座る。

 俺は、六歳になったところだが、皆さんはほとんど十歳です。日本でいうと小学校の一年生と四年生?結構な差がありますね。身長的に。女子も含めて一番ちび。トホホ。それに、年齢制限がないので、もっと大きな方もいらっしゃいます。


 俺は、端っこの一番前の列にされています。ええ、後ろになっちゃったら見えないだろうというご配慮でしょうが、大講堂の前には日本の学校の体育館でもあるステージがありまして、前の人は関係ないのです。

 該当番号の席について、入学式のスタートを待つ。今年の新入生には、皇帝の第三皇子もいらっしゃるそうです。平民学生が雲の上の方と机を並べるなんて、想像つかないですよね。


 ゴンッ

 いきなり後頭部に衝撃が来て、体が椅子から前のほうに吹っ飛んで行った。

「な、なに?」

「悪い悪い、手が当たっちゃった。人が座ってるなんて、見えなかったから」

 そう言って、一人の男の子が前に回って手を差し伸べてきた。


 謝ってくれるならいいんだけど、ほかの人なら怪我するんですよ?

 さっそく、ちびっ子いじめか?かかってきてもいいぞ!こう見えても、ポリゴンでゲール師匠から投げられたり吹っ飛ばされる訓練も受けているんだ。負けないぜ。

 と心の中で猫が毛を逆立てた感じ?でいろいろ言いながら、伸びてきた彼の手を取ると一度立たされる。


 頭一個以上背が高い!彼の後ろにはさらにもう少し背の高い男の子が二人!三人も大きい子が前に立たないでくれない?と思ったらすぐに、前の男の子はしゃがんで、俺のローブの裾を掃ってくれながら、

「怪我してない?小さいからさっきので結構飛んで行ったから」

 小さい小さいって。確かに小さいですけど。

「大丈夫です。一応鍛えているので」

「鍛えている?もしかしてその体格で騎士学部?」立ち上がりながら聞かれる。

 んーこれは絡まれてる?ボケていらっしゃる? どっちなんでしょう。

「いえ、違います、っ」

 改めて男の子の顔を見てびっくり!めっちゃ美少年でいらっしゃる。

 精悍な褐色の肌に青い瞳、そして、オレンジがかった赤い髪はすこしウェーブがかかってる。赤い髪は東京でもカラーリングした人がいたけど、天然の方は、眉もそしてまつ毛も赤い人は初めて見た!それが顔立ち全体に調和していて、

 思わず「美しい」って言ってしまった。

 周りでくすくす笑っている。

 ご本人も笑顔で、

「私は、セイラード フォン ガスマニア。君の名は?」

 ガスマニア? この国の名前の人じゃん。この美少年が第三皇子殿下。

 よかったー。先に話しかけなくて。でもいきなり雲の上の方と遭遇です。

「俺は 田中駿介です。駿介のほうが名前です。」ステータスもオープンになってる方の名前はこちら。

「シュンスケ?は外国の人?」

「はい。外国出身です」

「どちらの国?」

「日本といいます。」

「ニッポン?聞いたことあるか?」

 と、後ろの二人に聞く。

「いえ、地図では見たことないです」

 ここには全世界地図はまだ存在していないらしいので。俺も広範囲の外国が載ってる地図は見たことないけど。

「遠い遠い国なんです」

「そうか、遠い国ならこの国の知らないこともあるだろう。逆に私の知らないことも教えてくれないか。シュンスケ、よろしくね」

 いい人だ。最初はちびっ子いじめが始まるとか思って身構えそうになったけど。

「はい殿下。こちらこそよろしくお願いします」

 改めて手を取り合って握手。

「ほんと小さい」そう言って俺の頭を撫でる。え?同級生になるんですよね。

 なんだろう、この方、悪意はなさそうだけど、天然?大丈夫?

 思わず殿下の後ろの二人に助けを求めてみる。平民なんです。勘弁して。

 わずかに頷いた二人が殿下に声をかける。

「殿下、席に着きましょう」

 って言ってくれたのに、

「ああ、っと、すまない君たち、席を譲ってくれないか?」

 殿下はそう言って俺の隣に座っていた人に声をかけて移動を促し、なんと俺の隣に着席したのだ。勘弁して(二度目)。

 殿下の後ろに立ってた二人も周りの人を移動させて、殿下の隣と後ろに座る。

 だが、セイラード殿下は座ったと思ったら、新入生代表の挨拶のため舞台袖に行ってしまった。

 思わず護衛だろう二人に

「あの」

「シュンスケといったか、殿下は純粋な方なんだ、面白いおもちゃ うぐっ」

 後ろからもう一人の人が口をふさぐ。

「すまんな、こいつも悪気はないんだ。」

「はい。お二方も仲良くしてください。」

「「もちろんだ。」」


 さっそく雲の上の方と接触してしまったが、護衛さんたちが穏やかでよかった。


 名誉学長(は先代皇帝の弟の公爵位の方だそうだ)や天然皇子の意外(我ながら失礼)にも立派なスピーチはともかく、異世界でも長くてつらい来賓のお話を聞いて、無事に入学式が終了した。


 このまま、普通学部の教室にみんなで移動。

 〈Sクラス〉ここですね。

 五学部のそれぞれSクラスは十人ずつしかない。全体では五十人もいることになるので、

 結構広い教室を使う。この五十人は皆成績優秀ってことだ。帝国ってすごいな。


 で、ここは階段になってないので、自分で進んで一番前の席に座る。で、なぜか殿下が隣に

 その隣と後ろに護衛さんがさっきの大講堂と同じ布陣で座る。

 ねえ、殿下、間にあの可愛い女の子とか、挟みませんか?

 殿下狙いの女の子かな?おれ、大講堂からずっと睨まれてるし。


「シュンスケ、君もSクラスなんだね」

「はい、セイラード殿下。改めてよろしくお願いします」


 帝国国立学園の一年生の全員が学ぶ普通科のカリキュラムは、読み書きは漢字で言うと、常用漢字を全部、算数は割り算、帝国の地理と歴史。そして、体術と一通りの武器、そして乗馬、ま、体育っぽいやつだな。理科っぽいのが見当たらない。

 確かに平民の独学では無理なものがあるな。日本で成人するまで教育を受けたからとタカをくくってたらやばいかもしれない。

 そうして、気合を入れて勉強を始めようとしたのだが。

 なんか、殿下にロックオンされているのだ。

「シュンスケ、私は随分先まで予習を修めているので、何でも聞いてくれたまえ」

「はあ」

「「こそっ、シュンスケ殿、付き合ってあげてください」」

 護衛さんにも頼まれる。


 で、それぞれの専門学科はまずは必修クラブみたいな感じで始まる。

 魔法学部の一つの科目が、とうとう今日一コマある。

 どれどれ時間割では〈魔術基本〉うわ、堅そう。


 ユニバーシティみたいな学園の魔法学部エリアは、学園の西側に広がる森に沿うようにある。なんでも、自然の魔素が取り込みやすいそうで。

 初めて入った魔法学部の教室は、真ん中に丸い絨毯を敷いた空間があって、その周りの半分に黒板と教卓があり、反対側に机と椅子が並べられている。

「シュンスケも魔法学部だったんだ」

「奇遇ですね」

 ここには、護衛の人はいないのだ。彼らは〈騎士学部〉だから、別の訓練場らしい。

 それは不安だ。


 一面複雑そうな刺繍の施されたローブをきたお爺ちゃんが入ってきた。フードを被り、大きな石が嵌った杖を持っている。魔法の杖というより、歩行の補助にも使っているようなぐらいのお爺ちゃん先生だ。

「魔法学部にようこそ。私はブラズィード フォン ルマニア、教授である。私の持っている伝統を伝え、これから君たちの大いなる可能性を見出していこう。さてさて、ん?きみは?ちょっとこちらに。名前は?」

「はい?俺ですか?シュンスケです」

 いきなりご指名だ。最初は殿下にしてくれよ。


「このカーペットの真ん中に座るように。こっち向きに胡坐をかいて、そうだ」

 このカーペットはどこかで見たと思ったら、ポリゴンのギルマスで初めにスキル鑑定された時に手を乗せた魔道具の模様に似ている。


 座るとカーペットの模様が光る。魔法陣ってやつか。

 ホットカーペットみたい。体がぽかぽかと温かいというかまだ九月だから熱い。

「おおっ、シュンスケの体が光っている」

 殿下のつぶやきが聞こえる。

「これは魔力循環を促すカーペットです。ここに座れば、魔力が潜在しているものは誰でも魔力を感じることができるのです」

 なるほど、このぽかぽか温かいというか熱いのが魔力ね。

 俺は今、教壇に向かって座っていて、生徒たちには背を向けている。

 教授は俺に近寄って、首筋を触る。

「これ、外せない?」

 いきなりこそっとした声で、姿を変えている石を摘まれる。

 思わず、教授を見上げ、フルフルと首を横に振る。

「だめです」

「ではこうしよう」

 ローブのフードをかぶせてくる。

「誰にも言わないから。ね」

「・・・約束ですよ」

 こそこそと謎のやり取りの背後でクラスメイトの視線を感じる。

 教授は数歩下がってカーペットから出る。

「では」

 教授がパチンと指を鳴らすと、その手の中に俺の身分証と黒い勾玉の付いたひもがぶら下がる。

「この身分証はそうかドミニク卿が作ったんだな。なるほど」

 ジワリと体の内側が熱いというか、何か次元の違うエネルギーが渦巻くのを感じる。

 時々首のひもを外していることはあるが、こんな感覚はない。

 ああ、カーペットの表面で風が渦巻いている。

 色々な状況に戸惑う俺と、冷静に周りの状況を観察している俺がいる。

 また周りが光る。ああ、この世界に召喚されたときのような眩しさだ。俺は地球に帰れるのじゃないのか?

 なんて思考の中に嵌っていたら、

「なんと、あなた様は」

 ふわっとかぶせられたローブの中で耳がとがっていくのを感じている。耳の先がローブに擦れて少し押しているのだ。そうして目を開ける。

 目の前には、俺の前で跪き、手を合わせている教授がいた。

「あ、あの、教授」

「ああ、なんという事だ。私が悪かった。これを」

 また、パチンと音がすると教授の手元にあった紐が消え、俺の周りの強い光が収まる。

 ああ、まだ俺は日本に帰れないのだな。

「後で、私の部屋におひとりでおいで下さい」

「わかりました」


 今の一瞬の出来事で気分的に疲れてしまった。

 よろよろと席に戻ると

「シュンスケ、どうだったんだ?」

「なんか、びっくりしました。一気に魔力がぐるぐるして」

「すごく光ってたな。ちょっと神々しい感じだたぞ。」

 またまたー殿下ってば。何をおっしゃるやら。

 ランダムにつぎつぎとカーペットの上に生徒が座っていく。

 生徒が座るたびにカーペットの模様が光る。


「ん?シュンスケ、皆の様子を見てる?」

「はい、皆さんさすがです。色んな色があるんですね。すごくきれいです。」

「そうだけど、皆はカーペットしか光ってない、君はね、体も光ってたんだよ」

「?周りが眩しいとは思いましたけど、自分が光ってるなんて、見えてませんもん」

「そうか」

「ほら最後は殿下ですよ」

「俺も光るかな、シュンスケのかっこよかったから」

 そう言って最後に殿下がカーペットに座る。


 すると、背中を向けて座った殿下の腰や背中、肩のあたりがほうっと光る。ほかの生徒より全体に明るい。色も沢山あってきれいだ。

「殿下も、なかなかの魔力をお持ちですな。さすがです」

 教授が語る。

「でも、シュンスケほどではないですよ。彼はなぜあれほど美しく光ったのでしょう」

「なぜかは、まず、シュンスケ自身が理解して、彼の了解を得ることが出来たら教えてくれるでしょう」

「わかりました。彼の親友になることが出来たら、彼の信頼を得ることが出来たらいいですね」

「はい。他人の心をつかむこと、これは殿下のためには必要なことです」

「ありがとうございます。頑張ります」


 何のことかはわからないけれど、殿下が頑張り屋さんということはわかった。

 身分の隔たりは結構ありそうだけど、仲良くなれたらいいな。


殿下 「護衛以外の友達が出来そうで嬉しい!」

護衛二人 「「殿下が機嫌よくて助かります」」

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護衛のセリフをみるに殿下は面倒臭い子?(ㆁωㆁ*)
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