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異世界転移したら尖った耳が生えたので、ちびっこライフを頑張ります。  作者: 前野羊子
第四章 ~王子の旅・天空路~

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200【五芒星というよりモミジ】

やった!本編200話!

これも皆さんのグッドマークのお蔭で頑張れました!

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 『初めまして、おはよう!ギルドのみんな、それにラシアン。ボクはハロルド。王子のお馬さんなんだ』

 自分であいさつできてえらいぞ! 


 「まあ、綺麗な白馬」

 「なんて可愛いの?」

 「鬣がふわふわ」


 朝、俺がギルマスのラシアンに馬を紹介するよと、冒険者ギルドの玄関前に出た。

 ここには、乗合馬車の乗り場なんかもある。

 行先は世界樹のちょっと手前か、もっと東の海のほうへの長距離とある。


 若返ったラシアンは、今日も若々しいままでよかったね。

 ほら、出勤してきた早番のお姉さんがびっくりしてるぜ。

 それ以上に女性冒険者達はかわいいハロルドに夢中だが。

 

 「は、初めましてハロルド・・・様?まさか」

 装着したままでも平気と言ってたけど、休ませる時は勿論、頭酪や手綱、鞍を外していた。

 「ハロルド様これでいいか?」

 『うん!だいじょぶ。ありがとウリサ』

 

 真っ白な馬状態のハロルドを見たラシアンは

 「ハロルド様ってもしかして・・・でも大丈夫なのか?清浄な所じゃないと生きていけないって聞いたぜ?」

 『そうだね、ボク汚いところ好きくない』

 「誰だってそうさ」

 ウリサはそのままハロルドの鬣をモフモフしている。

 『でも王子の近くは良い匂いで好き』

 俺の魔力ってそんなに匂う?

 良いにおいでも無意識にまき散らしているのはちょっとヤダ。


 「んじゃいくか」

 ウリサがひらりとハロルドに乗り、出された手をつかんで俺も前に乗る。

 「出発」

 『行くよー前どいてね』

 『わわわ』

 パカッパカッパカッ

 『ごめんねー』

 朝一番便の馬車の馬の横を駆け出す。そして羽と角を同時に出して空へ。


 街道沿いにいくと、確かに黒っぽい何かが他の行き来している奴を襲っている。

 「ウリサ、あれは悪魔に操られているゴブリンだ」

 「操られている?」

 「ああほら、首に何か巻かれているだろ?」

 「たしかに」

 「俺の抱えているゴブリンもあんな感じで、さらに病瘡妖精種ってもんをぶっ掛けられていたんだ」

 「そりゃ大変だな。じゃああいつ等シュンスケに恩を感じてるんじゃねえか」

 「そうなんだよ、離れてくれなくてさ」

 「そりゃそうだろ、お前に保護されている方が安心だからな」

 「とりあえずそこのゴブリン達も解除と浄化しながら行くか。浄化した後メッセージを頼めるか?みんな」

 “だいじょぶ、ごぶりんは、おはなししやすいまもの”

 “ひとにもつたえるわ”

 “たのむ”


 携帯を取り出して〈杖〉アプリを起動。マルチタスクで、ゴブリンとその黒い首輪を指定・・・五百メートル四方は指定できそう。


 ≪ディスペル≫

 それでもって浄化魔法をゴブリンを中心に人まで振りかける。


 “あやつられたのかいじょできたでしょ!”

 『ハイ』『ナニが、オきたのでしょう』


 “そこのねこじんぞくも、ごぶりんをやらないで”

 「え?なに?あ、あなたはようせい?」

 “あたしたちはせいれい”

 “せいれいのおうじが、たすけにきたよ”

 「え?え?あ、怪我が痛くないわ」

 「ありがたい」


 『ゴメンなさい、あやつられていたとはいえ』

 「怪我が治ったからもういいわ」

 『本当にごめんなさい』

 「いいよいいよ、ほら、仲直りにこれをあげる」

 そう言って猫人族の兄さんがゴブリンに何かを渡してる。

 “あのひと、けがさせられたごぶりんに、りんごをくばってる”

 “すごいじゃん”

 “操られていることがやばいんだな”

 “操ってるやつはいない?悪魔とか”

 “このちかくには、あくまはいなーい”

 “みかけたらきをつけながらおしえて!”

 “はーい!”


 そんな感じで地上は大変そうだけど、ちょっとずつ干渉しながら目的地を目指す。


 ベルアベル町に続いていた、ミルクブールバード河がほかの支流と合流する。そして水が流れだす。西へ続くミルクブールバード河でなくはなく、南東に向かう別の川に流れている。西への河へは何かでせき止められているのか・・・水が流れていない。だけど


 「あんな黒いなら、水はかえって流れてなくてよかったかもな」

 『ほんと、きちゃない川だね』

 「初めに見た三日月湖リンドラークの汚染された水のようだ」

 「そうなんだ。これじゃ川があっても水が使えないのでは」

 「そうだなウリサ。早く世界樹を助けなくちゃ」

 『ガオケレナ様ー今行くよー』

 ハロルドも張り切ってる。


 俺たちはラシアンに教わったように黒い川に沿って、山の東に回っていく。目的の町は、シュメル山脈群の地上八百メートルほどのところにある。三千メートル級の山頂がいくつか見えている。


 『見えてきた、あれがペルジャー王国の首都かな』


 「でもああ、教会が!」

 なにか大きな攻撃で設けたのか、教会の建物の三分の一が切り取られている。

 黒くて中の大聖堂の様子とかをうかがい知ることもできない。


 教会の隣にはお城が。この組み合わせはロードランダのようだ。その証拠に山の西のふもとにも湖があった。ただ、初めて見た三日月湖より真っ黒で、夜にみたシュバイツ湖とも違う。液体が入ってる感じはする。けど液体って屋外じゃ空を映すもんじゃん?そういうのがない。まるでブラックホールというか、マットな黒だ。


 まあ見覚えがあるからね。


 「ハロルド交代」

 『王子あの瘴気はやばいよ』

 「大丈夫だから。ウリサはマスクを。出来たらグラサンも」

 「おう」

 そう言ってハロルドから離れて、今度は俺が龍に代わってハロルドのちょっと下にくっつく。

 「よし」

 何度もこういう場面を経験したウリサがマスクを装着して、すぐに俺に飛び乗る。

 そして、ハロルドが俺の中に帰ってくる。


 思い付きだけど俺はこの湖を浄化することにした。初めてじゃないしね。


 でっかい龍の姿で全身から浄化魔法を発動して、眼下の湖に垂れ流す。

・・・うーん、いまいち効果的じゃないな。

 この湖は三日月湖と同じぐらい?形が違うから比べにくいな。鈍角の五芒星というか紅葉というかそういう形なんだ。

 山から流れてくる細い川があってそこから歪んだ五芒星型に広がっている。

 

 今度は俺はサードボックスから水を雲にして取り出す。そこに魔力を込めていく。

 雲のほうが大きく広く覆えるしね。


 サアアァァァ


 「すげ、光る雨だ」

 『我ながら結構きれいかもしれない』


 キラキラした雨が降り出した。

 俺自身の魔法の垂れ流しも継続する。


 しかし、どんなに湖を浄化しても、この水は山から流れている。

 今、山の中心地は汚染されているからね。


 湖とお城や教会の間の山の裾野として広がるペルジャー王都の街を低空で飛行しながら、魔法を振り落とす。龍の姿の俺は半透明、ウリサは認識疎外のマントをかぶって。


 「すげえな、こんなに低空に龍が飛んでいるのに誰も気が付かない」

 『子供は気が付いているみたい』

 「でも怖がっていないな」

 『子供はわかってくれるのかな?』

 “あたしたちがいってるの!”

 黄色ちゃん

 “やさしいどらごんがたすけにきたよって”

 “そう、きらきらドラゴンがたすけにきたよって”

 白色君まで!

 「それはありがたいな」

 『うん』

 「みんないいこだ。後でおやつにしような」

 “わーいおやつぅ”

 “うりさだいすき!”

 『ふふふウリサもてもて』

 「ふっ」

 今イケメンに微笑んでいるんだろうな。見えないのが残念だ。


 王都の冒険者ギルドを見つけて、隣接している馬用の牧場に降り立ち、ウリサを降ろす。

 『わわっびっくりした!』『あなたはだれ?』

 そして、俺は人間族に戻りながらウリサとともに姿を現す。

 『だれ?』

 『すごく大きいと思ったんだけど』

 『人間になっちゃった』

 『おはよう!俺は駿介』

 まだ午前中だし。

 『おはよう、しゅんすけ?』


 見つかってしまった二頭の馬の頬や首を少し撫でながら浄化を。

 『きもちいー』

 『息苦しいのが治る』

 『お前ら、病気か?』

 別に鑑定には引っ掛からないけど、

 『わかんないけど、走れなくなっちゃって置いていかれたの』

 『そうか』

 『ありがと』

 あ、腕をハムハムしてきた。

 「あーあ」

 伯父さんの服の袖がびちゃびちゃになっちゃった。


 「ははは、相変わらず馬と仲がいいな」

 見上げるとウリサも馬を撫でていた。

 「ウリサだって」

 

 「じゃあ、行くか」

 「うん」


 〈ペルジャー王都 冒険者ギルド〉

 冒険者ギルドに入ると、騒然としていた。


 わいわいがやがや、うぉーっどうなってるんだ!


 「うるさっ」


 まだ、昼前の一番人が少ない時間のはずなのに。

 

 「おい、湖の水の色が変わったのはなぜだ!」

 「魚が泳いでいると報告があったぞ」


 「さっき降った雨で、怪我が治ったんだ」

 「あん?何寝ぼけたことを言ってるんだ、雨でけがなんか治るわけないだろ。・・・って治ってるな昨日の怪我」

 「だろ?」


 「お前のやらかしのせいだな」

 「やらかしって!ひどい!とにかく受付だよ」


 「すみませーん、ベルアベル町ギルドからの荷物を持ってきました!」

 「はい受け付けます。何を持ってこられました?」

 「Aランクのリストの一通りです、どこに下ろしましょうか」

 「Aの一通り?

 で、ではこちらにってお荷物はどこに持ってますか?」

 「こいつのアイテムボックスに」

 「それは、素晴らしいスキルをお持ちですね。ではこちらに」

 フロアで立っていたスタッフの一人が俺達を案内してくれる。

 「え?バス様が行かれるんですか?」

 「みんな忙しいからボクがつれていくよ」

 「ありがとうございます」


 バスと呼ばれていた女性にベルアベル町のギルドと同じような倉庫に連れていかれる。だがこちらはほとんど空っぽだ。


 「んじゃ出しますね」

 「お願いします。ってえ?こんなにたくさん?」

 「まだ一つ目ですよ?一通りって言いましたよ」


 「うわ」

 倉庫には整理するスタッフもいた。女性だ。

 「まあ」

 「すてき!」


 「おお、倉庫がこんなに豊かになるとは・・・。

 ボクは、バス。このギルドのギルマスをしているよ」


 バスはボクっ子だね。黒髪で白いお肌の猫人族の女性。後姿が東京で友人が飼ってた黒猫に似ているかも。ボクっ子だけどお上品さが隠せていない。ロムドム団のカランさんとは全然違う。

 ケット・シーのパリに近いんじゃない?ってあ、ファミリーネームがペルジャーだ。バステト フォン ペルジャー。王族かな?じゃあちょっとケット・シー入ってるかもしれないね。


 「これはバステト様。お初にお目にかかります。俺は駿介と申します」

 跪いて右手を取ってキスを。

 「え?ボクが王女ってわかったの?」

 「ええ」

 ウリサは俺の後ろに立って護衛ポジ。この人が王女だって念話で言ったけどね。 


 「ラシアンからすごい奴がくるって連絡があって、楽しみにしていたんだが、その前に目の前の湖が大変なことになって」


 ・・・すみません、それも俺のせいですね。


 「あの真っ黒な湖は何だったんですか?」

 「瘴気だまりになっていたんだ。ちょっとした浄化ぐらいでは、飲み水や生活用水に使えなくなっていて、それどころか病原菌のようなものが揮発していたのだ。浄化に取り込むための取水作業をしただけで体調を崩して寝込むんだ。

 しばらく近寄らぬよう、国からも通達を出していたのだが、さっきのおかしな雨で色が変わって、魚まで泳いで」


 「だけどまだ、山からの川をせき止めていないから、飲んじゃ駄目ですよ」

 「わかってる」

 「今日持ってきた水で足りなければ、俺が用意するから」

 「ありがとう」


 倉庫を離れ、歩きながらバスと話す。


 「俺たちは砂漠の向こうから来たんだ」

 「だからこちらの争いごとの内容が分かっていない。だから教えてくれると嬉しいな」

 「うっ、その上目遣いはやばい・・・だけど戦争の情報は国にとっては・・・」

 「でも相手は人じゃないんでしょ?

 それに俺は個人的にケティー公を助けに行きたいんだ」

 「そう、じゃあ、こちらに・・・王城が今機能していないから、父たちはこの裏の貴族の屋敷を借りて執務をしているの」

 「俺達を、ペルジャー王に紹介してくれるのか?」

 「ええ」

 「戦争中だぜ、外の信用していいのか?」

 「信用できないのは人じゃないものよ」

 「悪魔とか」

 「そう!あいつらは許せない」

 「その気持ちはわかる」

 無差別に地竜を大量に殺って食ったとか、ゴブリンや子供達で病気を広げようとしたりとか。

 「それに、ボクたちはもう藁にもすがる気持ちなの。あいつ等との争いは、何世代も昔からあって、ここ数年は民の生活がさらに脅かされていて」

 「そうか。じゃあ、王様に会う前に着替えても良いかな」

 俺たちは今はキャッツアイズの襤褸は着てないけど、砂漠から飛んできた砂だらけの格好のままだ。伯父さんからもらった格好良い装備だけどね。


 「じゃあ、冒険者の宿舎の部屋をとる?」

 バスはウリサにも聞く。

 「そうだな、何泊かするだろう」

 「うん」

 「じゃ、鍵をとってくる」


 ぴゃっと駆けていく黒猫。

 「猫人族にも色々いるねぇ」

 「そうだな」


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