19【初めてのお屋敷生活】
【改訂!】ビーチのお家の間取りを変えました~広くなって収納アップ!
ピンク色の水回りは【女子エリア】
帝都のドミニク卿の海のお屋敷には使われていない離れがあって、俺とウリアゴはここに住んでもよいと言われている。離れだけでも三階建6SLLDKKの豪邸だ。国外から来たお貴族様に貸したりするらしい。
さっそくお屋敷ツアー。
一階は隣の本館と同じように、ロビーがあって、隣に応接室。その奥にお茶を準備するためだけの簡易キッチンと使用人用の控室。
ロビーを挟んで、応接室の反対側にクロークとお手洗い。
ロビーの真ん中には湾曲した階段!フカフカの絨毯敷きでございます。ビーチ帰りにはよくよく砂を落として入るべきでは?って考えていたら、使用人用の控室のところに裏口があって、そこで足や靴を洗えるらしい。で、控室から直接二階の厨房に上がる階段もあるそうで。うんうん。裏口で十分だよね。
そのフカフカをのぼると暖炉の立派な居間。夏は暖炉関係ないと思ったら、ビーチで濡れて冷えたり、雹を伴った雨なんかが降って突然必要になるときもあるそうな。
そして、大きなテーブルの大食堂。テーブルに花瓶が三つも並んでおります。
大食堂の隣には素晴らしい厨房も。あ、オーブンがある、薪の。ピザ食べたい!
さらに、ビーチ側には、海に面した大きなバルコニーとオーシャンビューな窓のお風呂!
ビーチ側から階段があって、直接お風呂場にアプローチできるそうです。
あ、二階には普通の寝室があります。ここは今回、侍女のミアさんがご使用。
二階のバルコニーは本館にもつながっているんだ。だから玄関に回らなくてもどちらにも行ける。便利。
三階には五つの寝室とか客室。それぞれにもバスルーム的な水回りがあります。このフロアにも、オーシャンビューな二階より小ぶりな浴室がひとつ。でも、日本人からしたらそっちも大浴場。リゾートホテルにあるような浴室だ。シャワーじゃないんだよ。お風呂だよ!
アリサは三階のお風呂を使うんだって。
四人でぞろぞろ案内してもらっていたら、セバスチャンが三階の寝室の一つに案内してくれて
「こちらを坊ちゃまがお使いください」
「坊ちゃま?」
「お前のことだ」
ウリサに言われる。
「俺はただの平民だけど」
「あきらめてセバスチャンに付き合ってやれ。
最近辺境伯家のみんなは大人になって、面倒見る人がいないから、世話焼きたいんだよ」
「えー」
俺用にと用意された部屋は海の見えるバルコニーのついた大きな窓があって、その部屋専用の洗面とトイレ付き。
部屋にはライティングテーブル、本の詰まった本棚、ソファセット、クローゼット、そして暖炉と、ベッドは天蓋付きって、写真やテレビでしか見たことないっす。でも勇気を絞って、ここは子供っぽく
「わーい大きなベッドだー」って靴を飛ばしてダイビング!ふかふかでいいですな。
んで、ゴロゴロクイーンサイズのベッドで体を動かして気が付いた。
この部屋で、確かに天蓋がないと広すぎて落ち着いて寝られないのはわかる。と納得。
セバスチャンは続ける。
「このベッドのカーテンは二重になっておりましてね、今の季節は蚊がおりますので、お休みの際には、この薄手のほうをお使いください」
なるほど!蚊帳だったのね!
「わかりました!」確かにこの夏は蚊によく刺されていた!子供だから?でも、もう大丈夫なんだけどな、馬車旅の出発時から虫よけ対策グッズもばっちり用意済み。
初日だからと、ドミニク卿との晩餐の後のお茶の席で、
「正直な話、離れとは言えこんな大きな家に住むなんて、俺たちはそこら辺の賃貸でいいですけど」ってウリサのセリフに一緒になってうんうんうなづいていた。
そうしたら、
「貴族の子弟が通う学校に、しけた賃貸から通わせるなんてできるわけないだろう。本当の苦学生は帝国が運営している学生寮に住んで、そこからバイトに通うのだがな」
えー。学生寮住まいも体験したかったな。なんて思っていたら、
「帝国はけち臭いからな、貧乏学生なんかに必要以上に予算を出さない。雨漏れが多くてカビだらけの建物を、いつまでたっても改修しないんだ。
平民から、能力のありそうなやつをこうやって囲って自分の家から通わせているほうが、のちに結局我々貴族の役に立つって分かっているものもいるしな」ってパチンとウインクしてくる。
「ひっ」ドミニク卿のウインクが怖い。
「っていうことで、シュンスケは老眼で仕事ができなくなった、セバスチャンの執務を少し手伝ってやってくれないか。もちろん学業のほう優先でやればいいからな」
執事さんの補佐。それが家賃なのね!責任重大だな。
「はい!わかりました!」
ちなみに、その晩餐のために本館に呼ばれた俺達。離れが広すぎるって文句言ってすみません。
本館は、まるでホテルのように部屋数が多ございました。
それを、普段セバスチャンだけで管理しているの?大変すぎる。
なんて、老執事をいたわっていると、
「坊ちゃまはお優しいですね、普通貴族は掃除などの実際の労力をご存じないですからね。とはいえ掃除は定期的ですが業者に頼んでおりますけどね。」
「俺、廊下の雑巾がけやりますよ!」
「そ、そんなこと、坊ちゃまにさせるわけにはいきません」
でもなーこれはいい案件でもあるのだ。
「雑巾がけってトレーニングにはもってこいなんですよ。足腰鍛えるのに。
そうだなじゃあ、週一でちょっとずつやらせてね。絶対に俺だと分からない格好で、お掃除屋さんって格好でやるから!」
「坊ちゃんがされるなら、俺もやりますよ!」
「ウリサ兄さん」付き合い良くてありがたい。
「雑巾がけでトレーニングになるのか俺もやってみたいしな。お前がよく使う一石二鳥ってのは俺も好きだし」
「はい!あたしは、メイドさんごっこやりたい」
「アリサねえちゃんの、メイドエプロン姿みたいな―」
ゴダはもう自分に充てられた部屋に戻っていた。マイペースなやつだ。
「仕方ありませんね。侍従や侍女の服は予備が十分にありますので、ご用意しましょう」
「やった!」
「坊ちゃんサイズのはないぜ」
分館に帰りながらワイワイ話す。
分館の寝室はさっき晩餐までの時間がなくて自分用の部屋しか見てなかった。
「ねえ、アリサねえちゃんのお部屋見に行ってもいい?」
「いいわよ、こっちよ」
北西向きの角部屋。むう六帖ぐらいしかないじゃん。
ウリサ兄さんの部屋にも突撃!
え?こっちも六帖ぐらい。ゴダのも?
「なんで、俺の部屋だけあんなに広いの?やだ」
「ふっ、部屋が広すぎて文句言うなんて、すごい贅沢な悩みだな」
ウリサ兄さんがあきれたように言うけど、だって、落ち着かないんだもん。
子供っぽく駄々をこねたりして。
「一人で寝るのさみしいの?」
アリサねえちゃんが頭を撫でてくる。
「きょう、あたしが一緒に寝ようか?」
おおう。そのほうが落ち着いて寝れません!
「大丈夫です。一人で寝れます。わがまま言ってすみません」
その夜、生まれて初めての天蓋付きベッドで寝ようとした俺、
蚊帳代わりのカーテンを引いたら、全然風なんか入らなくて、暑いことが分かりました。すぐに元に戻して束ねる。
ポーチから蚊取り線香を出してライター(これが子供の力ではめっちゃスイッチが固い)で点火して燻らす。
海風良いじゃん。波の音もかすかに聞こえる。
小学校の臨海学校で行った浜辺の民宿での香り。
スマホから小さい音で緩やかなポップスをかける。
長距離の馬車旅と帝都について早々、いろいろあってさすがに疲れたのか、いつの間にかぐっすり眠っていた。
アリサ「なんで、急に〈ドミニク卿〉って言い出したの?ギルマスでいいじゃん」
ウリサ「そういえば何故だ?」
俺「だって、帝都のギルマスさんは別の人だし、ドミニクは貴族さんですって示しているほうが都合良いって言うか」
ゴダ「なるほど!俺もここのギルドによく行くからそうする!」
俺「ここのギルマスさんって、なんという名前なんですか?」
ゴダ「知らん」
アリサ「普通知らなくても冒険者出来るもんね」
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