179.5 挿話15【長男の旅立ち】
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200ep!ぱちぱちぱち。
記念すべきこの1本はウリサ兄ちゃんのお話です!
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シュンスケがマツと旅立った。
それは俺たちこのポリゴンでシュンスケを拾って、まだ丸二年も経ってなかった。
薄っすら輝く真っ白な馬、いや高位精霊で本来はペガコーンのハロルド様に小さな二人が乗って。これから果てしなく遠いガスマニアのさらに東の方に向かって行くらしい。
「行ってきまーす」
「いってきまーしゅ」
不安だ。とは言え俺が同行できる事はできない。俺自身のランクは低い。まだCランクだ。
シュンスケは見た目も綺麗だったが、内面も凄い奴。
初めはアリサを姉と呼び、俺を兄と呼んでくれた。ただ、なぜか従弟で成人になりたての十五歳のゴダだけは、ため口だったのが不思議だった。
シュンスケは外国で生まれ育ったと言っていた。チラリと目に入ったステータスでは、たしかにあの世界樹のある国の名前が入っていた。そのうち王族として俺達から離れて行ってしまうかもしれない。
シュンスケは自分から進んで、ゴダの通っている文盲冒険者のための勉強会に参加したと思ったら僅か四ヶ月で、ガスマニア帝国の国立学園のSクラスに入学してしまった。
そして、あいつが入学して数日が経った時、あいつの周りに小さな光が沢山飛び交っていたのを見た。多すぎじゃない?
あいつを拾った時にも黄色い光がちらちら飛んでいるのは見たのだが、あんなにも色とりどりの光があるなんて知らなかった。あれは昔、母が絵本で読んでくれていた物語に出てきていた精霊の光だ。
それまでは、鏡やガラスの反射のようなまぐれの光は見ていたが、明らかに色々な色の存在が羽虫や小鳥の様に飛んでいたのだ。
そんなあいつを学園へ迎えに行こうとギルドの依頼完了の手続きを済ませて馬に乗ろうとした時だった、俺の前髪に風が振れたと思うと、
“おうじがちょっとおくれるって”
孤児院にいるガキのような、幼い子供の声が聞こえた。そして風魔法の色でもある黄色い光がふわりと浮かぶ。
「わかった、知らせてくれてサンキュ」
すると、俺の言葉に答えるように二度ほど点滅をして飛んで行ってしまった。
またある時、あいつが冒険者の仮免を貰って初めての魔獣討伐に連れて行ったら、どんどん距離を離して前に行ってしまって、でもその時にはもうシュンスケが俺より強いって分かってたから心配はしてないけど、なにせ初めてだからな、少し焦ってた。でも遠くに離れていたくせに耳元に声が聞こえてきた。
「ウリサ兄さん、フォレストボアが北西えっと俺から五百メートルだから六百メートル先に五頭来ます」
「よし」
これは風魔法の応用だな。器用なことだ。俺が使える風魔法なんて、なんの戦力にもならないぜ。風で物を切るとか、冒険者の先輩魔法使いに言われてもいまいちイメージできなかったからな。
あいつの後ろを追いかけていくと。
“うりさ、あとにひき”
「え?五頭って言ってなかった?」
“おうじがはりきってやっちゃった”
「さすがだな」
“ね。あ、いっとうくるよ”
「まかせろ」
討伐が終わった俺たちは、獲物を前にすこし休憩していた。見るとシュンスケが、携帯食代わりに持っていたビスケットを少し砕いて掌に乗せていた。鳥寄せみたいに。
あ、ビスケットが浮いていく。そうか俺もやってみたい。
齧っていたビスケットの端を少し砕いて掌におく。
「風の妖精だっけ、色々ありがとう」
すると、ふわりと小さな女の子が手のひらに乗ってきた。黄色い髪に黄色い目、黄色い簡単なワンピースを着た小鳥のような大きさだ。
“うりさ?これもらっていいの?”
「もちろん」
結構かわいいぜ。シュンスケがこいつらに夢中になるの分かる。
しかしすぐに風の妖精の姿を見れた感動を押し殺して、パーティーリーダーとして仕事に戻る。
その後も、俺はシュンスケが近くに居なくても精霊の姿が見えるようになっていた。色も初めは黄色い子しか見られなかったが、最終的には六色の精霊すべて見えるようになった。
しかも呼べば来てくれる。もう一種類シュンスケの近くにはいるんだけど、治療の得意なあの子はまだこの世界に本当に一人しかいないらしいから俺が呼ぶことはできないみたいだ。でも光属性の白い男の子の精霊が、
“きゅあほどじゃねえけど、おれもしけつとすりきずのちりょうはできるぜ”
いや、それだけでも十分有難い。
ある日、ドミニクの移動に付き合って俺一人単独で彼の馬車の馭者をしていた。馬車にはマルガン家の家令も一人乗っていた。今回はポリゴンに着いたらすぐに仕事だから移動中は休みたいそうだ。
ドミニク卿はもともと剣の腕もいいが魔法学部出身の魔法使いらしい。だから冒険者としてAクラスの実績を出して、今ではギルマスをやっているのだ。
馬を休憩させるために、とある町の公園で止まって、馬に飼葉をやっていた時に、ドミニク卿が自分の鞄からコップを出して水を飲んでいて。
「ウリサにも入れてやろうか?」って言ってくれて有難かったけど、
「俺も自分で出来ますよ」
「?ウリサは初級の風魔法しか使えなかったんじゃないのか?」
「それが最近いろいろ出来るようになって。シュンスケのお蔭なんすけどね」
そうしてドミニクの前で、
「青色ちゃん、手を洗わせて」
“わかったわ”
そして何もない空中から水が落ちてきたところに手を出して洗っていると、
「お前それ、精霊魔法だな」
「そうらしいですね」
濡れた手もあっという間に温風に包まれて乾く。近くには黄色い子と赤い子がゆっくり飛んでいた。
この子らはシュンスケに頼まれて俺の近くにいてくれると思ってたから、簡単な生活魔法しかお願いしていなかった。
俺とアリサはもうシュンスケが居なくてもギルドの宿舎のシャワーの湯が出せるのだ。
「お前、精霊魔法極めろよ。シュンスケのお蔭とは言え、このチャンスを生かせよ」
そうしてドミニクがまるで親父の様に嬉しそうに言ってくれる。
「どうやって習得すればいいでしょうか・・・」
「わからん。学園の教授ぐらいか・・・」
精霊魔法は魔法の中でもすごく珍しい分野だ。忙しいシュンスケに頼むのは難しいぜ。
“こうげきまほう?れんしゅうする?”
“おうじは、いめーじって言うぜ”
“たとえば、あたしのかぜで、ものをきるときは、ないふとか、はものをいめーじするのよ”
精霊たちとコミュニケーションをしていけば習得できる気になってきた。
「よし、色々教えてくれ」
“まかせてー”
“おれは、ひのこうげきだ”
“わたしはつちとかいしをぶつけるの”
“でも、なにもないところからたくさんだすのにはまりょくがいるわ”
「そうか、俺の魔力はそんなにないなあ」
“からだのなかで、まりょくじゅんかんのくんれんをするとふえるの。あとはむぞくせいの、ませきをもっておくとできるわ”
“ぞくせいのませきは、そのまほうしかつかえないから”
そっか、無属性の魔石なら、ギルドで交換してもらえるしな。今度は討伐したら魔石は〈売る〉ではなく〈交換〉で行くか。
ドミニクをポリゴンのギルドに届けた俺はその足でゲールのいる訓練場に行く。よかった、他には誰もいなくて。
「なんだ、ウリサ、訓練か?」
「ちょっと風魔法の練習を」
「へ?」
あっけにとられた顔をしているゲールを無視して、俺は転がってる角材の杭を訓練場の真ん中にぶっ差した。角材は一辺が十センチ四方ある太さで高さは二メートル。
人がいる時は心の中で精霊に頼む。シュンスケは〈念話〉って言ってた。
“じゃあいくぜ”
“うん、うりさのいめーじをあたしにちょうだい”
“よし!”
俺は以前いつも背負ってた大剣ではなく、アリサが差しているような刃の薄い剣の先が角材の上の方へ吹っ飛んでいくようなイメージを黄色い精霊に伝える。
バシュッ・・・ポスッ
角材の上から十センチぐらいがスパッと切られて落ちていった。
それをゲールが拾ってくる。あいつも前より動きが軽い。
「ほい、すごいな切り口も奇麗なもんだ」
「ほんとだ・・・な」
“へへーん”
「ほんとだって、今お前がしたんだろうが。
おもしれー。いつの間にそんなことが出来るようになったんだよ」
ゲールはドミニクと同じで俺がガキの頃からの付き合いだ。冒険者になる前の剣の稽古もこの人がつけてくれていた。
「ちょっとな」
「じゃあ次は速度と精度を上げる練習だな。待ってろ、まだ魔法を放つなよ。俺が剥げたら怒るぜ」
そう言ってゲールはクレヨンで残った杭に横線をいくつか描いていく。斜めの線もある。
「十本線を引いたぜ。上から五本は間隔を短くして連続で切って、下のご本は一度に切ってみろ」
「ゲール、ちょっと、いきなり難易度高くない?」
“だいじょうぶ!かんたんかんたん!”
可愛くも力強い言葉に思わず口角が上がる。
“よし、いくぜ”
「・・・完璧じゃねえか」
「そりゃあそうだろ」
得意げにゲールに言ってのけたが実のところ、めちゃくちゃ感動していた。
“かんぺきでしょ”
“ああ!すげぇ”
そしてびっくりするのは、以前練習したことがあるそよ風の魔法と違って、全然疲れないことだ。
思わず首からぶら下がってるタグをみてステータスを確認する。
“魔力減ってないけど”
“こんなくらいのことで、まりょくはひつようないわ”
“魔法なのに?”
“うん!きゃはは。びっくりしているウリサのかお!”
“つぎは、くみあわせよ”
黄色ちゃんの声に
“じゃあ、あたしでやろう”
青色ちゃんがとなりに来る。
「ゲール師匠、次に投げナイフの的ありますか?」
すると天井から木の板がぶら下がったロープが何本か訓練場の真ん中に引っ張られてきた。
「これでいいか」
「よし」
“うりさ、おうじがやってたほうほうがよさそうよ”
“まとをゆびさしてねらうの”
“なるほど”
ハリガネヒヒにやってたのを見たことある、たしかに。
「じゃあ行きますよ」
右腕を伸ばして人差し指も真っすぐ出す。腕には黄色い子と青い子が乗ってるのが見えるけど、重さや感触は無い。
手がぶれないように左手を右の肘のあたりに添える。
“いくぜ”
水を針のように鋭く出して風でサポートする。
バシュッ バシュッ
“おおっ出た”
“いっこはずれた”
“つぎはあたしが、ぜったいさぽーとする”
“もっとほそく、はりみたいないめーじがいいぜ”
隣で赤い奴もアドバイスしてくれる。
パシュパシュパシュパシュパシュ
「おおおっ」
すげー、シュンスケみたいだ!
火魔法もやってみたかったけど、お世話になった実家のようなここを燃やしたらいけないからな、今度依頼でフィールドにでも出た時にやってみよう。
精霊たちとやる攻撃魔法の手ごたえを感じながら少し興奮したまま、ギルドのレストランで遅いランチというか早い晩飯にする。
「あら、ウリサ今日は一人?」
スタッフのアザレがボア肉のシチューを持ってきてくれた。
パンも何個かついてる。
「ああ、ギルマスがこっちに来たのに護衛でな」
「ざんねん。シュンスケ君と一緒ならまた美味しいもの作ってくれるかと期待したのに」
「自分で作れよ」
仮にもレストランのスタッフなんだから。
パンの一つを細かくちぎって、シュンスケに貰っていた蜂蜜の瓶を開けて回しかける。
“わーおいしそ!”
“くいんびーのはちみつ”
ああ、この蜂蜜は旨いよな。疲れも取れる気がするしな。
女の子の精霊がパンに群がってる横で、おれはボア肉をあらびき肉位に細かく切っている。
“おまえらは、こっちだろ”
“うりさ、わかってるぅー”
楊枝の先で肉片を突き刺して、
“あーん、そーすうめぇ”
こっちの奴にも
“あーん”
もぐもぐ
白と赤の男の子の精霊はしょっぱいものも行ける。
こんなもので俺を助けてくれるなら、いつでも食わすぜ。なにしろ小さいからな、一口ずつで足りる。
「なあに、ウリサ、シュンスケみたいなことして。行儀悪い」
「いいじゃねえかアザレ。お行儀良く食う場所でもないだろ」
「そりゃそうだ、はい、エール」
アザレが持ってきたエールをティースプーンですくって、精霊たちにやる。
“ぷふぁー、えーるうめぇ” “うりさ、えーるおかわり”
こういう時はおっさんだな。
「いくらでも飲め」
“おうじはまだこどもちゃんだから、おさけをのまないの”
“本当は大人だって言ってたけどな”
“でもいまのからだがこどもだから、のまないんだって”
“おれは、のんだことがないってきいたぜ”
あいつに出会って一年以上過ぎたころ、
「変身魔法を習得したんだ」
って本来こういう姿だったという十八の姿を一度見た。
俺よりは数年若いというか年齢はアリサぐらいだそうだ、たしかにゴダよりは大人っぽかった。そりゃため口になるよな。
ある時俺に、ドミニクにも言ってないと言う身の上を教えてくれたことがあるんだ。
「俺、外国で生まれ育ったって言ってたじゃん」
「ああ、しかし、外国で文字まで違う国があるって知らなかったぜ」
あいつが以前の世界の学校の教科書だと見せてもらったきれいな本には、この世界と同じで二種類の仮名とあいつがアルファベットという文字、漢字、数字と記号の組み合わせは同じだが形が全然違っていた。でも、高度な教育を受けてきていたことは分る。そりゃあガキが集まる学園で一番ちびでもマウント取れるわけだ。
「うーんそうだね。
俺はこの、ゼポロ神様の世界でもないところから来たんだ」
「なに?別の世界?って?」
「あれとよく似た別の太陽の周りをまわってる、地球っていう星にある小さな国で生まれ育ったんだ。そこから、たぶん母さんの魔法?でこっちに落ちてきてね」
シュンスケの母親は風の女神のローダ様だと言われている。
神なら他の世界と行き来できるのか。そりゃそうかもしれないよな。すげえな。他の世界ってのもいまいちピンと来ねえけどな。
「あっちの世界には、色は色々あるけど、人は人間族しかいなくてさ、獣人とかエルフとか、ドワーフとかは空想の存在だったんだ。だから俺は十八歳前になる迄、こっちの人間族と同じように成長していたんだけど、ポリゴンに来た瞬間にエルフになっちゃってさ。で、こんなに小さくなって・・・」
「だから小さいのが不便って言ってたのか」
「そう!ウリサよりほんのちょっと背が低いだけのサイズが急にこうなってみ?ご飯を食べるだけでも慣れるまで必死だったよ」
そう見上げる顔が、精霊の子を連想して・・・アリサの台詞じゃねえけど、可愛いぜ?
「ふっ、そりゃそうだ・・・子供扱いしてすまん」
「それは良いよ。俺は見た目は子供だもん。ただ、時々大人になりたいんだよね」
「ずっとなればいいじゃないか。魔力が大変ってわけじゃねえんだろ?」
「うん。でも父さんに会ったらさ、俺も青年期?ってのがきっとうんざりするほど長そうでさ」
ロードランダ王はシュンスケの王子発表の時に俺も紹介されてお会いした、高額貨幣の顔の人。王国は建国三百年を超えているけれど、王の年齢は三千歳を超えてるそうだ。彼より長く存在しているのは神々しかいないから誰もあの方の実年齢は分らない。
そう言われてたはずなのに、確かにお会いしてやっぱり少しびっくりした。貨幣の顔のまま。あの貨幣も三百年デザインが変わって無いそうで、二百八十年前につぶれた国の遺跡から見つかっても同じだったという逸話がある。実際お会いしてまだ三十前後いや二十代と言われても頷いてしまいそうな若々しい顔だった。威厳は無いけど存在感たるや、ドミニクどころではなかったが。
「だから、本来の種族の自然な成長に合わせて子供として生きていくさ。まあ時々大人をするけどね」
「なるほどな」
シュンスケの長くなりそうな寿命のうちの一瞬でも俺がかかわることはできないか。
どんどん活動のスケールがでかくなっていく彼の近くで。はじめは護衛をかって出たが、あっさりクラーケンを倒して。Aランクになった強いあいつにCランクの俺なんかが護衛って言うのも変だ。
「シュンスケは本当はSSランクはありそうだけどな、あのなりだから、俺の目の黒いうちはAランクに据え置きだ」
ドミニクの台詞には同意しかない。
「その方が、危険な依頼に送り出さなくで良いですね」
「だろ?いくら強くでも、ちっこいガキだからな」
トルネキに旅立ったシュンスケは、それでも色々な騒動に巻き込んだり巻き込まれたりしていた。すべては黄色い子のリークだからギルドで聞く噂より信憑性がある。
“いま、おうじは、おんなのこのれんしゅうちゅうなのよ”
「なんだそれ」
“みせてやろうか”
光の精霊が言ってくれるけど見れるなら
「見たい!」
“めをつぶってみ”
依頼も何もない夕方、帝都の海の家で目をつぶると、
“これは白色くんの視界?”
“そ。ここはがくやっていう、げきじょうのうらだって”
へえ。お、きれいな女性が。
“きれいでしょ、あれがおうじよ”
なに!
カリオン族?の女がきれいな女性にヒールの靴を出してきたのに引いている。そのしぐさが、なるほどシュンスケだな。
恐る恐る靴を履いて・・・はは、よろめいてるジャン。部屋を出たところで金狼族の男がシュンスケをエスコートしていた。
・・・なんだかちょっと焼けるな。
“あぬびりはずっとおうじとはいけないの、げきだんいんだから”
そうか、そのうち離れてしまうのだな。
じゃあ、あの金狼族と離れた後は、なんとか俺がシュンスケの旅に同行できないだろうか。
俺は一つ目標を立てた。
「ドミニク、俺はどうやればランクがあげられる?」
「精霊魔法のスキルを登録して、これとこれとこれの依頼を受けてみろ」
まるで俺の動きを見透かされるように依頼を出してきた。
「よし」
そうして何とか俺もAランクのライセンスをものにした。
シュンスケと同じ金色に光るタグ。タグの端には魔法使いを示す記号も付いていた。
「兄ちゃんすげえな」
「ほんと!さすがにこんな短期間でAランクとか無茶するわ。兄さんはもっと慎重なタイプだと思ってたのに」
「あいつが気になってな」
「それは分るけど」
王都のギルドで妹と弟分のゴダに昇格を祝ってもらえて本気で嬉しかった。
兄ちゃん《おれ》はまだまだ頑張るぜ。
「そうね、でも私たちももう大人だし、兄さんのやりたい道を行ってね」
「そうだ、おいらも最近はすっかり漁師だからな」
「そうだな、ゴダは泳げるようになったのか?」
「まだ、下手だけど、青色ちゃんと仲良くなったから結構いけると思う」
「そうなんだ!」
“こいつらを頼むぜ”
“もちろんよ”
“ごだはいつもおかしくれるもん”
“ゴダは見かけと違ってやさしいだろ”
「ちょっ」
ふと見上げると真っ赤な顔のゴダがいた。
「ウリサ兄ちゃん、何言ってるんだ!恥っず」
「聞こえてた?」
“聞こえるよ!”
「はははは」
「ふふふ、なに?なに?」
“なかよしぱーてぃーってことよ”
“そうね、ばらばらに動いても兄妹と従弟だもんね”
「そうだな」
アリサにも聞こえてたんだ。そういえば精霊たちとやり取りしてるって言ってたな。
俺は小さくも心強い存在達に安心して、こいつらの〈兄貴〉を一時休ませてもらえそうだと実感した。
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