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169【満月湖の再生 4】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 満月湖(ボールモンド)の堤は着実に出来上がってきている。

 俺の手を離れて、シュバイツマーブルのブロックづくりは、精霊ちゃんたちがやってくれている。あの子たちが見てない人には、オートマチックな動きに見えているかもしれないな。

 赤色くんと黄色ちゃんは、俺の魔力使って、盛大に砂をブロックに生産中。


 それと同時に、護岸をぐるりと囲う道路を整備。将来流通の要になればと、馬車で四車線&歩道の幅で!

 道路の地下には水道にする予定の地下孔と、さらに下に下水にする予定の地下孔を構築中。こっちは、この世界に完成された魔法による技術があって、土木専門のドワーフが主体となって進めてくれている。

 上水は、満月湖の北東あたりから取り込む。取水口には、大きな魔石を使った浄化装置をセット。


 メインの上下水道管から放射状に将来の町へつながる上下水道の枝管も整えている。そして、それから地上へ縦の管に繋げたうえで蓋を詰めておく。色を分けてね。


 丸くて広い道路に沿って街路樹を整備。もちろん、グリーンサーペント河から土ごと転移して移植。


 サーペントウリンの木じゃなくて、トロピカルにヤシ系を。低木はハイビスカス的な花の咲く品種を彩りよく植える。


 そのグリーン達に、ホブゴブリンたちが、えっちらおっちらと永遠に水の出る如雨露で水やりをして回っている。


「ずいぶん風景が変わってきたな」

 満月湖(ボールモンド)は水がまだ入ってないけど、シュバイツマーブルが緑色っぽいガラス質の素材なので、湖に見えるよ。


 グリーンサーペント河で魔物を討伐しながら、木を土ごと引っこ抜いて、そこを池にしながら、引っこ抜いた木を満月湖(ボールモンド)の両側に、河を砂から守るように外側に植え切った後、ミルクブールバード側の外側にも並べて植えていく。

 すこし、砂をよけてね。


 そうして、たった一月でとうとう、ぐるりと堤防が完成した。湖底の底の加工も終了した。


 あとは、河へ流れる入り口に仮の水門を。

 まだ河の堤防の工事は始まっていない。

 しかし、浅くでいいから流していこうということになった。


 今日はハロルドに乗って、正装したプローモ殿下を後ろに真ん丸で緑に輝く満月湖(ボールモンド)の上空に浮かんでいる。もちろん俺も王子っぽい服を着ております。


 これ、高さを間違えると、太陽熱を集約してやばいんでないの?とおもったら、ブロックの向きが計算されたランダム風に組まれているので、その危険はないらしい。さすが、ドワーフとカルピンチームの設計だ。


 河へのゲートはまだ閉じている。


「んじゃ、おばさんたちを呼んでみようかな」

「おばさんって、なんと罰当たりな呼び方を」

「だって、そう呼べって言われてるからね」


 今日は、満月湖が復活する記念すべき日だ。

 完全復活ではなく、形を変えたけどね。


 さあ、水を入れて!


 俺はスマホからチェンバロではなく、ピアノで弾いた水の女神の伴奏を最大音量で再生。

 それを黄色ちゃんの風魔法で良い感じにあたりに流す。


 まだ工事がこれからの、満月の砦ボールモンドフェスタン前の特設会場には、トルネキの王族一同と、招待された来賓がゾロリとお集まりだ。

 その中にはなんと父さんや、ガスマニアの皇太子もいらっしゃる。


 ~~碧く~~澄んだ~~


 教会で皆が歌う曲は、もちろん殿下も知っている。

 一緒に歌う。


 ~~清らかな~流れよ~

 ~~天からの恵みの水よ~


「わああ、みずが」

 魔法陣が描かれた湖底が少し揺らいだかと思ったらそれは水面だった。


 水面は静かにゆっくりと、上昇していく。

 ゆっくりとは言え、それは大きな面積なので、すごい速さなのである。


 暑かった空気に爽やかな風を感じる。


 いいじゃん。


 『ほほほ、がんばったな』

「おばさん!みんなが頑張ったんですよ」

 『うむ』


 水の女神は今日も教会の立像と同じ三メートルほどの身長で、透けた状態で現れた。

 スマホは、録音した伴奏がループで鳴っている。


「ウ・・・ウンディーナ神様」

 プローモ殿下が感動したような声を俺の後ろで上げる。


 『お前が、この地を治める予定だと、このシュンスケに聞いたえ』

「はい!皆が幸せに暮らせる領地になるように頑張ります」


 『うむ』


 ウンディーナ神様の背後が揺らりとしたと感じたら、こんどは大地の女神アティママ神様も大きなサイズで透けて出てきた。


「アティママ伯母様」

 『ほほほ、息災じゃったか?』

「はい、この通りです」


「今度は、アティママ神様」

「うん、綺麗な人でしょ。会えてよかったね」

「ああ、一生の思い出だな」


 俺は流しているスマホの曲を、大地の女神の曲に変更を。


 ~~母なる大地よ~~慈愛の恵みよ~~

 ~~草木萌ゆる命の~ありがたさよ~

 ~~豊かな~実りの~~


 『シュンスケの友達の子よ』

「はっ」

 『周りの人と協力して、良い大地を維持しておくれ。まずは、我がここら辺を再生しよう』

「お願いします」


 大地の女神が、身に着けているストゥールのような領巾(ひれ)をはずして、手を放すと、美しい布は風に乗ってきらきらと飛んでいく。

 風にのって飛んでいくように見えて、実は緑色ちゃんと黄色ちゃんがひっぱってるんだけどね。


 きらきらした領巾の下の大地が沙漠から、花畑の様に色づいていく。

「ふわわーっ」

 ここにまた沢山、蜜蜂の巣箱を置こうかな。


 『全部緑にするかえ?』

「沙漠は残していても大丈夫ですよ」

 砂はあれはあれで使い道が出来たし。


 『あい分かった』


 湖の水位は七割まで来た。

 『こんなもんでいいやろ』

 水の女神がご自身もきらきらしながら、キラキラの湖を示す。


 水面には沢山の青色ちゃんが出現して遊んでいる。


 まっさらな湖に、清水が溜まった状態なので、すでに深さは百メートルを超えているのに、プールの様に揺らいだ底が見えている。でも、水が溜まった状態のそれは、さらにきらきらと美しい。


「そうですね。満タンにしておく必要は無いです」

 『そして数か所に、湧き出るポイントを付けておこうかの』


「わあ、なんてすごいんですか!」


 上から見ると等間隔に五つの噴水が出来ている。

 俺たちは、ハロルドに乗ったまま、水面に近づき、噴水のそばを巡る。 

 噴水の水しぶきは、太陽光に照らされて五つの虹を作っている。そこでも精霊ちゃん達がころころと遊んでいるのが見える。


「かわいい」

 プローモにも見えるか。

「可愛いよな、みんな」

「はい!」


 『ほほほ、泉はサービスじゃ。我のこのような大きな魔法陣を作ってくれたからの』

「ありがとう、伯母さん!」

「ありがとうございます」


 あ、水門。水が湧いてるなら出口を開けなくちゃ。


「ハロルド、水門へ!」

 『了解!』


 ペガコーンは優雅に西の水門を目指す。

 真ん中から端まで五十キロもあるんだもんね。とはいえ、あっという間に到着してしまうけどね。高速ヘリみたい?


 水門には、ドレスアップして待機している、ローナ王女殿下と普段よりちょっぴりパリッとしているインテルさんとゴードンさんがいた。


「水の女神に、この湖を泉にして頂いたので、水が湧き続けることになりました。水門を少し開いてください」

「よし」

「よっしゃ」


 大きな水門のハンドルを王女とドワーフの共同作業で開けていく。


 枯れた河底の砂も少しは掻き出している、冒険者などの沢山の人出で。

 水深は一メートルが理想なんだけど。


 湖から流れていく水は、少し残った砂に浸みこみながらゆっくりと伸びていく。


「うわぁ、河が復活する!」

「なんて素敵!」


 河に沿って、何人かトルネキの冒険者も見守ってくれている。


「ああ、水の女神よ!」

「大地の女神よ」


「シュバイツ殿下!」


「良かったですね。プローモ殿下!」


 ハロルドに乗る俺たちに手を振ってくれるのに振り返す。


「良かったなー!」

「本当に・・・良かったです・・・ううっ」


 背中で震える声が。

 うん、振り向かないでいてあげるよ。


 満月の砦ボールモンドフェスタン前の特設会場に戻る。


 『シュトラも見に行く?すごく奇麗だよ。乗せてあげて』

 ハロルドは本当に優しい子だ。


「いいのですか?」

 感激したようにトルネキ王が答える。

 『もちろん!僕に乗れるのは今だけだよ!』

「ぜひ!」


「んじゃ、プローモと交代だな」

「はい。父上、大変美しいですよ!」

「楽しみだ」


 式典のために王冠を被ったトルネキ王を、ペガコーンの後ろに乗せる。


 『んじゃ行くよ!』

「おねがいします」


 バサリバサリ・・・

「王様、高いところ大丈夫そうですか」

「ああ、意外と平気だ」

「それは良かった」


「それにしても、あの沙漠とは思えない風景に変わったな」

「ええ」


 もう、オアシスと言うには広々とした森が広がっている。

 これから、人が住むのには、道や、住宅、畑など、必要なものも多い。

 その前に砦の建設かな。


 王都からの街道の整備も湖側からも進んでいる。

 そのうち、二つの三日月湖と繋がるだろう。


 『王子、ムーとミグマーリだ!』


 あ、河の向こう、三日月湖のある方角から白い友達がふたりやってきた。


「あれは?何だ?」

「あれは、高位精霊の白鯨のムーと白龍のミグマーリです。ミグマーリは王都の三日月湖に住んでいる龍ですよ」

「ああ、あの伝説の。本当に存在しているのだな」

「ええ。ミグマーリは三日月湖を守っているのです。今後はこの満月湖の様子も見に来てくれるそうですよ」

「それはありがたいことだ」


 みんな優しいよね。


「ムーさーん!ミグマーリィー」

 『王子!』

 『お祝いに駆け付けたぞ』


「ありがとうございます!」


 ハロルドと三体の高位精霊で満月湖をぐるりとめぐる。


「本当に、シュバイツ殿下は王太子のアントニオをクラーケンから救っていただいただけでなく、沙漠に飲み込まれそうだった、我が国ごと助けていただいて。礼はいらぬとは聞いておりましたが・・・それでは恩を受けたまま・・・悩ましいですな」

「ふふふ、無理かもしれないですけど、気にしないでください」

「せめて、事業が完了したら、別荘代わりにあの邸宅を」

「工事事務所ですね」

「はい、それをシュバイツ名義で所有していただけないでしょうか・・・」


「うっ」

 もう俺的には管理力が限界だ。

 スフィンクスがもう一人欲しい!もう分裂しないのかな・・・。


「・・・考えさせてください」

「丁度、お父上も来られてますからな。そちらにも相談しておきましょう」

「ぜひそうしてください」


 父さんに丸投げだ!


 そうして、トルネキ王とのハロルドのタンデム飛行が終了した。

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