表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
182/245

164【再利用か再建築か】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 二日後、トルネキの王宮の会議室に、メンバーとシュトラ王とアントニオ殿下、プローモ殿下がテーブルについていた。そこへ俺達ローダサムの四人も。

 とはいえ冒険者状態のままなのは俺とアヌビリだけだ。ローナ殿下は王族スタイル、レオラも建物内なので騎士の格好だ。


「これが、沙漠の砂を熱して固めた素材・・・」


 あれから、いくつも作ってブロック状の物を提出した。ミノタウロスが乗っても破れないぐらいには強度がある。とはいえ、板ガラスにした場合はどの程度粘りがあるのかは分かってないけどね。


「本当に美しい緑色だ」

「シュバイツ殿下の瞳の色に似ておりますな」

「え?そう?」

今は黒目黒髪の人間族姿なんだけど。

「たしかに。殿下の名前がつくのも頷けます。我が国の砂からできる物が伝説の精霊王の息子の名前が付くのは光栄です」


「え?俺って他所者ですけど、この国の王や殿下の名前とかつく方がいいのでは?」

「いやいや、シュバイツっていう名前の方がいいですよ。神々の加護が感じられますからな」

「そうだよシュバイツ殿下、トルネキの砂も使うって周知してもらえばいいんだから」 

「・・・分かりました」

 まあ、これで固めて出来る湖はもう違う名前だしな。


「そんなわけで、湖の底をこれで固めて、周りは作ったブロックで整地していこうかなと。俺以外にも、火魔法と風魔法使いが居れば多分作れるはずですよ」


 湖の底は、一面に一枚板状態だと、水温の変化で割れて大きな穴があるかもしれないから、いくつかのパーツに分けて敷いて、隙間に柔軟性のある樹脂で埋めるのがいいかな。


「というわけで、ブロックを作っていただく職人を新たに募集するのと、土木に長けた人をここに呼べないでしょうか」

「あい分かった。そのためには、先に満月の砦ボールモンドフェスタンの再築だな」

「はい!それにはロードランダ王国のカルピンという建築家に指導を仰いでも良いですか?」

「もちろんだ。他にも心当たりのある人物には私からも声をかけておこう」

「お願いします。それと陛下、満月の砦ボールモンドフェスタンはもしかして、壊して立て直しになってしまうかもしれませんが、構いませんか?」

「うむ、もちろんだ。

 今後のことも考えて、将来商業ギルドや冒険者ギルドのエリアも設けて、もちろんトルネキの入国審査をする部門も必要だろ。そして迎賓エリアと職員の宿泊施設。あとは、別棟で宿泊施設とか色々箱だけでも考えておいてもいいかもしれぬな」


 この、欲張りな王様め!


 俺も同じこと考えてたけどね~


「分かりました。気が早いですけど、区画整理とかざっくり考えておいてくださいね」

「もちろんだ。なあ、アントニオ」

「はい、父上。もしこの地が発展すれば、新しい領地名を付けてプローモが領主をするのもありかもしれないですね」

「ぼ、僕が領主ですか?」

「うむ、まだ領民はいないが、かなり広大な地だ。民が根付いて領地として機能するまでは時間がかかるだろう、その間に領主として勉強をすればよい」

「分かりました!もちろん、じっと待つではなく、頻繁に赴いて、シュバイツ殿下が施してくださる緑化をお助けしたいと思います」

「とはいえ、お前は第一は学業だぞ」

「は、はい」


 ・・・耳が痛い。言われているのはプローモ殿下なのに。


「では、私が計画のスケジュールを組み立てますね」

 そう言って、美しいドレス姿のローナ殿下が色々書きこんでいた羊皮紙から顔を上げて、国王陛下に言い、俺を見てウインクを投げる。


「ね?シュンスケ」

「はい、宜しくお願いします。

 この後俺はロードランダに行ってきますので」


 王宮でのミーティングが終わって、古書街の宿に戻る。


「黄色ちゃん、バオにお話しできるか訪ねて?」

 “うーんと、だいじょぶだって!

 なつやすみだから、ちかのえつらんしつにいるって”

「よし!

 今から王国の学園の地下の閲覧室に飛ぶけど・・・

 アヌビリはどうする?」

「おれは、弾かれるかもしれないな。入れたことないからなぁ」

「リリュー教授も入れないんだもんね」

「そうだな。おれは食堂で適当に読書しているよ」

「わかった」


 俺は部屋のドアを開けて、三日月湖の地下の閲覧室に入る。


「よう、バオ、ちょっといいか?」

 世界樹ガオケレナの子である妖精のバオが、自分の木に水やりをしていた。先日プランツさんがお茶を入れるのに使ってたミルクピッチャーだ。

 こんなもので水やりって、何往復するんだ?


 『あ、王子、いらっしゃい!』

 まえにあった時とは別の妖精か?っていうぐらい明るくてかわいい笑顔で出迎えてくれた。

 緑色の三角帽子と洋服は前と同じだけど、ちょっと何かが変わっている。


「おおぅ、どうしたんだ?機嫌がいいな」

 『そりゃそうですよ、王子に会えたんですから』

「そんなにうれしいのか?」

 『もちろん、見てくださいこの水!王子の魔力で満ちていて、世界樹の木が元気になったんですよ、ほら』


 たしかに、パキラっぽい木の葉が増えて前よりわさわさしている。

 それに、バオの大きさがかなり大きくなっていた。まえは精霊ちゃんぐらいの大きさだったが、いまは女の子が遊ぶ着せ替え人形位・・・身長は二十センチぐらいか。帽子の先っちょまではもう少しある。


「この木って太陽光はいらないのか?」

 『おれっちが光魔法で時々照らしている』

 今俺たちがいる部屋も明るいけどそれもバオの魔法なのか。


 『ところで、今日のご用は?』

「ああ、この図書館に、満月の砦ボールモンドフェスタンとか、それが建ってた頃の町の資料とかないかな」

 『うーん、ちょっと待ってくださいね』


 そういうと、かき消すようにいなくなる。

 瞬間移動した?


 でもすぐに戻ってきた。


 『こういうものしかなかった』

 手には虫食いだらけの羊皮紙の巻物がいくつかある。かびの匂いもしている。


 “これなら、わたしが!”

 紫色ちゃんが請け負ってくれる。

 “じかんをまきもどせば、よみがえるわ”


「そっか、時間を巻き戻すと戻んだっけ?じゃあ、建物とかも?」

 “すなのとりででしょ?あれは、かなりまりょくがいるわ”

「でも、それで再建できるなら簡単なんじゃ?」

 “かんたんかもしれないけど、いまのみんなの、えっとなんだっけ、そう、にーずにあわないわ”


 そうか、二千年前の建物だもんな。使えるようにしたいって王様達も言ってたか。


「わかった、とりあえずこの巻物を再生しよう。紫色ちゃん、魔法のつかいかたを教えて」

 “もちろん”


 時間を巻き戻す魔法は、人に使ってはいけないという法律がある。

 昔、ある国の王が敵の魔法使いに赤ん坊にされて、国を乗っ取られたという歴史があったからだ。でも、骨董や一部の文化財は許されている。とはいえ、そもそも闇魔法で時間を操作するにはかなりな魔力量が必要で、場合によっては術者が急激に老け込むこともあるそうだ。怖い・・・。でも精霊ちゃんに焚付けてもらうなら大丈夫。

 この巻物は骨董の文化財だな。だから闇魔法オッケーなのだ。


 紫色ちゃんに教わって復活した羊皮紙の巻物は、ボールモンド湖を中心にした街の地図と満月の砦ボールモンドフェスタンの平面図だった。


「でかしたよバオ!お手柄だ!」

 『そうですか?』

「もちろん、まさしく俺が欲しかったものだ」

 『お役に立てて嬉しいです』

「なにかお礼がしたいな。バオは甘いものとか食べるのか?」

 『そうですね、先日頂いたユグドラシル様の葡萄は大変おいしかったですね』

「あれは別格だな。でも手持ちの葡萄はまだあるぜ。これでよかったら渡そうかな」

 そうして、アイテムボックスからエメラルドの葡萄を出す。

「これは同じ品種だけど、俺が父さんにもらった蔓で、ガスマニアの海岸で育てたやつだ。まあ、味は同じなんだけどね多分」

 『美味しそうです』

 満面の笑みで受け取ろうとする妖精。


 ちなみに、バオは小さいけど、風魔法が使えるのか、空中に浮かして物を運ぶことができる。だから大きな巻物も運べたんだね。空間魔法も使えるみたいだしね。瞬間移動は王都内限定で、アイテムボックスも本を数冊収納できる程度だそうだけど。


「それからこれも」

 そういって、百円均一にありそうな安っぽい如雨露を。

「こっちの方が水やりしやすいよ」

 『お、王子・・・嬉しいです!』


「んじゃ、大事に借りて、見終わったら必ず返しに来るから。貸出しカードみたいなのは無いのか?」

 『王子以外は入れない書庫なんて、学園は管理できないんですから大丈夫ですよ』

「それもそうか」


 前に借りていた本も読めていないけどな。あれ、ミルクブールバード河の物語だったな。


「ま、それじゃあ、また来るよ」

 『え?もう?』

 “ばおは、さみしいんだよね”

 『う・・・』

 “しょうがないな、おれがはなしあいてしてやるよ”

 身長差のある赤色くんがパタパタと飛びながらバオの肩をポンポンと叩いている。

 『ほんと?』

 “あたしたちは、たくさんいるもの”

 緑色ちゃんもパタパタしながらバオの帽子の横を撫でている。

 『うん、おれっちは妖精だけどいいの?』

 “ようせいも、せいれいもかんけいない”

 “ともだちは、ともだちよ”

 『ともだち!』

 “わーい、ともだち”

 “わたしたち、おうじといると、ともだちがふえるわ”

 『うらやましい』

 “じゃあ、わたしたちともだち”


 うーん、尊いなぁ。


「俺も、バオの友達のつもりなんだけど」

 『王子が?そんな恐れ多い』

 なんだそれ。

「友達で」

 『も、もちろん嬉しいです』


グッドボタンお願いします♪

お星さまありがとうございます。

ブックマークして頂くと励みになります!

それからそれから、感想とかって もらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ