159【まだ入口】
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グリーンサーペント河の復習をもう一度。
今俺が過ごしている、ゼポロ神様の世界が、地球のような球体の惑星なのか、はたまたどこまでも平べったいものなのかはわからない。まあガスマニアやセイレンヌアイランドの海の水平線が超緩やかな曲線なので球体なのだろう。まだ勇気がなくて成層圏?みたいなところまで飛んだことはないから言い切れないけど。
その中でも一番の広さを誇る大陸がここ。〈セントラル大陸〉なのだ。
地球でいうとユーラシア大陸のようなものだろう。父さんの居る、ロードランダ王国や、ガスマニア帝国は大陸全体からいうと北西部に位置している。
そしてその赤道付近で東の果てから西の海に向かって伸びている河がグリーンサーペント河。途中から東は確か〈ミルクブールバード河〉って言う、そっちはいま干上がっていて、沙漠の溝なだけだ。三日月湖の北側を走る川の名前もミルクブールバード河だ。
さて、グリーンサーペント河の討伐と伐採を河口付近から十キロに渡って終えた俺達だが。はっきり言って、まだまだ入口だ。
何しろ、河幅が六十キロ。
かなり大河なのである。その中を河口で数本に分かれた細い川が流れている。
水の流れている分かれた川の間は、三角州になっていて、そこは堆積した土砂や、折れて流れた木が積もっている。
ここが少し盛り上がって、海水が海水が入らないようにせき止められている。
そして、水が流れる川の両岸が森となって東へ延びていた。その長さも五百キロ。
大陸が大きいからそのすごさが分かりにくいけど、東京から大阪ぐらいの長さ、幅六十キロのうちのたった十キロメートルの伐採が終わっただけなのだ。
三日目の朝。少しミーティングを。
「この、大量の木を、伐採するのもいいけどさ、半分は根っこごと引き抜いて、砂漠に植えたらどうなんだろう」
はっきり言って、砂漠は日本列島の数倍の広さがある。それを全部緑化するのは無理だけど、河とその周りぐらい何とかしたい。
「砂漠の環境が整うまでの間どうするの?」
まだ、地面と切り離していない昨日のシフォンケーキテーブルで朝食を広げながら話す。
「とりあえず上流にもう一つ湖を作ってさ、その周りに移植していこうかなって。それか、アナザーワールドに持って行っといて、森ごと移植してもいいしね」
「はあ、スケールが違うぜ」
ため息のようなアヌビリの台詞。
「そんなわけで、凶悪な肉食地竜を全部討伐したら俺はもう一度上流の砂漠を見てきて、森の移植先を整えてきていいかな」
「いいわよ。出来たら・・・」
そういってローナがテーブルに地図を広げる。
「ここら辺が国境だから、このあたりに湖をとりあえず作ってもらうとうれしいわ。周りにはほとんどだれも住んでいないと思うし」
「なるほどな」
「湖の拠点を探すのは俺も連れていけ」
アヌビリが立候補する。
「まあ、タンデムの鞍を作ったもんな。もちろんだよ」
とはいえ、地竜を討伐及び保護するまではまだまだ日にちがかかるだろう。
「クインビー」
『なあに?』
ミーティングには女王蜂もいらっしゃる。
皆が頂いている紅茶には蜂蜜も入れてもらっているんだ。
「凶悪肉食地竜はあと何頭いるかな」
『そうね、あと六十頭ぐらいかしら』
「げ、結構いるんだな」
「何しろ全長五百キロだもんな。まあ、とりあえずサクサクと討伐していこう。ね、ハロルド」
『うん!上からだったらすぐだよ』
テーブルの横の低い切り株ではハロルドがリンゴやニンジンを食事中。
『んじゃ今日は僕と一緒?』
「うん、よろしくね!」
『やったー』
『皆さんは、私がお手伝いするわ』
「よろしくね、クインビーさん」
蜜蜂たちが、他の魔物の索敵をしてくれる。
そしてその情報をコミュニケーションのできるクインビーが引き受ける。
四人パーティだけど、ホントに沢山の仲間で作業だ。
きこりの皆さんも変わらず入ってくれていて、枝払いを続けてくれている。きこりの人の数割は風魔法が使えるし、鉄の鋸なんかを使う人は、狼人族やクマ人族などの人間にはあり得ないパワーがあるから、作業も速い。
太い枝ならそのまま持って帰って売るんだって。
ちょっとぐらい切られたって、移植用の木は、まだまだあるだろう。
「んじゃ行こうかハロルド」
『うん!』
「じゃあ、ランチにはここに戻ってきます」
「そうだな」
「精霊に合図してもらうぜ」
「それは良いね」
アナザーワールドのお風呂に入ったローナは、そこから出ても黄色ちゃんが見えるようになっている。
これなら、離れていてもコミュニケーションができる。
俺は、ゼッケンだけ装着したハロルドに乗って飛ぶ。
「『行ってきまーす』」
「「「おー」」」
“おうじ、こっちににくしょくちりゅうがいる!”
『いくよ』
「あ、ほんとだ、いた」
“まって、そうしょくのこがやられてる”
「まじか、ほんとだ。俺が討伐したらすぐに」
“きゅあがいく”
「よし」
パシュッ
脳天を一撃して、そのままサブボックスに収納する。
すると、ラメの光が草食地竜に飛んでいく。
俺も空中でハロルドを降りてそちらへ。
『おい、大丈夫か!』
『いたいよー』
“まって、いまなおすから”
“おれもてつだうぜ”
白色くんと連係プレイです。
『いたい・・・ってあれ?いたくない』
「よし、よくやったぞキュアと白色くん」
“でも、まだきずが”
地竜の脇腹には痛々しい牙の跡が。
それでも聖属性魔法を発動しながら近づいてその傷を少し撫でるときれいに消えた。
俺は、林檎を渡しながら地竜に呼び掛ける。
『なあ、ここら辺はもうすぐ水で沈むんだ。
ほかの地竜たちを別な所に保護しているから、君もそこへ行ってくれないか?』
『ああ、あなたなんですね。飛竜に聞きました。ぼくも連れて行ってくれる?』
『もちろん。君はお花が好きなんだろう?』
『うん』
『じゃあこっちに』
そういって、アナザーワールドに穴を開けて繋げる。
「あれ?まちがえた、プウとポウじゃん」
『あ、おうじ!そのこあたらしいおともだち?』
「うん、案内頼める?」
『もちろん、おいでおいで!こっちにおいしい、おはながあるよ』
『ほんとう?』
『くだものもあるよ』
『行く!ありがとう!』
プウ達よりちょっとお兄さんかな?仲良くしてね。
そうして、凶悪肉食地竜を討伐しながら、ほかの地竜を保護していく。
パシュッ
パシュッ
パシュッ
シュシュシュ
そうして、地竜を保護しながら、スフィンクスに数頭の解体もお願いする。
『大猟ですねえ。今夜のご飯も楽しみにしてください』
張り切ってくれている。確かに肉食地竜の肉はうまい。まるでブランド牛みたい?
スフィンクスの料理の腕もいいんだけどね。
「魔法袋は足りてる?」
『ええ、何しろ百枚も買っていただいていますからね』
「なら、足りそうだな」
『きのう、ガスマニアの帝都で三頭ほど売りましたよ』
「さんきゅ、あんまり売って値崩れするのもだめだし、難しいよな」
『あとは、王様に売ってください』
「売ると言うより押し付けたいけど」
『それもいいかもしれませんね』
「でしょ?」
それからも地竜にターゲットを絞って処理していく。
河端はまだ六十キロ近いので、すごく鋭角なジグザグだ。
とはいっても、ハロルドに乗って上から討伐して、草食地竜を見たらアナザーワールドを開く。
しばらくすると、肉食で、六才児の俺ぐらいの背丈の地竜が数頭いるのをみた。
ポイコローザの所で戦士をしていたのと同じ種類だけどまだ子供だな。
『よう、すこし話できるか?』
『あなたは噂の精霊王子ですね』
『噂になっているんだ』
精霊王子て・・・。
『君たちは、すごく能力の高い地竜って聞いたんだ』
『俺たちがですか?』
『うん。
きちんと訓練を受けると、戦士の職業に着けるらしい』
『それは、興味ありますね』
『私たちは、人と同じようなちゃんとした暮らしがしたかったのです』
『そうそう、ただ過ごすのじゃなくて、何かしたくて』
『そりゃよかった。じゃあ、他の地竜とは違って、専門の所に紹介してもいいか?』
『お願いします』
おれは精霊ちゃんにお願いして、エスカーザに伝言を頼む。
“戦士にどうかなって子供の地竜を数頭お願いしたい”
するとすぐに、
“願ってもないです!好待遇で引き取ると伝えてください!”
『好待遇で引き取るってさ』
『『『お願いします!』』』
まずは俺だけ公爵の屋敷前に転移してみる。
「いらっしゃい、シュバイツ殿下」
「わるいね、突然で」
「なんのなんの」
「どこらへんに来てもらったらいいかな」
「このあたりで大丈夫ですよ」
その言葉を聞いて、こんどはポイコローザからさっきの河に穴を開ける。
『おーい』
『うわ、なんか穴が開いてる』
『そっちに行けばいいんですか?』
『そうそう、こっちにきて』
『ちょっと涼しいわ』
『あ、寒くない?』
ポイコローザは確かにトルネキよりちょっと北にある。
『大丈夫よ!』
『いらっしゃい、ここはポイコローザ公国。あなた達を歓迎しますよ!』
リザードマンのエスカーザが両手を広げてウェルカムポーズだ。
『『『お願いします』』』
一頭は女の子だな。
それはそれで、女の人の護衛とか所属先はあるだろう。まずは新しい環境に慣れてもらって、おいおい訓練に入るんだって。女の子は他の女の子の地竜と仲良くなりながら警備を学ぶそうだ。
『じゃあ、健康に注意して頑張ってね』
『『『はい、ありがとうございました』』』
「シュバイツ殿下。良い子たちを連れてきてくれてありがとうございました。
また、よさそうな地竜がいたらスカウトしてください」
「わかった。まだまだ始まったばかりだから、またお願いするけど宜しくね」
「もちろんです」
そして俺はまたグリーンサーペント河に戻る。
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