152【商隊というより流通】
遅くなりました~
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翌日、モーニングはホテルで。
オークの腸詰と、スープ。サラダ、フルーツ、そして押麦が一割入ったご飯。
プチプチがたまりません!
旅の楽しみを毎日満喫できる。
冒険者っていいよな。
「ほんとに夕べはポイコローザに行かれたんですか」
「はい、リザルド公爵領のお屋敷ですが、ここの街道沿いにいる地竜たちの保護について相談できたんです。実行するには、このトルネキ王と直接お話していただくのもありと思っています。公国の方のトップには公爵が話しておいてくれると言ってましたが、概ね良い感触ですよ」
「素晴らしいですね、トルネキ王都より西へも村や町が広がれば、我々旅商人も販路が広がるわけですからな」
「ふふふ、まあそこで商売ができるようになるまでは何十年とかかるとは思いますけどね」
サリオは、五十代の商人だが、まだギラギラしていてやる気に満ちている。
娘さんは一緒になって頷いている。
「所で、(今更だけど)サリオさんの運んでいるものって何なのですか?」
「ほとんどは住宅ですよ」
「へ?」
「シュバイツ殿下のお国の、ロードランダの住宅ですね。半分はリーニング領のものになります」
「なるほどなるほど」
「ですから、つぎの町では一つ分の馬車の積み荷を降ろす予定です」
「そうだったんですね。ということは一つの馬車にはかなりたくさんのお家が入っているんですか?」
「ええ、外装はそれぞれの大工や建築主のセンスや好み、地域での決まりごとに基づいて変わりますけど、中の居住空間はおおよそ同じです。気候にって、窓の大きさや通気性が変わるようですよ」
「なるほど。俺のアナザーワールドの家も、リーニング領のカルピンさんのところで部材を仕入れて、組み立てたんですよ」
「なんと、それにしては変わった部屋がありましたな」
「畳の部屋でしょ?」
「ええ」
「でもあの畳はセイレンヌアイランドのオフ島で仕入れたんですよ」
今日の冒険者の馬車は。依頼料をもらうんだから自分達で馭者をするからと、アラビカパーティーとアヌビリさんが乗っている。
そして、サリオさんの馬車はハロルドだけで馭者なしで曳いてもらって、そっちの車内におれがお邪魔している。
「まあ、一番大きな商品は住宅ですが、他には生活用の魔道具とか、素材なども積んでますよ。工業の盛んな国を通って仕入れるのです」
「ドアーフの国ですよね。俺もいつかは行きたいと友人と話しているのです」
「ほうほう」
圧縮の袋や箱を利用しながらも九台の馬車で運ぶなんて相当な商売だな。
行商というより、流通のトラックに近いのかも。
大事な仕事だ。
これまでも、途中の町で止まっては俺のサブボックスの荷台を出すようにお願いされて、そこから置いていく商品があったり、引き取る商品があったりするのだ。
「我々は、運ぶのが仕事だったりしますのでね、今回は不覚にも馬の手配をしくじりましたが、往路では大丈夫になるように手配しておりますから」
「さすがです」
「そんなわけで、商品の内容は全然分かっていないのですよ」
「へえ」
「リーニングから住宅を運んでいると言っても、商業ギルドに来た注文に沿って、荷物を受け取って運んで引き取るってわけですな」
「そうなると、生ものは難しいんですね」
「さようですな。魔法の袋やカバンなどはスキルのアイテムボックスに比べると劣ります。冷蔵庫よりは長持ちしますが、傷まないわけではないのです。
シュンスケさんがシュバイツ殿下でなければ、好待遇でスカウトしたいところです」
「ははは、ありがとうございます」
「そういえば!シュバイツ印の商品も積んでおりますよ」
「なんですって?」
「蜜蝋ワックスですよ。オフ島がインテリアの仕上げに使うのに最高だと言ってるらしいです」
「なるほど。それはありがたいです。蜜蝋の生産は、クインビースピリットが頑張ってくれているのです」
「アナザーワールドにいらした女王蜂様ですね」
サリオの奥さんが思い出したように言う。
「そうです」
「あの方は素晴らしいです」
娘さんも彼女を褒めてくれるのがうれしい。
「でしょう?」
ニコニコしながら続きを言ってくれる。
「虫にしたら大きいですけど、我々人に比べるとお小さいです。
ですが女王っていう威厳があって包容力もあるのに、すごく面倒見が良くて素敵ですね」
「ありがとうございます。彼女にも伝えておきますよ」
「ええ、女として目標にしたい方でもありますよ」
「へえ、そうなんですね」
叔母様達もそうだけど、この世界にはかっこいい女性が多い。うん!
そんなわけで、昼過ぎにとある町の商業ギルドに到着した。
ここでも、また荷物を入れ替えるそうだ。
「シュンスケさん、四番の荷台を出してもらって良いですか?」
「分かりました」
商業ギルドのロータリーで一つの荷台を取り出す。
「おおお、荷台だけが出てきたぞ」
「なんだなんだ」
あ、みられちゃった。
「これ使いますか?」
なぜか、母さんのウエストポーチにあった、台車というかカートを出す。
三百キロまで大丈夫ですが、俺が付与を施したので六百キロまで搭載可能。片手で楽々運べます。少し浮いてるので、ちょっとした段差もへっちゃらです。折り畳めてストッパーもついてます。は、地球標準だけどな。
「何ですかこれ」
「良いでしょ?
そのうち、ドワーフの国で量産してもらおうかな」
「もし、量産するようになったら、私にも買わせてください!
いや、量産の話しに一枚嚙ませてほしい」
おお!サリオさんが前のめりだ!
「分かりました、いつかドワーフの国に行くことになったらご一報しますよ」
「ぜひ!」
そしてこの街で積み込んだのは、羊の商品だった、羊毛や羊の肉のハムやソーセージ、チーズ。それに羊皮紙。羊皮紙って本当に羊で出来ているんだね。だから高いんだ。大切に使わなくちゃね。
思わず俺も商業ギルドで仕入れてしまいました。
「シュンスケ、お前も本でも書くのか?」
「いやいやいや、俺は学生だよ!レポートとかに使うんじゃん」
「冗談だ」
アヌビリさんにからかわれた。
「むう。それにヴィルパークやジャンクさんのところで買うより断然安い!」
「たしかになあ、マージンが入ってないっていうことか」
「そうそう」
「リリュー教授は知ってるんだろうか」
「なんで?」
「ここまでお使い言われたことないから」
「ここには紙しか売ってないからじゃない?他にも買ってたんでしょ?ヴィルパークさんから」
「そうだったな。シュンスケもあの人に言うんじゃないよ」
「へ?」
「ヴィルパークの店より、この街の方が羊皮紙が安いって」
「安くても、ここに来るまでの交通費とか宿泊費とか考えたら、高くなるんじゃない?」 「確かにそうか」
いまだに、お使いの恐怖から抜け出せていないのか?この金狼さんは。
さすがに現在は在学生を使ってるのじゃないのかな。
「ってことは、教授には紙をたくさん買えばよいお土産になるのでは」
「いや、やめてくれ」
「ははは。とりあえずガスマニアの教授とかロードランダのお土産にする」
「そっちなら文句は言わねえ」
「ははは」
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