151【野営と言えばやっぱりAW〈アナザーワールド〉だよね】
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「え?もう討伐できたんですか?」
びっくりするキリから手綱を受け取りながら馭者席に戻る。
「はい、なんとかアイテムボックスに入りましたよ。でも結構大きいですよね。ギルドで引き取ってもらえるかなあ」
「途中のギルドは小さいので無理ですけど、ラオポルテか王都のギルドなら大丈夫ですよ。空間拡張のすごい倉庫もあるらしいので」
「分かりました。そこで買い取ってもらいます」
あのクラーケンより小さいもんね。きっと数頭合わせても。
“みんな、また肉食の地竜が居たら教えて”
“わかった”
“さっきのおうじみたいに、はなしてみる?”
“できたら”
“まかせて!”
しばらくすると、
“いた!”
“でもちいさい”
“はなしできそう”
「キリさん」
「はい」
「小さい地竜で肉食なんですけど、話通じる奴がいるらしくて、そういうのも関係なく討伐ですか?」
そう尋ねると、
「討伐です。
けどいや、地竜と話ができる人なんて、テイムしたのとポイコローザの連中ぐらいしか」
「そうなんですね」
やっぱり、アナザーワールドを改装してからかな。
湖の向こうに海でも作るか、そしてその向こうに野生の地竜の楽園でも・・・
“話できる子は保留で!話しが通じない肉食地竜は討伐するから教えて!”
“わかったー”
“りょうかーい”
そんな感じで、その後、二頭の狂暴肉食地竜を狩って、二泊目に入る。
「ここは、野営です」
見渡せば馬車キャンプ場になっている。
トイレと炊事場、井戸が整備されている。
「じゃあこの荷馬車を拠点に、馬を預けているアナザーワールドに行きましょう」
後ろのアヌビリさんとサリオ一家に説明する。
「ちょっと、俺がアナザーワールドに行きたくて」
「わかった。馬車の番は俺とキリが交代でする」
「ありがとう。晩御飯と風呂だけでも入らない?」
「助かる」
「風呂に入れるんですか?」
そうして、まずは頑張ってた馬を入れる。
そして、サリオさんとアヌビリさんとキリをスフィンクスに頼んで屋敷と風呂に案内してもらう。アヌビリさんは初めてじゃないけど、厩舎にドアを繋げたから、そっちからはまだ初めてだ。
その間に、アラビカパーティーのモカさんやサリオさんの奥さんのシジュンさんと娘さんのスアラさん女性陣達で、馬車に盗難防止の魔道具を取り付けて、アヌビリさんとキリが野営できるように焚火の準備を。
「さすがに暗くなりましたね」
「確かに作業しにくいな。
んじゃちょっとここは・・・」
と言って自分の変身を解いて、精霊バージョンになる。
すると、明かりが無くても足下ぐらいは光るんだよね。我ながら便利。
「ふわあ、シュンスケさんが」
「まあ本当、天使!」
「天使じゃないですよう。天使なら羽はこっちでしょ?」
と言ってさっき俺の中に仕舞ったハロルドの羽根を背中の翅と入れ替えてみる。
こっちも明るいなぁ。
「今度こそ本当に天使!」
「ははは、この羽根はハロルドのを借りたんだよ。俺の翅はこっち」
と言って、六枚組の葉脈のような模様のある方を出す。
「?」
「どっちも似合ってるわ。なんだか神秘的」
「ありがと」
さっき、森で地竜を討伐したときに出来た大きな木くずを取り出して、魔法ですぐに乾燥させて良い感じの大きさの薪にする。
レンガもいくつかアイテムボックスから出して少し積んで、薪を山のように安定させ、火をつけてくれるのは赤色くんだ。
“ついたよ”
“じゃあ、あたしがほのおを、すこしおおきくするわ”
黄色ちゃんの風魔法の制御も絶妙です。
炎が大きくなって明るくなってきたから、人間族に戻る。
「ああ、戻っちゃった」
「ふふふ、明かり代わりにあっちの格好にしてたからさ」
炎のそばには追加の薪を。大きさがばらばらの方が火が付きやすそうだ。
二人が戻ってくるまでギターでも弾こうかな。
母さんが好んで聞いていた九十年代のJPOPからしっとりしたやつをチョイス。
声質から高音ボーカルものか女性ボーカルのものしか無理なんだけどね。高音ボーカルも流行ってたみたいだし、より取り見取りなんだよな。
焚火を見ながらの音楽って良いよな。リラックス出来るんだよね。
数曲終わったところで、扉に気配があったので開けに行くと、サリオさんとアヌビリさんとキリが戻ってきた。
「悪いな」
「お風呂助かりました」
「いえいえ、こっちも夜番をお願いするんですから。
じゃあ、行きましょう。スフィンクスのご飯は美味しいんですよ」
「確かに旨かった」
「行っておいで。私は少しこちらで涼んでから戻るよ」
「行ってくるわお父さん」
「ではシュンスケ君お願いします」
扉を出したまま屋敷に行く。
扉にはユグドラシルの蔓を挟んでおいて、消えないようにしておく。すると、夜番の二人はトイレに戻ってこられるんだ。
キャンプ場にもトイレがあるけど、こういうところのはキチャナイからね。
「お二人とも三階のお風呂にどうぞ。寝室もそちらにありますので。食堂は二階です」
“つかいかたは、あたしがおしえるわ”
「わっ精霊ちゃん」
「俺のアナザーワールドに住んでいるものは、蜜蜂と地竜の一部以外は男性しかいないので、女湯は女性型の精霊が案内します。この子は青色ちゃん。水の精霊です。あとは黄色ちゃんと緑色ちゃん」
「よ、よろしくね」
“なかよくしてね”
“おふろはこっちー”
「まあまあ、なんてかわいいの」
女性陣二人を精霊ちゃんに任せて、俺は二階の風呂へ。
アナザーワールドの今日の月は疑似で作った地球。地球って奇麗だよな。星は適当だ。
風呂から上がるとスフィンクスが二人体制で給仕している。
今日の料理は、ミノタウロスのロコモコハンバーグステーキと青菜のバター炒めとコンソメスープ、主食はパンかご飯を選べます。
お父さんが戻ってきて揃ったサリオ一家は、食後にデザートもお楽しみ。
デザートに出してくれたチーズケーキを食べながら、スフィンクスの一人と相談する。
話の出来る地竜を保護してみて、とりあえずポイコローザにも引き取れるか打診するけど、先に保護している子ととりあえず地域を住み分けるのはどうかとか。
『堀や河、海で分けるのもいいですけど、高さを変えるのはどうでしょう』
「高さ?」
『あちらの方にテーブルマウンテンのようなものを作ってみては』
そうして、湖の向かって右斜め向こうの方を指さしてくれる。今は真っ暗で何も見えないんだけどね。基本建物はこっちの方しかないから、夜は疑似の星空以外真っ黒だ。
「それはイイね」
おれのアナザーワールドはもはや、ガスマニア帝国並みの広さだ。山の一個ぐらい出現可能だ。
テーブルマウンテンをこっちにしておいて、向こうを下に掘り下げよう。
もともと河原に住んでるやつだからな。
そして湖から水を下に流して何らかの形で水を循環しようかな。
俺のでっかい箱庭。夢が膨らむぜ。
海に着くまでに何体か話をして、海についてからエスカーザに連絡して・・・。あ、彼には精霊ちゃん通じるようになってたっけ。予告してから訪問だな。
あっちが無理ならこのまま俺が引き取れば、マナを分けてもらえばいいんだしね。
その夜は天蓋付きの自分のベッドで精霊ちゃん達と熟睡した。
いろいろ考えてて頭が疲れたんだよなきっと。
次の朝、スフィンクスにお願いされた。
『王子、できたら、討伐した地竜を一体預けてくれませんか?』
「なにするの?」
『もちろん解体して肉は食材に。地竜の肉は王族でも中々口にできないと言われているほどの高級食材。かなり美味しいのですよ』
「なんと!んじゃ!」
といって、魔法の袋の中に一頭をぶち込んで渡す。
モササとタイナロンの話を聞いて、ギルドに行けば袋が購入できると聞いて、仕入れてあるのだ。もちろん、時間停止付きの食料品向きの方を。
「次の野営の時までに今日のみんなにご馳走できる?」
『お任せください!』
「やた!」
『余ったらシュバイツ印で売りますか?』
「もうすぐ、俺の誕生日がくるから、その時に料理してくれない?」
『分かりました、王も食されるんですよね』
「たぶん」
アメリカンなイケメンがにっこり笑って、
『腕が鳴ります』
俺が朝ごはんを食べ終わったので、アナザーワールドを出て、アヌビリさんやキリが朝食のために入れ替わってもらう。
「少し仮眠する?」
「いや、風呂のお蔭か、結構眠れたぜ」
「それならいいけど。あ、サリオさんお早うございます」
「おはようございます。先ほどスフィンクス様と話されておりましたが、あの方は地竜の解体ができるのですね」
「そのようです。その口ぶりだと解体って難しいのですか?」
「鱗状の外皮が堅いと言うことで、でも解体された皮は素材としては最高級品ですし、もちろん肉も。
できれば我々も一頭買い取りたいですなぁ」
「ギルドで引き取り切れなければお願いするかもしれません」
「分かりました」
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