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150【馬車旅行、時々討伐】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 翌朝、冒険者ギルドに泊まっていた俺は、商業ギルドでサリオ一家と改めて挨拶をする。奥さんと、娘さん。彼女も二十歳を超えている大人で、大事な商隊のスタッフだ。


「お早うございます、シュンスケ様」

「お早うございます。では早速預かっている馬一頭を出しますね。それからうちの子も」

 と言って、アナザーワールドを開けるとスフィンクスが一頭連れてきた。

 昨日足首を治療したプラムで、すでにテーピングが施されていた。


 ハムハムしてくる。

 “わーい、またあったね”

 “おう、足首大丈夫か?”

 “だいじょうぶ、なんともないよ!”

 『念のためですね』

「さんきゅ」

 アナザーワールドを閉じて今度はハロルドとゼッケンを出す。


 『おはよう!王子。頑張るよ!』

「おはよう、今日から頼むよ!」

 アラビカパーティーの荷馬車の中を見させてもらう。長旅の荷物も一緒か。

「すみませんこの巾着に荷物を入れてもらっていいですか?全部入りますから」

 と言って、海竜のモササにもらった巾着を渡す。もちろん鱗はアイテムボックスに移動済み。そして、サリオ一家の荷物も以前もらった巾着に入れてもらう。

 そして、馬車には最低限の荷物とクッションだけになったので、ずいぶん軽量化出来た。


「ハロルド、サリオ一家の馬車をお願いね」

 『わかった、サリオよろしくね』

「は、ハロルド様が曳いてくださるのですか?」

 『うん。まかせて』

「そっちの馭者はアヌビリさんで」

「わかった」


「荷馬車はこの子をつないで俺が様子見ながら馭者をしようかな」

「シュンスケ様が馭者を?」

「うん、ね!」

 ヒヒン

 “ね!”

「じゃあせめて俺が隣に座ります」

 パーティーリーダーのキリが話し相手を買って出てくれる。

「ところで、シュンスケは呼び捨てで!おねしゃす」



 たった二台の商隊は軽快に河沿いの街道を走る。

「“おーいプラム。急がなくていいよ!”」

 “だって、このばしゃかるい~”

 そりゃね、モササのマジック袋に水筒と弁当以外は全部入れたんだもんね。それに車輪を地面から浮かしてます~。俺のお尻のために。


「へえ、この河の調査ですか」

「そうなんだ。今朝の町で支流と合流して水が流れてるけどそこから東は枯れてて、草さえ生えなくなっていってるんだ。

 それの調査で海に着いたら今度は上陸に向かうんだよってあ、ちょっと御免、プラムの手綱持って」

 キリにプラムの手綱を再び預けて、羽を出さずに久しぶりに魔法で飛ぶ。

「はい?おわっ飛んだ」


 時々河の気になる状態を見つけたら、写真を撮りに行ってレポート用のメモを書き出す。


 実際の水は小川レベルだが、河と呼べる幅になってきた。

 それでも、人々は河原には家などは建てず、きちん堤防より外で生活をしていることが分かった。

 これなら多少増水しても大丈夫だよね。


 ただ、もう少し下っていくと、河原に生えているのが草だけじゃなくて、木になってきた。木々が川のように筋を作っているのだ。


 “木の列が河みたい。面白い~”

「ここを河に戻すなら、これは伐採しなくちゃいけないですよね」

 最悪洪水になる。

「そうですね」

「王様たちと相談する案件だね」


 本題の河の堤防の強度はどうだろうか。

 そこは、土魔法なんかで強化し直すところかな。


 河の木々の生態系なんかも鑑定しながらパカパカ進む。河が蛇行する森になっていくと、その中に魔物が少し増えてくる。マナが多いのが分かる。

「この河の中の魔物はどういうのがいるのだろう」

 ちょうど、ドワーフの国から商隊の護衛で同行している。アラビカパーティーはこの河沿いからラオポルテにかけてが地元。だから同じ国出身のアヌビリさんと知り合いなんだね。

 いろいろ聞いてしまおう。

「ヒエラルキーの頂点に居るのは地竜ですね。ポイコローザの奴らと違って肉食は狂暴です。あとはヒョウやサル系、サル系は頭がいいので、時々河から上がって人家に行っては食べ物や酷い時は赤ん坊を攫います」

「攫った赤ん坊はどうするんだろう」

「・・・そこまでは知らないですけどね。ごくまれに保護された人間が居て、その人は自分もサルだと思っているから服を着ないとか」

「うわぁ。サルとか討伐の依頼あるんですか?」

「有りますけど、サルは素材が取れないですし基本的には河から出てこないので、スルーされてます。人との生活圏が分かれている感じです。それらに育てられた人を見かけると保護することがあるそうです。

 最終的には甘いものの味を教えると、人に傾くそうですよ」


 イレギュラー的に人がいるかもしれないけど、森と化してる河を増水すると、水から逃れて魔物の方が溢れると。最悪地竜か。・・・これはやばいな・・・。

「ちなみに、魔物の素材は、下流の冒険者や住人の生活を支えていますか?」

「いえ、下流では農業や畜産や酪農が発達しているので大丈夫だと思いますよ。地竜はAランクでも荷が重いと聞きますし、他には大きくてもクマやチーターなので危険が多くて、わざわざ討伐に行くものはいないですね。

 ほら、あそこ」


 キリが指さす先には羊の群れが。そして二頭ほどの馬に乗った人がそれを制御しているようだ。そしてその向こうには畑が広がっている。そして森も平地にはちゃんとあるから、河の中の森がなくなっても大丈夫そう?


 ・・・まずは地竜を含む凶悪な魔物を討伐して森を伐採してから増水か。うーん大がかり。でも沙漠の緑化のためには必要だよな。農業の灌漑なんかにも役立つと思うしなぁ。


 とにかく王様たちとミーテイングが必要だな。


 この森のあるあたりまでは海からの水蒸気で雲が出来て雨は降るんだろうな。


 “おうじ、ちりゅうのけはいがするよ”

 ハロルドから念話が来た。

 “え?野生の?白色くーん”

 “みてくる!”

 “にくしょくー”


「シュンスケ、どうしました?」

 キリに俺の顔色が変わっちゃったのがばれた?

「その先に地竜がいるようです」

「そ、そんな」

「河から上がってこないんですよね?・・・ってあ、頭が木の間から出てきた!でか」

 “白色くん、俺からも見えた”

 “だろ!でかいな”

 “近くにファミリーはいない?”

 “いなさそう”

 “ぼっちだ”

 そんな言い方するとかわいそうになるからやめて。


「あれ、討伐しても大丈夫ですかね」

「え?はい。王都から海まである冒険者ギルドのAランクの掲示板に常設されていますよ。肉食地竜は討伐してと」

「んじゃ、ちょっと行ってきます。話しが通じるなら保護かな」


 “あの地竜みてくる”

 ハロルドに念話。

 “わかった、気を付けてね。アヌビリにも言っとくよ”

 “たのむ”


 地竜は大きいから三百メートル離れてたのに、迫力がある。

 十頭も飼育している俺から見てもでかい。日本男児のあこがれのティラノサウルスに似てるが、あれと違って、腕もある程度長くてがっちりしている。


 『おーい、僕は駿介!ちょっとお話しできないかなぁ』

 地竜へのアプローチはこれでいいのか不明だ。いきなり突撃するんじゃなくて、専門のエスカーザさんに聞くべきだった?


 『あん?はらのたしにもならそうなのがキタナ』

 近寄る俺を叩き落そうと手を伸ばしてくる。太くて長い尻尾も臨戦態勢っぽい?

 『おわっ、ちょっと!』

 『うごくやつは、すべておれさまのしょくじだ』

 グワオー

 『えー、仲良くしたら楽しいのになぁ。ごはんも用意するよ?』

 『たのしいのは、おまえをまるのみするぐらいだな!』


 ・・・無理でした。会話にならず。


 俺は右手の中指と人差し指をそろえてティラノっぽい奴の頭上から弾丸を打つように構える。その俺に口を開けて来るが、この世界の地竜にはブレスなんてないので、その大きなお口めがけて水&空気ビームを鋭く放つ。


 プシュッ


 『なんだ?くちのなかに、みずとかぜか?』

 あれ?細くしすぎた?失敗?

 『あれ?おわっ?・・・・』


 メリメリメリ

 木にとまってた鳥が一斉にバサバサと飛び立つ。

 ドシーン

 周りの木をなぎ倒しながら倒れていく。


「ふう、おわり」

 倒れた地竜を近寄ることなくサブボックスに入れて、ついでになぎ倒してしまった木を、風魔法で奇麗に切って、切り株も整えて、倒れてしまった方を収納する。


 そして、改めて河原のはずの場所に降り立つ。

 確かに近くに水の音が。でもせせらぎっぽい弱々しい音だ。


 緯度的には、アマゾン川のようなジャングルのイメージがいいんだけどなぁ。東京の郊外にあるハイキングコースって感じだな。


 と、視線を感じて振り向くと、他の地竜が数頭いた。

 こんどは草食かな。アナザーワールドにいるプウやポウみたいだな。


 『こんにちわ、俺は駿介』

 『わっ、はなしてきたっ』

 『こわいっ』

 『あいつをやっつけたんだぞ』

 『ちいさいのに』

 『つよくてこわい!ちいさいのに』


 さっきの地竜より穏やかそうだけど、ポイコローザの人と暮してた子みたいに簡単に保護するのは考えるべきだよな。アナザーワールドで区画をはっきり分けれたら保護してもいいか・・・

 考えながら近づく。

 俺を小さいと連呼するだけあって、こいつらも象よりは大きい。頭の高さはキリンぐらいで嵩が象って感じだ。首長竜たち。

 『仲良くしてくれるなら、仲良くしたいんだけど』

 『つよいにんげん、そのうちなかよくして』

 『おかあさんにきかなくちゃ』

 『かってに、おともだちをつくっちゃいけないの』


 親がいるのか。しょうがないな。

 『わかった、今度会ったらおかあさんに合わせて』

 『いいよ』

 『今度ね。おかあさんに、引越しないか聞いといて』


 林檎がたくさん入った樽を一つ置く。

 『これ、みんなで食べてね』

 『なあにこれ?』

 『うまいんだよ』

 そのうちの一つを取って齧って見せる。

 ポリゴンのリンゴ並木は川に沿って伸びていて、沢山収穫しているのだ。自分の土地じゃないところのは格安で一部をポリゴン町から買っている。

 『うん、やっぱり甘い』

 『どれ?』

 『どれどれどれ』


 食べ物と分かったらみんな寄ってきた。

 『『『あまい』』』

 『おいしい』

 『これすき』


 『そりゃよかった、おかあさんにもたべてもらえよ』

 『うん、ありがと』

 『もっていく、ありがと』

 礼が言えていい子たちだぜ。


 周りを見渡すと、木々や足下の草などには花がちらちらと咲いている。


 俺はアナザーワールドに転移して、蜂蜜の巣箱を一組持ち出す。

 『どうしたの?王子』

 女王蜂(クインビー)がついてきた。

 『ちょっとここの、林のような河に置くから、時々様子見てくれる?』

 『あらここね。前に大きな巣があったのよ』

 『へえ。もし肉食の地竜が多いようなら討伐するからさ。教えてね』

 『わかったわ』 


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