126【女優は楽な仕事じゃねえ】
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「私は普段はもっと軽いし、これでもそれ用の魔法薬を作ることもできるんだけど、今回はそれも効かないのよ。こんなきついのはすごく久しぶり」
“キュアちゃんどうなの?”
“けがやびょうきじゃないのよ”
「レバーとか食べたところで気休めなのよね」
「そうなんですね」
女性は大変だ。男なら困った女性をみたら助けなくちゃね。
トルネキ王国の王都の一つ手前の街、レオナルド公爵領についた俺達。ここで三泊して、二公演することになっている。
今回は三泊だから、いつものように冒険者ギルドに泊まるのかと思いきや、公爵直営のホテルに行くんだって。今回はそのホテルに併設されているホールで公演することになっているからだそうだ。シュバイツがいるからってことでなくてよかった。
ホテルにチェックインしたら、ロムドム団には三部屋をあてがわれていた。女性の部屋、男性の部屋、そして俺とマツだけに一部屋もらった。なんかすみません。
それにさすが公爵直営のホテルだぜ、部屋に備え付けられていたのは浴槽のある風呂があった。ので旅の汚れを落としてから、座長の部屋に集合した。
タランティーナさんは、座長のベッドで横になってミーティングに参加だ。
「早速明日の昼公演なんだが。もう前売り券が履けていて、中止ができない状態だ」
なんと・・・
今回の演目では、タランティーナさんは、一人で三人の女神の役をこなすメインの女優だ。
それがいないとなると・・・。
「カランさんは?代役できないの?」
「僕ができると思ってるの?」
リカオン族のカランさんは女性だしね。まあ体形は子供?背は俺より高いけど百四十五センチってところか。耳が大きいからそれ込みだけどね。中学生の女子みたいなサイズだな。
「上げ底の靴を履くとか・・・」
「いや、前にチャレンジしたことがあるんだが・・・」
金狼族のしかもAランクのアヌビリさんが、恐ろしい体験を思い出したように震えながら言う。
「ブーイングがひどくて、トマトや生卵が飛んできた」
「ひっ」
マツが怖がって俺に引っ付いてきた。
「もうぐしゃぐしゃだったぜ」
それは怖い。
「なあ、シュンスケ、ハロルド様じゃなくて、女神さまに変身できないか!」
ビャオさんが冗談っぽく言う。
ポン
思わず手を打った。
でもなー、タランティーナさんのセリフが一番多いんだぜ。三役だし。
久しぶりすぎて少し感覚を忘れがちだけど、ベッドで寝てるタランティーナさんを見てから目を閉じる。っていうより、叔母さんたちを思い出した方がいいか。
金髪や青い髪は難しいけど、黒髪なら。前にカーリンを助けた時そうしたし。
俺は大地の女神のアティママ神を思い出して、変身すると、立ち上がってみる。
黒目で髪は腰ぐらいで許してください。
「こんなもの?・・・かえ?」
女神さま風に語尾をくっつける。
「うわーびじーん。ちょっとにてるー」
マツが手をたたく。
「おおっすげーって。それはやべー」
ビャオさんが自分の顔を覆う。
「え?なんかおかしい?」
思わずアイテムボックスから姿見を出して壁に立てかけてみる。
「あ、ほんとだやばいね」
風呂上がりだったから、白いティーシャツとそのまま寝られるような紐でくくるタイプの短いパンツ。
サイズ調整の付与がしてなかったから、胸がパツパツで、裾がちんちくりんになって、ちょっとおへそが出てるかも。お尻も女性らしくバーンとなっていた。
おお、我ながら色っぽいんじゃないか?いつも和装のアティママ神の胸は分かんないけどさ。髪型は似せられた!伸ばすだけでよし。
前は制服着たままだったから、ヌードも見たことないしね。
思わず襟を持って覗いてみる。おおっ初めて見た俺のおっぱい!
たしかにノーブラだからやばいっす。
好奇心に逆らわずに下も引っ張って、上からチラリと除く。俺のムスコはどこにいったんだろう。
一通り確認してからTシャツの上から腕を組んで。みんなの方を振り向く。
「どう?」
「「採用に決まってる」でしょ!」
「おうじ、それでめのまわりをおけしょうしたら、そっくりじゃない?」
「そう?」
「うん」
「まあ、衣裳が全然違うけどな。あ、風の女神の服ならある」
そう言っておれはアイテムボックスの向こうに放り込んでいる母さんのウエストポーチから、以前カーリンにも貸したワンピースとストールを出す。それを、Tシャツ短パンの上に着て見て、姿見を見る。
「あ、髪色が・・・」
黒より近いかと緑銀色にしてみたけど・・・違うな。
でもワンピースは入る。
「とりあえず風の女神の服は着てみたけど。髪色がこれか黒しか変えられない」
「それは、カツラがあるわよ」
そりゃそうか。
「まじか、本当に教会の女神の衣裳とデザインが一緒。なぜその服を持ってるんだ」
「それはこの、ウエストポーチの・・」
「いつもシュンスケが持ってるマジックバッグ?」
「これは母さんのウエストポーチで、たまたま母さんの服が入ったままになってたんだよね。母さんのこの服がたまたま風の女神さまと同じ服だったんだよ」
と偶然を強調する。
「なるほど」
嘘は言ってない。よ
「よし、シュンスケ戻ってくれ」
「?わかった、アヌビリさん」
いつもの姿に戻ってワンピースを瞬時にアイテムボックスにしまう。
「・・・鼻血出るかと思った」
「そんなに?かわいかった?」
「お前もともと整った顔立ちなんだから、可愛いというより美人だったぜー」
「有難うございます」
「ふふ、さすがおうじ」
「それより衣裳のこと教えてくれ。なんで違うってわかるんだ」
「なんでって」
「それはねあたしたち、カウベルドで、みずとだいちのめがみさま、みたもん」(そのまえもみたけどね)コソッ
素直な猫むすめは簡単にばらす。
「奇跡があったってあっちの司祭やギルマスが言ってましたしねえ」
「まあ、だからって明日の昼に間に合わせるのは無理でしょ?別に衣裳は実物と違ってても教会のお姿に準じていたらいいんじゃないですか?」
「そうだな」
「そんなことより」
カランさんがすっくと立って
「そうと決まれば時間ないよ、シュンスケ!」
俺に詰め寄る。
「タランティーナの衣裳を女のシュンスケが着れるように微調整したら、キミはセリフの暗記!」
「は、はいっ!」
彼女の迫力に負けてつい返事をする。おかしいな、俺はAランクなんですけど。
「というわけで、シュンスケは今から女子部屋で特訓よ」
「げ!」
「ふふふ、シュンスケ君おねがいね」
ベッドから起き上がろうとする辛そうなタランティーナさんをみたら
「はい」っていうしかないけどさ。
マツと共に女子部屋に連れていかれた俺は、また女性の姿に変身した後、未使用だからと渡されたタランティーナさんの下着を着て、上から女神さまの衣裳を着せられる。
「ちょっと、胸、もう少し大きくならない?」
え?これでもカーリンに大きいと言われたんだけど!
「さすがにそんな微調整はできないです。年齢の変更は出来るんですけど」
先輩のお胸の方が少し大きかった!でも
「大丈夫よ、コルセットで締め上げたら胸は作れる!」
と恐ろしいことを言ったカランさんにウエストをぎゅうぎゅう絞められて、脇から手を突っ込まれて腹や背中の少ない肉が胸に寄った。
「ぐえ。おお、バストアップした」
「でしょ!」
「じゃあ、そのままセリフの練習をしましょうか」
「こんなに絞められたままじゃ、声なんかちゃんと出ないよう」
「本番はその恰好なんだから出すのよ」
「はい」
「わーめがみさまたいへん」
とか言いながら、マツがニコニコと俺のしごかれるのを見ている。
“ほんと!”
“すてき!”
“めがみさまたちに、みせたいぜ”
“やめてよね、君達!”
そして、セリフはともかく、もっと大変なことが分かった。
それは所作だ。
女性らしい歩き方、仕草、例えば座るときとか、俺はもともと、電車のおっさんみたいに膝を広げて座るタイプじゃないけどさ、ピッタリくっつけて座ったりしてないもんな。結構筋肉使うぜ。それから手!
優雅に指先を伸ばして動かすのは難しい!
「そうじゃない!脇を締めるの」
「はい!」
「手に集中してると膝が開いてる!」
「はいー!」
晩御飯もルームサービスで台本片手に食べさせられた。
そうして特訓を続けて気付けば時計がもう二十一時になっていた。
「・・・もうむり」
疲れきっていても、変身が解けないのはいいんだけどさ。
「おつかれさま」
へたばった俺の頭をマツがなでてくれる。
何よりのご褒美だぜ。
翌日も、朝からカランさんに部屋に突撃されて、女子部屋に連れていかれる。
カランさん、朝弱かったのでは?
「シュンスケ君、今日は公演は昼からだけど、朝から一日中女子をしようか」
「えー」
「夕べだけでは足りない」
「うう」
「それに、お客さんにはもうお金もらってるからね」
「・・・はい」
服の下はフルで整えられて、上からタランティ-ナさんの普段着のワンピースを借りる。
脚がすーすーする。それにタランティーナさん普段こんなひざ丈のスカートはいてないじゃん!足首まで裾のある服なのに、なんで俺が着るスカートは短いんだよ!って俺の気持ちに追い打ちをかけるように次のアイテムを出される。
「そしてこれ」
ひい
五センチほどだけどさ、踵のある靴を出される。
「サイズ調整付与してるから履けるよ」
と言われて、足を突っ込むも
「履けたけど・・・ヨロヨロする」
「五センチの踵ぐらいでふらふらしない!」
「えー」
叔母さんたちハイヒール履いてたっけ?水の女神は確か裸足で宙を浮いてたような・・・。
それにしてもカランさん、可愛い顔してホントスパルタおばさんなんだから!
「じゃあ、行こうか、朝ごはん」
「はい」
「タランティーナはどう?」
「ごめん、今日も無理かも」
「そっか後で何か持ってくるわ。きょうはゆっくり寝ときなさい」
「うん、ゴメンネ。シュンスケ君も」
「いいえ、タランティーナ先輩のためですから」
弱ってる女性には、弱いよ俺。
「ふふそうね、後輩だったわね私の」
「はい」
お待たせしました!駿ちゃん女体化再びです~。しかも続く。
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