119【セントブラックライトセイバー】
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俺は圧倒的な量の浄化の魔法をまき散らしながら、地下の広場を暴れる。
≪コノ、インチキ精霊メ≫
「こっちこそ、そんな汚れた妖精が信じられないぜ」
≪ナンダトー、コノヤロウ≫
黄土色のやつが振りかぶってきたから。おれは手に持ったサイリウムを利用した光る棒でそいつをぶっ叩く。ある程度加減しておりますよ。殺ってしまっていいかどうかわからないからね。
ところが、薄汚い(言ってしまった)色の妖精たちに。浄化をぶつけるとあら不思議、お友達の精霊ちゃんのようにきれいになっていく。ぶっ叩かれた子はちょっと気絶しているけどね。
ドラム缶の大きさの広場を埋め尽くしていた子がきれいになってしまうと、そこへ上で待っていた精霊ちゃんが下りてきてくれた。
“おうじー”
「お、降りてこれたか!」
“おうじ、のーむをいれたのより、すごくひろいへやだせる?”
紫色ちゃんのリクエスト。
「もちろん!」
そういって俺は広場の横にまたスマホサイズだけど今度は二重の扉を付ける。
中は人間用の六畳間ぐらいの広さにする。水回りと窓はない。出入口以外は密室だな。
“ありがとう!”
“ここに、かいしゅうしていくー”
「え?妖精を?」
“うん”
「そうだね、ききたいこともあるしな」
浄化は終わったけど時々抵抗するおっさん妖精には、精霊ちゃんが五人がかりで二重扉に押し込んでいく。
二重扉にしておくと、入りやすいけど出にくくなるからな。
精霊と妖精が入り乱れているすごい光景だ。
「怪我すんなよ!」
“だいじょぶー”
“わたしたちのほうがつよい”
“おうじのおかげでね”
≪ギャー、触ルナ―≫
“じゃあじぶんで、はいってよ”
≪ナンダトー≫
「ほんと可愛くない」
“ですよねー”
ある程度回収していくと、たぶん東側?にまた横穴が出現した。俺は聖属性をまとったブラックライトの棒を振り回しながら進む。
横穴にも、妖精がいっぱいいたんだ。
ねえ、だから妖精って精霊と同じで奇麗な所に居るんじゃないの?
こいつらは汚いところ専用の妖精か?
だって、時々また茶色や黒いあいつらもカサカサカサって出てくるんだぜ。
そっちは容赦なく討伐を。しかもまた死骸は消えるから、まだここはダンジョンなんだ。
するとまたもや広場に出た。
「また、鼠かよ、しかも何匹いるんだ」
「白色くーん」
“はーい。きょうはおれさまいそがしー”
と言いながら生き生きと活躍する元気な男の子タイプの精霊ちゃん。
ビカー
閃光で十匹ぐらいいた鼠が一気に動きを止める。そこへ俺が魔法のビームを、棒から打ち出す。指と入れ替えるのが面倒だったからそのままいった。派手な魔法の杖だな。
たくさんのネズミの魔物が消えて、カラカラと魔石が落ちていく。
その先にまた汚れた妖精たち。
さっきのよりなんだか、さらに黒っぽくなっていってる。
俺は念入りにぶっ叩きながら浄化しては精霊ちゃんに回収をしてもらった。
初めに出してあったアナザールームの扉も近くに移動済みです。
そしてその先に黒いチューブから出した絵の具のようなどろりとしたものが広がってそこから今度は小さい…あれは見たことがある。思わず鑑定するとやっぱり、病瘡妖精種だ!女悪魔が出していたやつと同じだ。
「みんな下がれ。あいつ等はやばい」
ただ、病原菌の向こうがすごく明るくなっている。
ゴールはもうすぐなのか?
俺は病原菌たちが流れて広がってしまわないように、奥の方に魔法を転移させながら展開する。そして手前からも挟み撃ちにして浄化していく。
すると、黒いあいつらは泡立つように消えていく。
浄化された先を自分自身も紫外線を発しながら光りながら進む。隣には同じように青白く光る白色くん。
俺が同じ大きさだから、バディのような感じだな。それに、俺の動きを読んで次にどうしたいのかもわかってくれる。
“おうじ、さきにおれがみてくる”
「え?赤色くん」
“あたしも、あいずしたらくるんだよ”
黄色ちゃんも俺の大事な友達だ。
「気を付けろよ」
“もちろん”
“だいじょぶ”
たぶん、横向きのスリットのような隙間が広がっているんだと思う、その向こうには広い空間がありそうだ。ここは狭すぎて、スマホを出せないから、位置情報がわからない。真上はいったいどこなのだろうか。
“きゃー”
“ごめんおうじ、あれはむり”
先に覗きに行った二人が帰ってきた。
黄色ちゃんが俺に抱き着いてぶるぶる震えていた。
さっきのノームみたいに。
その背中をポンポンと叩いてやる。
お、これは俺が小さくなってないとできないことだな。
「どうした」
“またでた”
“あれはむり”
“あくまのけはいがある”
紫色ちゃんも行ってたのね。
だからって俺が逃げるのは違うので、見に行く。
・・・あれはゴブリン?
スリットの先にあったのは普通の空間だった。だが物置のようだ。
そこには真っ黒なゴブリンがいた。異世界ではおなじみのゴブリン。しかし俺は初めて見た。この世界にいることも知らなかったし。それに、アニメや母さんが持ってたコミックのカラーに出てきたのはもう少し緑色というか、黒ではないな。
こっちから見ると横を向いて前かがみの状態で立っていた。立ってるだけなのにゼーゼー言ってる。どこかで走ってたのか?たしかに向こう側に通路のようなものはある。
鑑定してみる。
〈ゴブリン 知性低 デモンサージェントMの配下〉
うーん、配下か・・・こいつをやっつけたら上にばれる?
詳しい状態が出てこない。
足元にはさっきの黒絵の具状の病原菌がたまっている。
このゴブリンも全身濡れているのかテラテラしている。
こっちを見た。真っ黒な全身に、白目がギラりでもあれ?普通に黒目だな。
魔物とか・・・ムーシュとかもそうだったけど、悪意しかない奴は目が赤い。
おれは静かに紫外線を飛ばしながらゴブリンの足元で浄化魔法を飛ばす。
本当の紫外線は人間には見えない。このゴブリンはどうだろうか。
すると、足元の病原菌だまりは消えていった。
ゴブリンの表面の色も少し変わってきた。黒いテラテラがなくなって、オリーブ色のようになってきた。首に真っ黒なチョーカーのようなものと、裸に腰の周りだけなんか履いている。手には一メートルの棒を持っている。この狭い空間では使いにくそうな武器だ。
「緑色ちゃん、大地の女神さまのところにいる、ムーシュに聞けないかな?」
「そう、何者か」
"きいてもらってきたわ”
「はやっ」
“デモンサージェントエム”
“はいかは十にんぐらいしかもてなくて、さいしょうたんいのおさ”
なるほど御大層な名前の割にたいしたことないな。
そいつらをまた束ねるやつがいるってことだな。
会社組織でいえば、主任とか?社会人になったことないから小説でしか知らんけど。
Mまでたどり着くことは考えずに、おれは、この先にいる別の気配を何とかしたい。
足元が綺麗になったゴブリンがきょろきょろし始めた。
俺は隙間から飛び出して、六才児の体に戻りながらゴブリンを後ろから拘束しに行く。
六才児の俺より少し背が高いゴブリンだった。
≪ナンダナンダ≫
“静かにしろ、この念話聞こえるか?”
頷いて、持っていた棒を手放す。
俺は長い結束バンドを出してゴブリンの手首を後ろ手に縛る。結束バンドの先っちょを入れてくれたのは赤色君だけどな。
“これは、おれでもできるおおきさだな”
“でしょ。おい、暴れると手首がちぎれちゃうからな!”
よく見るとゴブリンはオリーブ色にはなっているがところどころ爛れている。
もしかして、感染しているのじゃないのか?
おでこに手を当てると熱い。
ゴブリンの平熱なんて知らないけどな。
俺はゴブリンに治療魔法を発動しながら、紙コップに魔法で水を入れてやる。
両手を縛っちゃったから飲ませてあげなくちゃいけなかったけど。
“オイシイ水、モット欲シイ”
“ほいどうぞ”
“アリガトウ”
なんだこいつ、やけに素直だ。
“後で聞きたいことあるから、ここに入ってて”
と新たな新たなアナザールームを開ける。
悪いけど窓無しだ。
ゴブリンは簡単に頷くとそこへ素直に入っていく。
扉を閉めたとたんゴブリンの方からブチンという音がした。
なんだ?
もう一度扉を開けてそいつを見ると
〈デモンサージェントMの配下〉が無くなって、ただの〈ゴブリン〉になっていた。
やばい、ばれるか。そして黒かった首のチョーカーが緑銀色に変わっていた。
「ごめん、いきなり拘束して」
風魔法ですぐに結束バンドをはずす。
悪魔の配下じゃなかったら大丈夫だよね。
「イヤ、助カッタ」
俺はカット林檎をアイテムボックスから取り出し、ゴブリンに出す。
「君は、病気になってたから、しばらくここで寝てて。ここに紙コップと水さしもおいておくから。」
「ウン。アリガト。アナタハ?」
「俺は駿介だ」
「シュンスケさん」
知性低くないじゃん。なんだよ。
デモンサージェントってやつがこいつのステータスを変えていたのか?
「・・・デモ、デモ、ジブンハ仲間ヲ助ケタイ、コノ先二捕マッテテ、人ノ子モタクサン、イル」
「なんだって!わかった。サンキュ」
「エムッテ悪魔ガ、俺達ゴブリンヲ操ッテ、人ノ子ヲ連レテ来ルヨウニ・・・ウウ」
「わかった、俺が見て来るから、とりあえず君は寝てて」
「ウン」
“おい、おまえ、ねころぶまえに、しゃわーあびろ”
“そうそう、おうじはふけつは、きらいなんだから”
頼んだよ赤色くんと青色ちゃん
アナザールームを後にして俺は地下のダンジョンへ戻る。
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