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118【三寸法師、参る】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 「くっさ」

 教会の地下ダンジョンに飛び込んだ俺は、早速、下水臭さにやられそうになる。

 “殺菌する?”

 白色くんの提案も

「慣れると思うから我慢しようか・・・いや殺菌しよう!」

 鑑定すると、瘴気が含まれた空気だった。瘴気は伝染病のもとが含まれていたりするから、濃度が高いと危ないのだ。



 闇属性の紫色ちゃんは、陰から蔭へ通れるので、通気口がなくても空間があれば入れるそう。前にカーリンを助けた時と違って真下だと分かってたから入れたそうだ。

 その能力と緑色ちゃんのもつ葡萄の葉っぱに誘導されて、教会の地下にたどり着く。

 ちょうどロムドム団のユニコーンを入れていた、今は封鎖されている控室の地下だ。

 とはいえ、真っ暗すぎると俺には何も見えないし、殺菌も必要なので光属性の白色くんに、ブラックライトの処理をしてもらいながら進む。


 “そっちの方がキッチンの地下室なの”

 上の方が少し明るくて、何やら、樽などが収納されている。

 そことここを隔てる壁にはネズミが開けたような穴があってそこから覗く。

 こっち側はネズミの巣ということだな。にしては少し大きな空間だ。壁もタイルで張り巡らされている。人口の空間かな。

 某伯爵領にあったような牢屋とかがあるわけじゃないが、


 “くるぜ、おうじ”

 下の方から風の音が来ると思うと、何もなかった地面から、いきなり犬ぐらいあるような大きなねずみが現れる。

 自分が小さいから、バスケットボールサイズでも結構でかい。

 それに、こいつは魔力を帯びているし目が真っ赤に光っているので

「・・・魔物ってことだな」

 鑑定では〈アングララットディー〉地下ねずみの魔物ってことだな。まんまじゃん


 地下室のすぐ隣がこんな・・・ダンジョンだなんてやばくね?


 おれはピストルをイメージした人差し指と中指をそろえたチョキの手で、アングララットディーに水属性と風属性を針のように集約して圧力をあげたビームで脳天を一撃で倒す。何しろ小さいしね。大したことはないよ。

 すると、地上の魔物なら死体が転がるのに、何もなくなってしまった。珪素の粒のような魔石を残して。

 やっぱりダンジョンなんだ・・・でも、あんなのいらないよね。


 “おうじ、こっち”


 ネズミをやっつけた空間の横に穴がある。そこへ黄色ちゃんが誘導してくれる。


 溝か通気口かわからないけど、狭い四角いトンネルが続く。結構くねくねとカーブが多くて、下へ下へと降りていくのもわかる。

 まあ呼吸が苦しくなっているわけじゃないから大丈夫。それに、狭くても翅をパタパタさせて飛ぶことはできているから、三十センチ四方はあるだろう。


 カサカサカサカサカサ

「ひー」

 バシュッ バシュッ

「こいつ等には容赦しねえぜ」

 カサカサカサカサカサ

 バシュッ バシュッ バシュッ バシュッ バシュッ


 途中俺は、茶色や黒いあいつ達や、足が横にめちゃめちゃ並んだ虫どもと出会っていた。こいつらは魔物じゃなくても()るよね。それでも、ダンジョンだからか()られた奴らは消えていく。え?そしたらまた復活するんじゃないの?

 ま、まあ自分の家のキッチンじゃないからいいけど。


 四角だった穴が途中から土がむき出しの洞穴に代わってきた。しかし、ちょっと細くなっている。その先には毛むくじゃらのものが穴をふさいでいる。短いミミズが刺さってると思ったら・・・尻尾か。


 “もぐらの、まものよ”

「よし」

 バシュッ 


 ばたばたばた

 うぉー仕留められない。これは、モグラのお尻か。それは申し訳ない。基本一撃で仕留めなければ苦しめちゃうものな。

 俺は少し出力を上げる。とは言え、いつもの調子じゃ穴が崩れて埋まりかねないので、小動物用に調節しなきゃいけないんだけどね。


 キーンン バシューッ

 よし、お尻から脳天に届いたな。

 モグラが消えた!と思ったら今度はこっちを向いているモグラがもう一匹いた。

 モグラのくせに赤い目が光っている。

 バシュッ 

 まあ、こっちに頭があったら楽です。

 バシュッ

 タタタタ

 バシュッ・・・バシュッ・・・

 しばらくモグラが穴をふさぐように詰まっている。

 しかし、ダンジョンなので、仕留めたら消えていくから先に進めるんだ。


 蛇行した穴で十匹ぐらいのモグラを仕留めた先には大きな竪穴に飛び出してしまう。

 まあ、飛べるからなんて事はないけどね。下の方が明るい。


 “おうじ!したはだめよ”

 “うえにいって”

 へ?

「上には天井があるじゃん」

 “あいつらのせいで、さきにすすめなかったんだ”

「!。じゃあゆっくり降りようかな。みんなは待ってて」

 “おうじ、あいつらもまほうをつかうわよ”

 “きをつけて”


 そこはマンホールの蓋ほどの直系の竪穴で、底が光っている。

 その底にはうじゃうじゃと何かがいる。

 おれは、盾のかわりになりそうなものをアイテムボックスから探す。

 あ、これは?

 茶碗蒸しの蓋!


 それを両手に持って落ちていく。


 バンッ

 ミシッ バキッ


 陶器だもんな。無理か。

 割れた蓋を手から離してそのまま落としていく。

 陶器を投棄なんつって。


 パリーン 

 ≪ナニスンジャー≫

 ふざけてる場合じゃないね。


 俺はもう一度、高度を上げる。


 今度は小さめのツナ缶をだす。

 少し重いけど、小さくなったからって力が無くなったわけじゃないですよ。

 俺はツナ缶の重力に干渉して缶の上にしゃがんでゆっくり降りていく。


 バシッ

 今度は大丈夫そう。さすが日本の缶詰だぜ・

 バシッ バシッ


 ブシュッ

 あれ?ちょっと穴開いた?

 んじゃこっちにも穴開けて。

 俺は上にも小さな穴をあけると、下の穴からツナの汁と油が垂れていく。

「いい匂いだな。マヨネーズと和えておにぎりにしたいぜ」

 “あのおにぎりな、おれもすき♪”

 そういえば赤色くんにもあげたな。


 バシッ


 ボウッ


 下の子の魔法で火が出て、燃え広がる。

 ≪ウワー≫

 ≪キャー≫


 あれ?叫び声は下の子か?


 “ちょっと、おうじ!”

「え?なんか聞きなれない声が」


 ≪ギャー≫

 ≪ナンジャコリャー≫


「なにって、君たちが穴をあけて、それに火をつけたんでしょうが。

 もう、しょうがないなー」

 俺は液体せっけんを出して大量の水と一緒に下に向けて流す。


 バッシャーン

 ブクブクブクブク


 泡だらけのところにツナ缶を台にして着地した。泡って消火にいいんだよね。


 ・・・このツナ缶はもう食べられないよね。母さん、ごめんなさい。


 俺は今度は石鹸を洗い流すように静かに水を流そうとすると、

 “あたしがするから!”

 って上の方から青色ちゃんに言われた。

 俺からちょっと外れるようにジャーっと滝のような水が流れていく。

 排水する先があるんだね良かった、溜まらなくて。


 ≪ウワー≫

 ≪ナニスルンジャー≫


 きれいに掃除された明るい床の上にいたのは、沢山の三角帽をかぶった色とりどりの小人だった。それがあんなに泡や水を出したのに帽子をかぶったまま半分はへたばっていて、半分はこっちに向かってそれぞれ棒のようなものを構えている。


「あれ?ノーム」

 その中の一人、鮮やかな赤い三角帽の小人がこちらを向いて、一直線に駆けてきた。そして、俺の後ろに回って俺の背中に掴まるとぶるぶる震えている。


 俺の背中にいる小人は目深に帽子をかぶり、長い白い鬚をはやして、ピンク色の大きな鼻がひくひくしている。リーニング伯爵領の温泉で会った時と同じ、目が見当たらない。今日は赤い服を着ているけどな。クリスマスにこういう小人のオーナメントあるよな。


 ≪オマエ、ナニモノ≫

 ノームから視線を外して声の方を見る。

 パステルカラーや原色の精霊ちゃんや背中にいる真っ赤なノームと違って、くすんだ黄土色の服と三角帽の小人が話してくる。目はある。こっちもおっさんだ。

「ナニモノって、俺は精霊だよ?君は?」

 ≪セイレイ?にしては雑多な魔力属性ダナ≫

「そういう君は何属性なの?黄土色ってさ」

 ≪ワシ?オマエ二教エル義理ハナイ≫

「まあそうだよね」


 黄土色のほかには、臙脂色、くすんだ群青色、錆納戸色っていうかくすんだ緑色、そして灰色。

 お友達の精霊ちゃん達の色が暗くなった感じのバリエーションだ。

 そして、鑑定では、精霊ではなく妖精と出ている。小妖精だって。


「えー君たちって妖精?可愛くない。がっかり!」


 だって、まず顔が醜悪だ。なんというか、可愛くない。おっさん顔にしてももうちょっとねえ。ノームはおじいちゃんぽいけど、可愛いよ?


 ≪失礼ナ奴ダナオマエ≫

 そしてみんな手に槍や剣、棒などの武器を持っている。

 先日女悪魔が作った病原菌みたいだ。あれはもっと小さくてうじゃうじゃしていたけど、あれより大きい。今の俺ぐらい?


 “おうじ、ごめんなさい”

 上の方から紫色ちゃんが声をかけてくる・

「え?」

 “おれら、ここからそっちに、いけない”

「あらら。なるほど」

 “おれ、きたないのにがて”

「俺もだよ白色くん」


 ≪ナンダト≫


 妖精が汚いって何だろう。

 俺はもう一度、三角帽や下の方を全体的に鑑定すると、病原菌がこびりついた妖精だった。

「うわーないわー」


 さっき鑑定したけど、赤いノーム君には病原菌はくっついていなかった。

 俺はノームサイズのアナザールームを作り、スマホサイズのドアを出してそこに入ってもらう。

 “赤色くん付き合ってやって”

 “おっけー、おっさんこっちだよ、うわ、このへやいいね。おれようのあなざーるーむも、こんどつくってよ”

「わかった。要望リストおくれ」

 “うん”


 赤色くんのやり取りで少しほっこりしていると、


 シュン

 俺の頬を何かがかすめていく。

「なあに?」

 振り向くと臙脂色のおっさんが何かを投げたポーズだった。

 ≪クッ、ナゼ当タラナイ≫

「何を投げたか知らないけどね」

 俺は、地下に飛び込んだ時から、浄化魔法とブラックライトの効果を体に纏っている。

 瘴気漂うところに行くのだから当然だよね。それはきっと海竜の防御にさらに防御力を上げるのに役立っているはずだ。


 そのうえで俺は、サイリウムのスティックを出した。

 縁日で手に入れるようなもので、子供用の箸位の長さだ。それにバンと刺激を与えて光らせる。

 ≪ナンダナンダ≫

 光りだしたサイリウムにさらに聖属性魔法と紫外線の光を纏わせる。青白く光り、そしてキラキラしたラメが散っている。

 それを、刀のように両手で持って下段に構える。ちょっとグリップらへんが今の俺には太いけどまあ、振れるよ。


 目の前の相手は気持ち悪い妖精だけどな、宇宙人でも勝てる気がするぜ。

 あの黒いヘルメットの不気味な奴を思い出す。よくテレビでやってたSFの洋画だ。


「じゃあ、いくよ」

 俺は妖精たちに向かって駆けだす。


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