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113【旅の合間の登校日】

昨日のタイトル入れ忘れてましたね~


いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 スブルグ辺境伯領出発前日、俺は一度帝都の学園に出席することになっている。


 なのでマツを帝都のお屋敷に預ける。


 「わー、アリサお姉ちゃーん」

 「マツ。すっかり大きくなったわね」

 「あ、あれがうみ。すごーいひろーい」

 「初めてだっけ」

 「うん!」


 俺はウリサと、久しぶりに朝からでっかいお風呂に入る。

 「なんか色々暴れてるらしいな、まだ一カ月たってないのに」

 「ウリサ兄さん!俺が進んで暴れているわけじゃないですよ」

 「悪魔を捕まえるなんて、中々聞かないぜ」

 「うっ」

 「しかも、地竜を十頭も飼うなんて、さすがシュバイツ殿下だぜ」

 「ううっ」

 確かに俺のアナザーワールドは今、のどかでジュラシックな公園になってますよ。


 風呂から出た俺を、クリスがかいがいしくお世話してくれる。

 「やっとお世話できます~」

 いや、お世話してくれなくても自分で出来るんだけどなんて絶対口にしないよ。

 だからって、そんな気合い入れて編み込みしなくても・・・。いてて。


 今日の朝ごはんは、フルーツたっぷりのシリアル。

 スブルグ辺境伯領でシリアルだけ買い求めて、トッピングは侍女のミアに指示した。

 「へえー、お菓子みたいで美味しいですね」

 「ほんと、女子が好きそうな味ね」

 「ホテルのおへやで、おうじがフルーツをきってくれたの」

 いち早く食べたことのあるマツが自慢気に話す。

 「ウリサ兄さんには、物足りないだろうな。あんまり腹持ちは良くない」

 「なんだそりゃ、困るじゃん」

 「ふふふ、まあ、こんなものもあるってことです」


 「さあ、行くぞ」

 今日はウリサの馭者で、クリスと二人乗りの馬車で登校。

 「「行ってきまーす」」

 「「いってらっしゃい」」


 「よう、シュンスケ」

 「おはようございます、セイラード殿下」

 「なんか色々ありがとうな」

 成長著しい第二皇子を見上げる。更に身長差がついた。

 「何が?」

 「悪魔とか、ポイコローザ公国の地竜の件とか、スブルグ手前の川の橋の件とか」

 「ああ、川は冒険者の依頼なんだから、殿下達が気にすることじゃないですよ」

 「でも、それで、エリクサーを提供してくれたり、大勢を治療してくれたりとか」

 「それは、たまたま、俺が出来そうだからやっただけ。

 セイラード殿下だって、自分が出来ることなら、出し惜しみせず動くでしょ?」

 「まあそうだな」

 「それだけの事ですよ」

 「それだけって」

 「自分には怪我を治せるスキルがあってさ、目の前に怪我をして痛がってる人が居てさ、でも、お金くれないから治療しない、なんて俺には出来なくてさ。本当はホイホイやっちゃいけないってことも分かってるんだけどね」

 「そうだな。たしかに、目の前の人は助けたいな」

 「でしょ?それだけの事なんですよ(二回目)」


 そういう俺にハッとしてにらむ。

 「いや、そんなに簡単に言うけどな、お前の場合はスケールが違いすぎるのだ」

 ちっ

 ごまかされなかったぜ。


 「ま、そんなことより、教授にレポート出さなくちゃ」

 俺は魔法学部の教授の部屋の前の温室のテーブルの上に、旅行中の出来事を写真付きでまとめたものを、順序だてて揃えていく。


 「へえ、リザードマンの人ってなかなかカッコいいじゃない」

 あ、カーリン。

 「そうでしょ!鱗もキラキラ光ってて綺麗だしね、角とか尻尾もカッコいいぜ」

 「へえ」

 「あとね、競地竜ってレースがあってお金を賭けるんだってさ」

 「それはまた、大人っぽい遊びね」

 「でしょ、大人じゃないと出来ないんだけどね。カーリンはもう成人してるから大丈夫か」

 「っそんなある意味危険な遊びは、もっと冒険者とかで儲かってからだわ」

 「ははは、確かに」


 「あと、殿下にこれお土産忘れてた」

 「なんだ?ってこれは木くずのような?」

 「フリルフリルマッシュルームをドライにしたものなんだって」

 「ほう」

 「このままスープに入れて戻したり、水で戻してから炒め物にしたりするといいんだよ」

 「なるほど」

 「取り立てのフレッシュなやつも美味しいけど、こっちの方が濃い味が出てくるんだよ。キノコのうま味が凝縮されているって言うかね」

 「へえ、あ、レシピも入れてくれたのか」

 「まあ、書き出したのは俺だけどな」

 「よし、まずは私がどれか挑戦しようかな」

 火属性魔法を極めるためとはいえ、すっかり料理に嵌っている皇子様。

 俺も料理は好きだけどな。


 「おーい、シュンスケ」

 教授がお呼びだ。

 「はーい」

 「良い、儂がそちらへ行く」


 「レポートはの、合格じゃが、あれ見せてくれ」

 「あれ?」

 「アナザールームじゃ」

 「ああ、そうですね、じゃあ、実際出した二種類を」

 「アナザールーム?」

 「そうなんですよ殿下、結構使い勝手良くてね。まずは、悪魔を捕まえた時の、まあ牢屋にしていた奴」


 ガチャリ


 「ほう、牢屋にするにはシャワーやトイレをつけたのか?」

 「だって、どんなに凶悪な悪いやつでも、汚いままで自分の空間に入れときたくないですもん」

 「なるほど」

 「罰を与えるのは俺の仕事じゃないですしね」

 「ふむ、そうじゃの」


 「もう一つは、怪我や病気になった人を保護した部屋を」


 ガチャリ


 「よく似ているが・・・こちらは窓があるんだな」

 「ほんと、緑と、雪山が見えるわ」

 「ええ、良い風景は、心を落ち着かせるのに良いかと思って」

 「で、ここは何処の風景を模しているのじゃ?」

 「良い風景と言えばスイス・・・じゃなくて、ロードランダを参考に」

 「ふむふむ、あの山は普通の山みたいじゃが」

 「普通の山の絵ですよ」

 「絵でも、窓越しなら分からないわね」

 「でしょ?牢屋よりちょっと広いだけさ」


 「これは色々展開できそうじゃな」

 「ええ、後はこういう」

 ガチャリ

 少し広めの

 「音楽室?」

 「へえ、変わった・・・ピアノか?」

 「父さんにもらった、アップライトっていうピアノで室内用なんだけど、夜中でも思いっきり弾きたかったらここでね」

 「チェンバロもあるのね」

 「そうだな」

 「カラオケボ・・じゃなかった、歌も練習できるしね」


 「シュバイツ殿下はこういう陰ながらの努力で頑張ってるんだな」

 「それで、皆を癒すのね。ほろりと来ちゃうわ」

 「え?いや、まだ実際このアナザールームで練習したことはないよ。普通にお屋敷の自分の部屋にこれを出して弾いてるんだよ」

 「うんうん、すばらしい」


 なんか良いように想像してくれてるけどな。本当はもっと練習したいけど、実はあんまり時間に余裕がないぜ。


 「ははは、後はこういう」


 ガチャリ


 「お、これはキッチンか?」

 「うん、災害の時の炊き出しとかにさ、こういうのを出したら便利かなって」

 「あら、こっちに窓も付けるのね」

 「そう、カウンター式にして、調理台の窓の方から料理を提供したりしてね」

 「なるほど良く考えられてるのう」

 俺のアイデアではないよ。日本人のアイデアさ。

 「まあ、無理に空間魔法じゃなくってもね、こういう箱を何種類か用意しておいてさ、必要に応じて馬で曳けばいいのさ」

 「そうだな、それらのアイデアを私に売ってくれないか?帝国でもあちらこちらに用意したいな」

 「なるほど、いっぱい作っておいて、マジックバッグでギルドとかで備えるのもありだな」

 「だろ?」

 「箱だけなら、腕のいい木材店も紹介するぜ、ロードランダの店だけどな。アイデア料は要らないよ。別に俺のアイデアじゃないから」

 「そうなのか?」

 「俺の生まれ故郷にあったものだから」


 魔法の世界ならではの、災害対策のアイデアに気が付いたセイラードを友人として尊敬するぜ。後は、仮設住宅のアイデアを教えようかな。


 同級生と楽しい会話で、久しぶりの学生生活を堪能した一日だった。


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