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103【マツの晩餐デビュー】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

 食堂に着くと、ちゃんとマツ用に子供向けの座面の高い椅子が用意されていた。

「お嬢様はこちらへどうぞ」

 元々食堂にいたほかの侍従さんがマツをひょいと抱き上げて座らせている。


 俺はその隣の席でマツの反対側は、ワンピースドレスに着替えたアウラさん。こうしてみるとやっぱり貴族の令嬢という雰囲気がある。ギルマス状態とは全然違う。


「まあまあ、そちらのお嬢さんも大変可愛らしいですね」

 伯爵夫人はニコニコとしている。

「ありがとございましゅ」

「へえ、猫人族だったんだ」

 アウラさんもマツの話題を。話し方はギルマス状態だった。

「ええ、今回ポリゴン町の孤児院から初めて出てきた子なんです。ちょっとでも身の安全のために、ドミニク卿に魔道具を借りていたのです」

「そうだな、いくらAランクの殿下と歩いていても、二人ともひょいっと持って行かれてしまうな。人間族の姿のままでもやばいが、今の姿のままではなおさらだ」


 コトリ


 目の前に置かれた料理は、ボア肉のシチュー。

 ホロホロになるほど煮込まれていて、マツも上手にカトラリーで切って食べれている。

 孤児院とは全然ちがう美味しいご馳走にニコニコを何とか抑えて、頑張っておすましで食べている様子が分かってしまう。うん、可愛い。


 同じテーブルでは、別メニューでバーデスさんが食事中だがこちらを向く。

「Aランクなのですか?シュバイツ殿下は」

 すこし驚いた様子でアウラさんの話を引き継ぐ。

「たまたまですよ」

「たまたまで、あのずっと張り出されていた、クラーケンを一人で倒せるかよ。ちゃんと実力があるんでしょ」

 アウラさんがそう言ってくれるけどさ、

 だってねー俺にはなんだかいろいろ底上げされてる加護とかあるからさ。


「しゅばいちゅおうじは、ふつうの人じゃないから」

 これ、マツ。

「まあ、そうですよね、今もなんだかうっすらと光ってますもの」

 伯爵夫人はなんかよく俺に向けられる視線を送る。


 やっぱり・・・引っ込まないんだよね。翅が出てると光ってるのが。


「特に翅が美しいな」

 伯爵も褒めて下さる。


「ところで、このマツの事なんですけど」

「はい」

「ケティーという家名のお嬢さんらしいのです。猫人族系の」

「まあ」

「今回、それを探しに行くのも旅の目的の一つで」

「なるほどな、それで連れてるのか」

「ええ」

「伯爵は東の方のお国と交流があるとか、なにか情報がありませんか?」

「ああ、とは言えトルネキ王国ぐらいまでだな。猫人族の貴族は残念ながら聞いたことはないな。北側のヴァルカーン王国はまた違う種族だしな」


「僕がトルネキ王国に留学したときに図書館で確か、もっと内陸の砂漠の方に、ペルシアンという幻と言われる王国があって、そこには確か妖精の血を引く部族が・・・」

 バーデスさんもトルネキ王国に留学した経歴をお持ちなのか。


「ああ、それは聞いたことはあるなケットシーの血筋とか・・・」

「!本当ですか」

 ケットシーといえば、異世界もので良く出てくる可愛いネコちゃん姿の妖精。

 でも、マツの鑑定にはケットシーは出てこないんだけどなぁ。ミックスの先かな。

「ありがとうございます。ひとつ手がかりになりそうです」

「架空の物語の中だけだと思ってたがな。私の方でも他に情報があるか気にしておこう」

「ぜひ、もし何かありましたら、ポリゴン町のドミニク卿へ連絡を」

「心得た。手紙の魔道具で知らせておこう」


 手がかりを得た喜びと、マツとの旅は意外と長いかもとの不安で複雑な気持ちのまま食事を終える。


「おうじ?まちゅといくのこまる?」

 デザートに出たケーキをほおばりながら首をかしげる猫耳。

「困るというか、気を引き締めなくちゃと思ってね」

「きを?ひきしめ?」

「マツは可愛いからさ、くれぐれも連れていかれないようにしなくちゃと思って」

「まちゅかわいい?」

「可愛いよ」

 おれは行儀悪いかもと思いながらも、ケーキを小さくして、お世話になってる精霊たちにやる。

「この一角はやばいな」

「かわいいわねぇ」

 おや、精霊ちゃん達お見えになりますか?

「ほんとうだよ、僕ももう少し腕に覚えがあればついていきたいよ」

「兄さんは、健康になったら父上と引継ぎでしょ?」

 アウラさんが兄の夢をぶった切る。

「引継ぎ?」

 まだ伯爵は若そうだけど。

「ああ、母さんの実家で隠居をするらしい」

 そうなんですね。

「もう、父さんも母さんも隠居隠居って」


「私はラーズベルト領近くの農地を抱える貴族の出なの」

「ラズラン領もいいところだが、晩年は湖と世界樹の見えるところで過ごしたくてね」


「なるほど、あれは素晴らしい景色ですもんね」

 ラーズベルト辺境伯領のテラスからの景色を思い出す。


「でも、そこに行っても今は殿下やハロルド様はいらっしゃらないんですよね」

「ちょくちょく帰る予定はしているんですけどね。いまは、ユグドラシルもいるし、湖には女神様たちも時々いらっしゃいますよ」

「まあ、それはいいわね」

「隠居が楽しみだ」


 楽しくていい家族だな。

「その前に、バーデスの結婚だね。バーデスが病気になってても他の縁談を断って、待っててくれるお嬢さんがいるんだよ」

 アウラさんが俺にばらす。

「ちょっと、アウラ、ここでいう事じゃないでしょ?」

「いいじゃないか、良いことなんだから」


「じゃあ、ちょっと気が早いかもしれないけどこれを」

 俺から二つのストラップをプレゼント、ドミニク卿にも渡した俺の髪のお守りを一組。

「これは?」

 自分の前髪をつまみながら、

「この髪の毛とペガコーン(ハロルド)の尻尾で出来ているんです。たしか学園の先生(魔女)によると、軽い病気ぐらいなら跳ね除けてくれるそうで」

 蚊よけ?とか除菌グッズみたいだな。


「なんと素晴らしい。これで僕は改めてプロポーズをしてくるよ」

「がんばってくださいね。その前にもう少し療養を」

「ああ、ありがとうございます」


 カタリと音がして振り向くと

「マツはもう限界かな」

「あらあら、初めての遠出と言ってらっしゃったものね」


 俺は少しパタパタしながらマツを席から抱き上げる。

「わあ、その翅は本当に飛べるんだな」

「ええ、結構便利なんですよ」

「精霊の翅を便利て・・・」


「では、俺たちはこれで失礼します」

「はい、今日はありがとうございました」


 廊下に出ると、侍従長さんが声を掛けてくれる。

「お嬢さんは私が運びましょうか」

「いえ、大丈夫ですよ。子猫は軽いのです」


 チッ


 舌打ち?

 抱っこしたかったのかな?

 でもごめんね、何かあっては困るから渡せないんだよ。


 寝室に入り、マツをベットに寝かせる。

「服どうしよう」

 “あたしが脱がしてあげる、ボレロと スカートだけでいいでしょ?”

「うん、ありがとう緑色ちゃん」

 手を回してホックだけ外しておく。


 そして、俺も服を脱いでパジャマになり、口をゆすぎに洗面へ。

 こういう時、世のお母さん方は子供の歯磨きどうするんだろう。


 ベッドに戻りながらさっきの侍従長の舌打ちを思い出し、マツと寝ることにした。

 もし、俺が熟睡しちゃって隣のベッドで何かあっては困るしね。

 口を開けて寝てる子猫に浄化魔法をかける。歯磨き代わりに。そして口を閉じさせる。

 鼻呼吸の方が良いんだよ。


 上掛けをかけて、俺も潜り込む。

「うにゃ、おうじ、いいにおい」

「マツだって、今日は疲れたね。お休み」

「おやすみなしゃい」


お星さま★お願いします♪

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