98【南国スイーツにチャレンジ】
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今日はまたクリスとラーズベルト辺境伯領の冒険者ギルドへ、ゴードンとインテルのドワーフ兄弟を訪ねに行った。
「おや、シュバイツ殿下、よく来たな」
「お前さん達の軽鎧の鱗加工できてるぜ」
「ふわあ、すごい綺麗ですね」
キャメル色だった革の軽鎧が、モササの虹色に輝く紺色に変わっていた。
持ち上げてみてもそんなに重くなったわけじゃない。
「スゲー」
「これなら、多分ヒヒイロカネぐらいの防御機能あるだろう」
「それはかなり固かったのでは?」
「いや、これはな、そのままではこういう金属用の鋏で切れる」
と言って、余った鱗の端を、園芸の剪定用の鋏のほうなもので一寸切ってみる。
「ほうほう」
「しかし、こうして」
と言って、鱗を掴んでいた方を手袋を外して素手で掴みなおすと、しゅるりと手の魔力がほんの少し鱗にまとわりついていく、そうしてまた鋏で切ろうとすると、
ガリッ
「ほれ、刃こぼれがこっちに」
「本当ですね」
「この鋏はダイヤモンドの鋏だってのによ」
「すごい」
いわば、魔道具鎧だなうん。
「だから、これを着る時は、出来たら素肌に直接来て、防寒にはその上から服を着る。一応空調の効果は付与してるけどよ、面積が狭いから」
「そうですね」
「とりあえず着てみろよ」
「そのまえに、あれも付与しなくちゃ」
「サイズ調整の機能ですね、強力な方の」
クリスが言う
「あん?強力?」
「はい。とりあえずそれの魔法陣を敷いて」
いつも服にするのと同じ魔法陣を取り出して、その上に鎧セットを置いて、加工を。
「出来たね」
「僕のもですか?」
「まあ、俺よりは早く成長するだろう?」
「そうですけど」
「じゃあ、ちょっと来てみろよ」
では、失礼して・・・寒いけどパンツ一丁に軽鎧を上から着る。
「どう?」
「似合ってます、すごくかわいいですよ」
「鎧着ているのに可愛いって・・・。クリスとお揃いだよ!」
「そうですね。それから、あれを」
「そうだな、久しぶりに。キャンセル」
と言って精霊状態に戻る。
「おお、翅がちゃんと鎧の外に現れるんだ」
「そうですね。そのうえで~えいっ」
「あれ?シュバイツ殿下どこに行った?」
「おーい」
そっくりドワーフ兄弟がきょろきょろしている。
「ここですよ」
クリスの手の上に座っている。
「ちゃんと小さくなったな」
「ええ、全部くっついています」
そ、ウエストポーチも小さくなるんだよね。
隣には赤色くんが並んでいる。
「おお、本当に火の精霊と同じ大きさになっとる」
「王子、いつも小さいのにさらに小さくなってどうするんだ」
「インテルさん、酷いですよー」
っていいながらクリスも笑うな。
“おうじ、めっちゃかっこいいじゃん”
“だろー、モササ色の鎧だぜ”
“しゅばいちゅ、あおくてすてき”
キュアちゃんに良いねいただきました♪
今日も精霊たちにモテモテです。
「さてと、ホントにありがとう」
「良いってことよ」
元の大きさになって工房でお茶にする。
クリスが自分のマジックバッグから出した茶器セットに、魔法で出した熱湯を入れて皆に出している。お茶請けはうるち米で作ったしょうゆせんべい。
「これは?いい香りじゃな」
「これはバンチャですって」
「へえ。このしょっぱい菓子も良いな」
ドワーフにこの組み合わせは似合いすぎだぜ。
「さて、もう一つお願いがあってね」
「なんじゃ?」
「言ってみ?」
「あの人形焼きの鋳物の型の図面ある?」
畳を仕入れた時に、南国の水上マーケットや自分の島で採れたフルーツや実りを沢山持って帰ってきていた。こういうものを、違う陸地に持ち込むときは、しっかり鑑定して、小虫や大陸にない菌が入って来ないようにすることが大事で、俺はいつも、俵で仕入れている米や豆類も、一度アナザーワールドで広げて、浄化魔法をかけてから、大陸のお屋敷に持ち込んでいる。大事なことだよね。
そうして俺は今回、カカオの実を大量に仕入れてきた!
精霊ちゃんからリクエストがあったんだよね、赤色君からチョコバナナ。うん。スフィンクスに聞いたんだって。余計なことを・・・でも俺も食いたいからさ。手持ちに日本製のものも沢山あるけどさ、どうせならと思ってた。
ガスマニアにはまだチョコレートが出回ってなかったんだ。カカオはお菓子じゃなくて薬としては出てたけど。
で、一発目は俺がアナザーワールドで作りました。
風魔法とか闇魔法とかを使いまくりで、ひーひーいいながら。もちろん、スマホやパソコンのインターネット先生に大変だというのを知りながらも。だって、食べたいしね~。
テンパリングとかも精霊ちゃんに協力して、したんだけど、一回目は失敗さ。
それで、ウエストポーチに入っていた秘蔵の板チョコを何枚か出して、スフィンクスに食べてもらって、あとは丸投げしました!
「目指すのはそれで、ちょっと研究してて~」
必要なお砂糖やミルク、生クリームなどは俺が取り寄せた。お砂糖は、セイレンヌアイランドの方がお安いので、そちらから。乳製品はもちろん酪農王国であるロードランダ王国から。
「申し訳ないけど、宜しくね」
『わかりました。確かにこれは再現したいですね』
そうして待つこと一週間で連絡が。
『一度、見に来てほしいです』
「・・・スフィンクス、休みながら作った?」
そこにあるのは完ぺきなブラックからミルクまでのチョコレートたち。しかもちゃんとホワイトチョコレートのブロックも出来ていた。
『なんだか、夢中になってしまって』
スフィンクスは研究とかに向いているかも。
そういう人材いや精霊だったっけはありがたい。
「これって、何度も同じクオリティにできるの?」
『お任せください』
んじゃ、ちょっとチョコレート型の元を借りに行って来よう。
「ってわけで、人形焼きより小さいこのぐらいのえっと三センチ四方ぐらいの型を作ろうと思って」
「ほうほう。雌型はレジン(樹脂)で作るから、元のやつがいるんじゃな?」
「なるほどな―。そんなことならちょっと待ってろ」
そう言って、炉のある奥の方に行ってしまったお兄さんの方のゴードンさん。
「ほい、これはどうじゃ?」
「すごい!これ」
三種類ほどの大きさの人形焼きと同じデザインの雄型になる石膏みたいな素材で出来たもの。なんかでっかいラムネみたい。でも表面はかなり精巧です。
二センチ未満の小さいものもある。厚みは一センチぐらい。
「この小さいのは?」
「飴作るのに、作らされて。まださすがに許可は出ていないみたいだ」
「これならちょうどいいのでは?」
とクリスが一組、ピックアップする。
「そうですね。じゃあ」
小さな深さが三センチぐらいの平べったい枠を取り出す。
人形焼きが三センチぐらいにちっちゃくなった石膏たちを並べて、二種類の液を混ぜたシリコンモールドの液を入れていく。黄色ちゃんにお願いして気泡も抜いていく。
以前試行錯誤をしてシリコンモールドの原料まで作る事が出来ちゃったんだよね。
ネットの知識と錬金術の賜物だね。そして、闇魔法で時間を操作して・・・。闇魔法の時間操作は今のところ怖くて人ではしたことはないよ。
さて、固まったね。
ニチョって、変な音をさせて型を抜く。
そして、石膏の小さな型を慎重に外す。とは言えシリコンに弾力があるので、グイっとすれば大丈夫。
「うーん気泡とか入ってないから大丈夫かな?」
「って同じことを何度かやっといてもらえますか?」
「「おう、面白いな」」
二人のドワーフ兄弟がシリコン型を作っている。
その間におれは、アナザーワールドのスフィンクスに、テンパリング済みの熱いチョコレートを一番初めの型に流してもらう。
さてさて~
「おおおーっ」
「可愛いー」
人形焼きが縮小されたチョコレートが出来た!しかも、スポンジと違って、表情がちゃんと出ている。
「これはロードランダ王国のお貴族様の間で流行るんじゃねえか?」
「これが入る箱をね、考えてもらおうか」
「こういうのはアイラが得意そうですね」
「そうだね、犬人族の二人とポリゴンの皆に考えてもらおうかな」
「子供たちは食べすぎると眠れなくなるから注意だよ」
「わかりました」
「インテルさん、ゴードンさん」
「なんじゃ」
「これね、お酒にも合うらしい」
「確かにそうじゃな。俺たちドワーフが好む酒精の強い酒にきっと合うぜ」
「んじゃさっそく飲むかね」
「飲もうぜ」
「夜まで待ってくださいよ。まだギルドのショップは開いてるんでしょ」
「ちぇ、まあな」
「いくつかチョコレートの試作品、置いておきますから」
と、割れた板チョコが入った小さな木箱を置く
「「サンキュ」」
後日、出来上がったパッケージに入れたチョコレートを、父さんに献上して、シュバイツ印の商品が一種類生まれた。
一番高級志向なのは、金紙で包んだ大金貨チョコレート。父さんの横顔レリーフの。
でも、単価は大鉄貨(五百円)なので、みんなに人気だった。とはいえ俺にはチョコレートとしてもかなりお高いよ!
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