96【和室でゴロゴロ】
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ポリゴン町の家に和室が完成した!襖や障子も、ネットで調べて見よう見まねで作った。
襖の表面にはそれっぽい壁紙を貼り、引き戸向けの埋め込みの取っ手をつける。
障子は格子の木の入った木枠だけの引き戸をカルピン木材店で作ってもらって、母さんのウエストポーチに入っていた半紙を貼っていった。書き初めで使うような細長いやつを繋げながら。
そして、オフ島で仕入れた畳をチェック柄に敷いていく。
「やった!和室だー」
「いい匂いです。イ草のお店みたいですね」
「ほんとだ、渋いな」
この部屋で子供がすることは。
ゴロン
「なあ、クリスもやってみ」
「え?こ、こうですか?」
子供が二人、八畳間で寝転ぶ。
「そして両手を上にしてー」
ごろごろ
クリスから離れていくように転がる。
クリスもあっちへも転がっていく。
戻ってきてぶつかる。
「わはは、楽し」
「確かに面白いです」
洋間とかこの世界の住宅じゃ無理だもんな。部屋の端から端まで寝転ぶなんてね。
人魚のダイニングは床座だったけど、さすがに他所様のお宅でゴロゴロはできないよね。
「お、確かにこれはなかなかだな」
カルピンさんも畳で寝転ぶ。大の字で。
この方はエルフの女性だけど、いつもパンツルック。大工の棟梁だから動きやすい服装だ。
「でも、せっかく広いけどここへねこれを敷くんだ」
ガスマニアでも寒くなりましたからね。
綿の入ったラグのようなものを敷く。
そして、カルピン木材店で道具を借りて俺が自分で作った真四角のローテーブル。
真ん中にはメッシュの箱がぶら下がっていて、扉がついている。
「この扉は?」
「赤色君の部屋なんだ。お願いするよ」
“りょうかいだぜ、おい、つきあって”
“え?うん”
赤色君が白色君も連れ込んで部屋に入る。もー男の子同士で、なんちゃって。
そして、上から大きなお布団をかぶせて、テーブルと同じ広さの天板をかぶせる。
「コタツの完成だ!」
早速足を入れて座る。
「暖かい~」
「どれどれ、これはいい!」
“かるぴん、ちょっとあしにおう、じょきんのひかりほうしゅつだ”
なるほど、赤色君が白色君を連れ込んだ?のは正解だ。ブラックライトも光っている。
「クリスもおいで」
「はい。これは極楽ですか」
「極楽だろう」
時間はそろそろ夕方だ。
おれは、こたつの天板に携帯用の魔道コンロを置く。
そして、その上に土鍋。
“黄色ちゃん、グローベスエルフェンス城の父さんは?”
“じゅんびおっけー、ですって”
「じゃあ」
玄関にお城の厨房をつなぐ。土足厳禁だからね、繋ぐのは玄関だけ。
「駿介おじゃまします~」
「父さんいらっしゃい」
「ブランネージュ様」
「こ、国王陛下」
父さんが、カットされた野菜やキノコを抱えたプランツさんとともにやってきた。
この世界には、ネギや白菜もあって、
「駿介、これだろ?」
「豆腐だ!」
もちろん大豆もあるので、海からにがりを生成して豆乳とで作り方を伝えて、お城で作ってもらった。
「シェフが面白がってね、揚げとかも作ってたよ」
「新しい特産品にしようよ」
「そうだな」
そして、今度は玄関を海のお屋敷につなぐ。
「シュンスケ、準備できたわよ」
アリサねえちゃんが、魚の切り身を並べた大きなお皿を持っている。
「捌いたのはおいらだ」
「ありがとうゴダ」
「アリサはなかなか包丁が使えないよな」
ウリアゴがそろう。
出汁には、さっきここのキッチンで、鳥ガラから取ってあるものを使う。
鶏じゃなくて鳥ってところが、異世界っぽいだろ?
ウリアゴの三人と、クリス一家三人そしてカルピンさんと父さんとプランツさんと俺のみんなで。
「鍋パーティーだー」
「「「おー」」」
「うまいよ駿介。十八年ぶりぐらいかな」
「父さんお鍋は?食べたことあるんだ」
「東京に住みだしたときに、母さんとお鍋のお店に行ったんだよ、そこで教えてもらってから、お家でも楽しんでたさ」
「へえ、俺もさ母さんが年末とかやってくれたんだよね」
「そうか。そういえば締めの雑炊を駿介に食べさせたことがあるんだよ。水炊きだったら味が薄いから赤ちゃんでも大丈夫だからね」
「へえ、俺、父さんにご飯たべさせてもらったんだ」
「かわいかったんだよ」
「そりゃ、赤ん坊だったからねぇ。
母さんの仕事が一段落したら、みんなでご飯したいね」
「そうだな。母さんもこっちにこれるだろう」
「やった」
「シュンスケさん、お魚美味しいですね」
今日はタラみたいな魚にした。
「な、鳥ガラに合うか不安だったけどな」
昆布や鰹節は一応ウエストポーチにあるんだけど、この世界の物を探索中だ。
「おいら、普段こんなに野菜食べないのに、これはすごいな」
ゴダが野菜もモリモリ食べている。
「でしょー、出汁の浸み込んだ野菜っていいよね」
「とうふっての?面白い食感ね」
「ミアが作るプリンみたい」
みんなが美味しいがっている顔を見るのは好きだぜ。
今度もちゃんと雑炊で締めて、おなか一杯。
大人たちはエールも飲んでいた。
「炬燵って恐ろしいですな」
プランツさんがつぶやく。
「恐ろしい?」
「動きたくなくなってしまいます」
「ああ、よく人間をだめにする暖房器具とかいうんだよ」
満腹で炬燵。最高である。
ほとんどが畳の方に転がって寝ている。足はこたつの中。
あ、俺の短い脚を蹴るのは誰だ。
ふふふ父さんまで。すこしエールで酔ってる。調子よく飲んでたもんね。
でも、このままではみんな風邪をひくので、それぞれの寝室に転移させて寝かす。
プランツさんの寝室だけはわからないので、お城の父さんの寝室に送る。
彼は起きている。さすがだ。
「殿下、今夜はご馳走様でした」
「俺こそ楽しかったです」
「一つのお鍋からみんなで食べるという風習はいいですね」
「そうでしょ?大きなお風呂と一緒で、身分とかね、無くなっちゃいますよね」
鍋奉行は居たりするけど。
「はい」
「寒いうちに、何度かやりましょう」
「お城にも、炬燵の部屋を用意しましょう」
「それは最高です!」
「では、シュバイツ殿下、お休みなさいませ」
「おやすみなさい」
和室に戻って、隣のキッチンに道具を運んで洗い物をする。
キッチンのカウンターでは、クッキーを食べている赤色君と白色君、そしてほかの精霊たち。
「みんな今日はお疲れ様!」
“このぐらい おやすい ごようだぜ”
赤色君は頼もしいのである。
クッキーだけで電気がいらないのは安上がりだ。
そろそろ、海のお屋敷の床暖房も頼まなくちゃいけないしね。赤色くんに。
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